管弦楽作品、協奏曲、合唱作品集 ロジェ、ポレ、他(5CD)
Orchestral & Choral Works (Coll) Box set, CD, Collector's Edition, Import
デュトワによるプーランクの管弦楽、協奏曲、合唱曲の選集。明るい色調、透明感があり、イマジネーションを刺激する音楽である。デュトワの主力演目であるにとどまらず、最良のプーランクの作品集と思う(以下→で各盤別に一部曲については簡単なコメントを付したのでご参考まで)。
<収録情報>
【CD1】
ピアノ協奏曲FP146、2台のピアノのための協奏曲FP61、オルガン協奏曲 FP93:フィルハーモニア管(1992年)
→ Poulenc;Piano Concerto/Orga
【CD2】
シンフォニエッタFP141、田園のコンセールFP49、アルベール・ルーセル氏の名による小品 FP50、牧歌 FP160、ファンファーレ FP25、2つの行進曲と間奏曲 FP88、フランス組曲 FP80:フランス国立管(1994-96年)
→ Poulenc: Le bal masqué/Chamber Works
【CD3】
バレエ組曲『牝鹿』FP36、同『模範的な動物たち』FP111、『カンプラへの花輪』~第5曲 プロヴァンスの船乗りの踊りFP153、『ジャンヌの扇』~第8曲 パストゥレル FP45、『六人のアルバム』~第5曲 ワルツ FP17、『エッフェル塔の花嫁花婿』~第3曲 将軍の話、同~第4曲 トルヴィルで水浴する女の踊り FP23、ピアノと18の楽器のための舞踊協奏曲『オーバード』 FP51、2つの遺作の前奏曲とグノシエンヌ FP104:フランス国立管(1995、96年)
→ Poulenc: Orchestral Works 2
【CD4】
世俗カンタータ『仮面舞踏会』FP60、動物小話集、またはオルフェオのお供(器楽伴奏版)FP15a、黒人狂詩曲 FP3、コカルド(器楽伴奏版)FP16、3つの常動曲 FP14、喜劇『理解されない憲兵』 FP20、マックス・ジャコブの4つの詩 FP22:フランス国立管(1995年)
→ プーランク初期声楽作品集
【CD5】
グローリア FP177、黒衣の聖母へのリタニア FP82、スターバト・マーテル FP148:フランス国立管&合唱団、同児童合唱団(FP82)(1994年)
→ Poulenc: Gloria/Litanies à la Vièrge Noire/Stabat Mater
(共演者)
パスカル・ロジェ(ピアノ、FP49、FP80、FP146、FP61、FP510、FP3)
シルヴィアーヌ・ドフェルヌ(ピアノ、FP61)
ピーター・ハーフォード(オルガン、FP93)
フランソワ・ル・ルー(バリトン、FP60、FP15a、FP3、FP16、FP20、FP22)
ドミニク・ヴィス(カウンターテノール、FP20)
ランベール・ウィルソン(テノール、FP20)
フランソワーズ・ポレ(ソプラノ、FP82、FP148)
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◆ プーランク初期声楽作品集
プーランクの初期作品集で、黒人狂詩曲(FP3)、3つの常動曲(FP14)、動物小話集(FP15a)、コカルド(FP16)、喜劇「理解されない憲兵」(FP20)、マックス・ジャコブの4つの詩(FP22)、そしてメインの世俗カンタータ「仮面舞踏会」(FP60)を収録。
「仮面舞踏会」は、I.序曲と華やかな歌(Préambule et Air de bravoure)、II.間奏曲(Intermède)、III.マルヴィナ(Malvina)、IV.バガテル(Bagatelle)、 V.盲目の婦人(La dame aveugle)、VI.フィナーレ(Finale)からなるが、実にユニークな作品である。
道化、サーカス、諧謔といった言葉が連想される一方で、生真面目、静謐、ユーモアといった別のイメージが折々に交錯し、なんとも掴みどころのない曲なのだが、なぜか親しみがもて、心地よく、聴き終わった「後味」がよい。
デュトワは先に挙げたキーワードをいとも自然に、冷静に、しなやかに表現している。ほかのプーランクの演奏同様、作曲家への深い共感を感じさせる佳演。
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◆ Poulenc;Piano Concerto/Orga
パルカル・ロジェは、本盤以前に プーランク:ピアノ曲集 を録音している。彼をソリストに迎えてのピアノ協奏曲(FP146)と2台のピアノのための協奏曲(FP61、もう一台のピアノはシルヴィアーヌ・ドフェルヌ)。デュトワは、フィルハーモニア管を振っているが、フランス的なふくよかな響きは十分。
プーランクの2曲は、いずれも「協奏曲」という形式はとりながらも、より自由なスタイルをもっており、いわばピアノ付き交響幻想曲といった風情である。響きは古典的であっても、複雑な調性変更や意想外の現代的なメロディの断片が折り込まれていて、リスナーは知らずにその斬新さに馴染んでいく。パルカル・ロジェの詩的なピアニズムとデュトワの包容力ある透明な音づくりが絶妙にコラボしている。
→ Orchestral & Choral Works (Coll)にて聴取
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◆ Poulenc: Le bal masqué/Chamber Works
プーランクのフランス組曲を聴く。小品なれども内容は豊饒だ。古典的な形式にのっとりつつ、そこに盛られた内容はモダンな感覚に溢れる。
管弦楽の使い方が実に独特。明るい響きのみを集めて音の花束をつくったような趣きがあり、これにパーカッションが包み込むように絡んでいく。一度聴いたら耳の奥に棲みついたようにメロディが残る。不思議な印象である。デュトワの音づくりには清浄な透明感があり、またいつもどおり過度な表現は排して、アク(灰汁)が全くない。秀演である。
→ Art of Charles Dutoit (Coll)も参照
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◆ Poulenc: Orchestral Works 2
ディアギレフからの委嘱によって作曲されたバレエ『牝鹿』組曲(5曲が5頭に描かれたジャケットの意匠)はじめ、デュトワのプーランク集の一つ。音楽の基調が明るく、機知に富み、躍動的である。デュトワならではの柔らかく、思索的ながら、ときに思い切った強打も放つといった演奏スタイルが、プーランクの作風に実にマッチしている。浮き浮きした気分を促し、ポジティブな発想の源になるような曲集。お奨めしたい。
→ Art of Charles Dutoit (Coll)も参照
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◆ Poulenc: Gloria/Litanies à la Vièrge Noire/Stabat Mater
Gloria グローリア(1959年)は、暗さがなく神を賛美の気持ちが生き生きと描かれる。時代超越的で、古きメロディが近代的な管弦楽技法をバックに浮かび上がる。Stabat Mater スターバト・マーテル(1950年)の原題は「悲しみの聖母」だが、ここにも明るい基調がほのかに感じられる。さまざまな作曲家がその歌詞に魅せられて作品化したスターバト・マーテルにおいて、プーランクは満を持して自らの個性を前面に取り組んでいる。
デュトワは、世俗的な曲でも宗教曲でも基本のスタンスはまったく変わらない。
プーランクの明るい色調をデュトワはこよなく気に入っていたのではないかと思う。この相性の良さがどんな曲でも均一な成果を約束する。
→ Orchestral & Choral Works (Coll)にて聴取
プーランク デュトワで聴く
http://shokkou3.blogspot.jp/2015/12/blog-post_22.html も参照