金曜日, 12月 31, 2010

謹賀新年



2011年 元旦

以下は昨年このブログに書いた記事の一覧です。今年も宜しくお願いします。

サンソン・フランソワ
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クレンペラー 
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ホロヴィッツ
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フルトヴェングラー ブラームス 交響曲第4番 
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マタチッチ/N響 ブルックナー8番 
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チェリビダッケ ブルックナー9番 
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ハイティンク ブルックナー4番 
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アイヒホルン ブルックナー5番 
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スクロヴァチェフスキ ブルックナー第2番 
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アバド ブルックナー1番 
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メータ ブルックナー0番、8番 
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ブーレーズ ブルックナー8番
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バーンスタイン 
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ベーム ブルックナー8番
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ムラヴィンスキー チャイコフスキー:交響曲第4-6番
http://shokkou3.blogspot.com/2010/08/4-6.html
ブルックナー メモ書き 
http://shokkou3.blogspot.com/2010/08/blog-post.html
CD時代の終焉! 
http://shokkou3.blogspot.com/2010/08/blog-post_07.html
クラシック音楽 聴きはじめ 3 マルケヴィッチ
http://shokkou3.blogspot.com/2010/07/blog-post_09.html
カルロス・クライバー 
http://shokkou3.blogspot.com/2010/07/blog-post.html
ショパン ボックス・セット 
http://shokkou3.blogspot.com/2010/06/blog-post_11.html
クラシック音楽 聴きはじめ 2 ミュンシュ
http://shokkou3.blogspot.com/2010/06/blog-post.html
クラシック音楽 聴きはじめ 
http://shokkou3.blogspot.com/2010/05/blog-post_21.html
大指揮者の「先生」
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ベイヌム ブルックナー 
http://shokkou3.blogspot.com/2010/04/blog-post_30.html
ベーム ブルックナー8番 
http://shokkou3.blogspot.com/2010/04/blog-post_27.html
バーンスタイン マーラー9番 
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ブルックナー 雑感 
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カラヤン エクセレンス!
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ブルックナー vs フルトヴェングラー 交響曲第9番
http://shokkou3.blogspot.com/2010/04/blog-post_08.html
ブルックナー vs ホルスト・シュタイン
http://shokkou3.blogspot.com/2010/04/vs.html
ブルックナー vs カラヤン 
http://shokkou3.blogspot.com/2010/04/blog-post_05.html
織工から http://shokkou3.blogspot.com/2010/04/blog-post_03.html
ブルックナー vs フルトヴェングラー 交響曲第7番
http://shokkou3.blogspot.com/2010/04/blog-post.html
ブルックナー vs  カラヤン 交響曲第8番(1944年)
http://shokkou3.blogspot.com/2010/03/1944.html
ブルックナー vs フルトヴェングラー 交響曲第6番
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ブルックナー vs フルトヴェングラー 交響曲第5番
http://shokkou3.blogspot.com/2010/03/blog-post_28.html
ブルックナー vs フルトヴェングラー 交響曲第4番
http://shokkou3.blogspot.com/2010/03/blog-post.html
ブルックナー vs クナッパーツブッシュ
http://shokkou3.blogspot.com/2010/02/cd-195821-195710-bpovpo6cd-cd-319541011.html
ブルックナー vs ダヴァロス
http://shokkou3.blogspot.com/2010/02/blog-post.html
ブルックナー vs クレンペラー
http://shokkou3.blogspot.com/2010/01/blog-post_5155.html
ウイーン・フィル 魅惑の名曲
http://shokkou3.blogspot.com/2010/01/blog-post_30.html
ブルックナー vs マタチッチ
http://shokkou3.blogspot.com/2010/01/blog-post_28.html
ブルックナー vs  カラヤン
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パーヴォ ヤルヴィ @ ベートーヴェン
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ブルックナー HMVランキング
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土曜日, 12月 25, 2010

