金曜日, 4月 29, 2011

チェリビダッケ ブラームス

<<ブラームス:交響曲全集>>
交響曲 第1番 ハ短調 作品68(1)、1976年10月21日マンハイム
交響曲 第2番 ニ長調 作品73(2)、1975年 4月11日シュトゥットガルト 
交響曲 第3番 ヘ長調 作品90(3)、1976年11月19日シュトゥットガルト
交響曲 第4番 ホ短調 作品98(4)、1974年 3月23日ヴィスバーデン
ボーナスCD:ブラームス/交響曲第4番リハーサル (1974年収録)
シュトゥットガルト放送交響楽団 指揮:セルジュ・チェリビダッケ

 40年以上もクラシック音楽を聴いていると、いったいブラームスのシンフォニーは実演、LP以降の音楽媒体をつうじて何回耳にしたことか。聴くまえからある種の想定はあるのだが、それでも、久しぶりにチェリビダッケの全集を今日、一気に聴いていつになく感動した。
 トグロ渦巻く、粘着質の演奏という想定はそのとおりなのだが、今日は弱音のメロディの彫琢された美しさに嘆息し、またテンポの見事な動かし方に思わず身を乗り出し、1曲がおわるたびに、そのスケールの大きな構えにしばし瞠目するといったことであった。

 最近、下記のミュンシュも聴いて、その男性的な割り切りの良い雄雄しさにも大いに魅力を感じたが、チェリビダッケの底知れぬパッションは練習嫌いのミュンシュとは対極だろう。4番の第1楽章のリハーサルは、そこに臨場しているような緊張感があり、そのテンションの強烈な高さになんとも疲れる。シュトゥットガルト放送交響楽団メンバーはよくぞ付いていっているなあと思う。しかし、たとえばリズムについてのチェリビダッケの熱烈たる指示のあと、まるで熱いエスプレッソをカップに注ぐように、音楽の精気が確実に団員に満ちていくことがわかる。


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月曜日, 4月 25, 2011

ミケランジェリ


 アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(1920~95年)の選集。10枚でこの廉価である。かつてドビュッシー集(CD7)などは1枚で実に高価であったことを思うと隔世の感がある。高校生の頃、チェリビダッケとミケランジェリの協演がFMで流れ、伝説と幻の両巨匠の邂逅ということで大きな話題になったことを思い出す。録音は1941~90年と戦前・戦後の分水嶺をへて半世紀に跨っている。

 その演奏は、ドビュッシー、ショパン、シューマンなどにその特質がよく出ているが、パッショネイトな集中力と一音一音がキラキラと輝くような磨きぬいた独特なピアニズムに特色がある。ルビンシュタイン、フランソワ、ホロビッツ、ケンプなど、いずれも20世紀中後半にはこうした巨匠が犇(ひしめ)き各人、甲乙つけがたい名演を残した。ミケランジェリもまぎれもなくその一角を占める強烈な個性の完全主義者であり、本選集はその歴史的記録である。

<収録内容>
◆CD1:モーツァルト/ピアノ協奏曲第15番(1974年)、ピアノ四重奏曲変ホ長調(1972年)
◆CD2:ショパン/スケルツォ第2番(1985年)、バラード第1番(同左)、アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ(同左)、子守歌 変ニ長調(1962年)、ピアノ・ソナタ第2番(1968年)、マズルカop.59-3(1969年)、ワルツ 変ホ長調(遺作) (1962年)
◆CD3:シューマン/謝肉祭 op.9(1968年)、ウィーンの謝肉祭の道化 op.26(1973年)
◆CD4:ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第11番(1981年)、同第12番(1981年)、同第32番(1990年)
◆CD5:ブラームス/バラード op.10(1973年)、パガニーニの主題による変奏曲 op.35(1973年)
◆CD6:ドビュッシー/子供の領分(1968年)、『映像』第1集、第2集(1987年)、前奏曲集 第1巻から9曲(1977年)
◆CD7:バッハ/シャコンヌ[ブゾーニ編曲](1973年)、イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV 971(1943年)、スカルラッティ/7つのソナタ[K.96,29,11,159,322,9,27](1943,69年)、ガルッピ/プレスト 変ロ長調(1941年)、ソナタ第5番 ハ長調(1962年)
◆CD8:ショパン/スケルツォ第1番op.20(1990年)、幻想曲 op.49(1985年)、ワルツ op.34-2(1988年)、同op.34-1(1962年)、同op.69-1(同左)、マズルカop.68-2(1962年)、同op.69-4(1967年)、同op.41-4(1967年)、同op.33-1(同左)、同op.30-2(同左)、同op.67-2(1985年)、同op.33-4(1990年)
◆CD9:【ヴァチカン・ライヴ 1962年4月28日】シューマン/ピアノ協奏曲イ短調 op.54、リスト/死の舞踏 S.126、ベートーヴェン/『荘厳ミサ曲』から「グローリア」
◆CD10:シューマン/ピアノ協奏曲 op. 54、ニューヨーク・フィル、ミトロプーロス(指揮)(1948年)、フランク/交響的変奏曲(1949年)、グリーグ/ピアノ協奏曲イ短調 op.16(1942年)
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土曜日, 4月 16, 2011

ミュンシュ



 シャルル・ミュンシュは、ドイツ語読みではカール・ミュンヒ (Karl Münch)、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団で、フルトヴェングラーやワルターの下でコンサートマスターを務めていたことはよく知られている。弦楽器の使い方の巧みさ、その音色の澄んだ響きは、この時の自らの豊富な経験からか。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5

 晩年のパリ管との関係、特にフランスものの秀演(上記はその代表作「幻想」など)があまりにも有名だが、ドイツ音楽の正統を継ぎ、かつ黄金時代は、手兵ボストン響との名コンビで全米はもとより世界で鳴らした。    
本選集ではこれに加えて、メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲では、ハイフェッツと、ブラームス/ピアノ協奏曲第2番ではルービンシュタインとの共演を聞ける。どの演奏も大筆で一気に揮毫するような迫力があるけれど、けっして大味ではなく全体の構成が自然でいささかも崩れていない。     
特に得意のブラームスの熱気は凄いし、普段あまり聞くことのないシューベルト/交響曲第2番なども実に楽しく飽きずに聴くことができる。


【収録内容】
CD1:メンデルスゾーン/交響曲第3番『スコットランド』、ヴァイオリン協奏曲ホ短調[v.ハイフェッツ]、華麗なるカプリッチョ ロ短調[p.ゲイリー・グラフマン](録音/1959年、1960年ステレオ)
CD2:同上/交響曲第4番『イタリア』、同第5番『宗教改革』、弦楽八重奏曲変ホ長調~スケルツォ(録音/1958年、1957年、1960年)
CD3:ブラームス/交響曲第1番、悲劇的序曲(録音/1956年、1955年)
CD4:同上/交響曲第2番、同第4番(録音/1955年、1958年)
CD5:シューベルト/交響曲第2番、ブラームス:ピアノ協奏曲第1番[p.ゲイリー・グラフマン](録音/1960年、1958年)
CD6:同上/交響曲第8番『未完成』、同第9番『グレート』(録音/1955年、1958年)
CD7:シューマン/交響曲第1番『春』、『マンフレッド』序曲(録音/1959年)
CD8:同上/『ゲノヴェーヴァ』序曲、ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調[p.ルービンシュタイン](録音/1951年、1952年のみモノラル)



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