サンソン・フランソワ


 サンソン・フランソワ(1924-1970年)の文字通りの集大成である。1970年代、レコードを集中して聴きはじめた頃、フランソワはすでに活動を終えており当初は親近感がなかった。しかし、56年、67年の来日公演があったので日本での知名度は高かった。
 その後、ショパンを聴くようになって、ルビンシュタインとフランソワの演奏には深く心動かされた。はじめにルビンシュタインを聴き、その比較でフランソワに接したが、フランソワの激情に驚きこんなに違うのかと感じた記憶がある。当時、ショパンではこの2人が、一方ドイツ系ではバックハウスとケンプがそれぞれ2大巨匠というのが通り相場だった。

 神童中の神童であり、19才でロン・ティボー国際音楽祭で優勝するが、これでもあまりに遅すぎるデビューと言われた天才肌のピアニスト。46才での逝去は普通なら「これから円熟期」と惜しまれるところだが、この人に限っては、23才のSP録音から20年にわたってすでに下記の膨大なデスコグラフィを残していたのだから驚愕を禁じえない。抜群のテクニックを軽く超越したような奔放、華麗な演奏スタイルはこの時代でしか聴けない大家の風貌である。本価格とボリュームなら文句の言いようのないボックスセット。

<収録内容>
CD1~14:ショパン、CD15~16:ラヴェル、CD17:ラヴェル、フランク、CD18:フランク、フォーレ、CD19:フォーレ、ドビュッシー、CD20~22:ドビュッシー他、CD23:フランソワ、ヒンデミット、CD24: J.S.バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、CD25:ベートーヴェン、シューマン、CD26:シューマン、リスト、CD27:メンデルスゾーン、リスト、CD28:リスト、CD29:プロコフィエフ、バルトーク、スクリャービン、CD30:プロコフィエフ、CD31:(SP録音)ショパン、ラヴェル他、CD32:ブザンソン音楽祭(1956年9月)、モントルー音楽祭(1957年9月17日)他、CD33:ブザンソン音楽祭(1958年9月12日)他、CD34:日本来日公演(東京、1956年12月6日、1967年5月8-9日)、CD35~36:サル・プレイエルリサイタル(1964年1月17、20日)

日曜日, 12月 19, 2010

クレンペラー


◆ブルックナー:交響曲第5番

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8A%E3%83%BC-%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC5%E7%95%AA-%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%BC-%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BC/dp/B000CSUWQW/ref=cm_cr-mr-title

 クレンペラーのブルックナーは、4番<ウィーン交響楽団、バイエルン放送交響楽団>に加えて4~9番はフィルハーモニア管弦楽団で録音、その他の音源もリリースされており、幸いかなり数多く耳にすることができる。そのなかにあって、本盤の魅力は1968年6月2日ウイーン・フィルとのライブ録音であることである。
 音楽の構築が実に大きく、テンポは遅く安定しており滔々とした大河の流れのような演奏。その一方、細部の音の磨き方にも配慮は行きとどいている。録音のせいもあるかも知れないが、ウイーン・フィルらしい本来の艶やかなサウンドを抑えて前面にださず、むしろ抜群の技倆のアンサンブルを引き立たせている印象。そこからは、ウイーン・フィルがこの巨匠とのライブ演奏に真剣に対峙している緊張感が伝わってくる。
 また、ブルックナーの交響曲の特色である大きな枠組みをリスナーは聴いているうちに自然に体感していくことになる。マーラーが私淑していたブルックナー。そのマーラーから薫陶をうけたクレンペラーだが、マーラーの解釈が、クレンペラーを通じて現代に甦っているのでは・・と連想したくなるような自信にあふれた演奏であり、晩年のクレンペラーの並ぶものなき偉丈夫ぶりに驚かされる貴重な記録である。

◆ブルックナー:交響曲第8番

 1957年6月7日ケルンWDRフンクハウスでの演奏。クレンペラーの8番では、最晩年に近い1970年ニュー・フィルハーモニア管弦楽団を振ったスタジオ録音があるが、こちらは第4楽章で大胆なカットが入っており、それを理由に一般には評判が芳しくない。一方、本盤は遡ること13年前、カットなしのライヴ録音である。


 驚くべき演奏である。巨大な構築力を感じさせ、またゴツゴツとした鋭角的な枠取りが特色で、いわゆる音を徹底的に磨き上げた流麗な演奏とは対極に立つ。また、第3楽章などフレーズの処理でもややクレンペラー流「脚色」の強さを感じる部分もある。小生は日頃、クナッパーツブッシュ、テンシュテットの8番を好むが、このクレンペラー盤は、その「個性的な際だち」では他に例をみないし、弛緩なき集中力では両者に比肩し、第1、第4楽章のスパークする部分のダイナミクスでは、これらを凌いでいるかも知れない。ケルン響は、クレンペラーにとって馴染みの楽団だが、ライヴ特有の強い燃焼度をみせる。「一期一会」ーいまでも日本では語り草になっているマタチッチ/N響の8番に連想がいく。リスナーの好みによるが、小生にとっては8番のライブラリーに最強カードが加わった新たな喜びを感じる。

◆ブルックナー:交響曲第6番 ハース版

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8A%E3%83%BC-%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC6%E7%95%AA-%E3%80%90HQCD%E3%80%91-%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%BC-%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BC/dp/B002WQ7HRE/ref=cm_cr-mr-title

 オットー・クレンペラーはフルトヴェングラー亡きあと、19世紀「最後の巨匠」との異名をとった人物です。特に、私淑したマーラーやブルックナーなどの演奏では独自のスケールの大きさを示すことでいまも根強いファンがいます。
 6番は、ハース版での演奏です。1964年の録音ですが、その古さを割り引いても大変な名盤だと思います。6番は第1、2楽章にウエイトがかかっていて特に第2楽章のアダージョの美しさが魅力ですが、緩楽章の聴かせ方の巧さはマーラーの9番などに共通します。一方、クレンペラーの照準はむしろ後半にあるように思えます。短いスケルツォをへて一気にフィナーレまで駆け上る緊縮感は他では得難く、ここがクレンペラーの真骨頂でしょう。ハース版が嫌いな方は別として、6番ではいまだ最高レベルの演奏と思っています。

土曜日, 12月 18, 2010

ホロヴィッツ

Horowitz: Complete Recordings [Box set, Import, from US]
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B0041O9AW0/ref=cm_pdp_rev_itm_img_1

 20世紀の音楽界は巨匠が覇を競った時代。ピアノ界で若き日から名声を欲しいままにし、かつ晩年も元気に輝いたその1人がホロヴィッツであり、本集は1985~87年(81~83才の時)に、ニューヨーク、モスクワ、ミラノ、ウイーン、ハンブルクで録音されたもの。
 ホロヴィッツがながき沈黙を破って、1965年5月9日カーネギーホールに再デビューしたときの衝撃はいまも忘れていない。過去のピアニストと思っていた巨人がふたたび歩みだした鮮烈な印象だった。
 さて本集では、まずは80才を超えて旺盛に活動する芸術家とは・・・といった「畏敬の念」がまずは必要。次にプログラムとの適合性に注目。下記のとおり、J.S.バッハからモシュコフスキまで10名の作曲家の作品が取り上げられているが、おそらく技巧、体力面から、そしてなによりもっとも共感し得意とする演目を慎重に選んでのことだろう。よって同じ曲がなんども重複して取り上げられている点は注意(【回数】で表示)。
 ホロビッツファンにとっては垂涎のものだろうが、下記のリストはいまにいたるまで最高級の演奏として記憶されるべきものでもある。 

<収録曲>
・J.S.バッハ(ブソーニ編):コラール前奏曲『いざ来たれ、異教徒の救い主よ』
・D.スカルラッティ:ソナタ ロ短調K.87、ホ長調K.135、ホ長調K.380 
・モーツァルト:ピアノ・ソナタ第3,10【2回】,13番【2回】、ロンドニ長調K.485【2回】、アダージョ ロ短調K540
・ショパン:マズルカ(へ短調Op.7-3,イ短調Op.17-4, 嬰ハ短調Op.30-4, ロ短調Op.33-4)、スケルツォ第1番ロ短調Op.20、ポロネーズ第6番『英雄』【2回】
・シューベルト:即興曲(変イ長調D.899-4,変ロ長調D.935-3)、(タウジヒ編):軍隊行進曲変ニ長調D.733-1、(リスト編):ワルツ・カプリース第6番『ウィーンの夜会』【4回】、楽興の時~第3番ヘ短調D780-3【2回】、(リスト編):白鳥の歌~セレナードD957-4、ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調D.960【3回】
・シューマン:ノヴェレッテ ヘ長調Op.21-1、クライスレリアーナOp.16、子供の情景Op.15~トロイメライ【3回】
・リスト:コンソレーション第3番変ニ長調、即興曲嬰へ長調、忘れられたワルツ第1番、巡礼の年第2年『イタリア』~ペトラルカのソネット第104番
・ラフマニノフ:前奏曲嬰ト短調Op.32、W.R.のポルカ
・スクリャービン:練習曲(嬰ハ短調Op.2-1【2回】、嬰ニ短調Op.8-2、嬰ニ短調Op.8-12)
・モシュコフスキ:練習曲ヘ長調Op.72-6 、花火Op.36-6【2回】

土曜日, 12月 11, 2010

フルトヴェングラー ブラームス 交響曲第4番














http://www.geocities.jp/furtwanglercdreview/bra4.html によれば、フルトヴェングラーのブラームス4番には、以下の5種類の演奏がある。

1 1943.12.12- BPO PH 
2 1948.10.22 BPO Dahlem 
3 1948.10.24 BPO TP 
4 1949.6.10 BPO Wiesbaden 
5 1950.8.15 VPO Salzburg 

  聴いているのは3であり、TPはティタニア・パラストの略である。かつて以下の感想を書いた。  

1948年10月24日、ティタニア・パラストでの演奏。フルトヴェングラーのブラームスでは、憂愁の深みを表現するうえで、感情移入によるテンポの大胆な緩急などについて多く語られるが、それに加えて、この演奏でのリズムの刻み方の切れ味はどうだろう。  一般に語られる4番のもつブラームスの「人生の秋、枯淡の味わい」といった抒情的な解釈よりも、古典的な造形美を最後まで貫き、絶対音楽のもつ孤高性こそを生涯、変わることなく主張したブラームスの芯の強い本質にフルトヴェングラーは、鉈を振り下ろすような圧倒的にリズミックな隈取りと時に自信に満ちた強大なダイナミクスをもって応えているように思われる。  しかもオーケストラは指揮者の意図を明確に理解し、細心の注意と最大限の集中力をもって臨場している。だからこそ、そこから湧きたつ音楽は、少しの曖昧さもなく説得的であり、深い感興をリスナーに与えることができるのだと思う。ドイツ的な名演という意味は、彼らのもつ「絶対音楽」の伝統を誇りをもって示しうるところにこそあるのかも知れないーーそうしたことをこの類い希な名演はわれわれに教えてくれている。 http://www.amazon.co.jp/gp/cdp/member-reviews/A185EQOC8GHUCG?ie=UTF8&display=public&sort_by=MostRecentReview&page=7  この1週間くらい、

また全集を取り出して聴いている。かつて毎朝、日が昇らずマイナス20度の寒さに街頭にでる経験をしたが、北ドイツの冬は暗くて実に寒い。同じドイツでもバイエルンなどの南の地方は少しく印象がちがうが、北方の生活者には憂鬱症といつも熟考する思慮深さ、そして厳しい環境、困難に負けない強い意志などがない交ぜになっているように感じることがある。よくブラームスを聴きながら通勤したが、これぞ風景と一体の感興があった。  この4番は、交響曲作曲家として満を持しての決意表明たる1番、比較的温暖で明るい2番をへて、叙情性のもっとも良くでた3番ののち、晩年の集大成としての作品だが、ウイーンでの名声や華やかな生活の影響などどこにも感じられず、原点回帰、ブラームスの心象風景たる北ドイツの冬の寂寥感を強く意識させる。  フルトヴェングラーの演奏は、その寂寥たる雰囲気を保ちながらも、その一方、上に記したように北方ドイツ人の強靭な意志をより印象づける。大胆なリズミックさとどこまでも底知れず沈降していく深みの感覚、テンポのたくまぬ可変性、フレージングの自由な処理、そして全体から受ける孤独に耐える知性的な闘争心。こういう演奏は他にない。