土曜日, 4月 28, 2007

ブルックナー 弦楽四重奏曲 

Brahms: String Quintet, Op. 111; Bruckner: String Quintet
Performer: Wolfgang Boettcher, Brandis Quartet, Brett Dean, Wilfred Strehle, Peter Brem, et al.
Audio CD (December 3, 1996)

 偶然、古CD屋で見つけて早速購入した。実に良い響きである。Brandis Quartettの演奏で、ブラームスとのカップリングも面白いし、オーソドックスなアプローチながら細心の運行への配慮が施されており緊張感が持続する。

水曜日, 4月 25, 2007

ムローヴァ メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲

 メンデルスゾーンの2曲のヴァイオリン協奏曲を所収
1. Vn Con in e, Op.64: Allegro molto appassionato
2. Vn Con in e, Op.64: Andante
3. Vn Con in e, Op.64: Allegretto non troppo-Allegro molto vivace
4. Vn Con in d: Allegro molto
5. Vn Con in d: Andante
6. Vn Con in d: Allegro
1990年1月10-12日、ロンドン、セント・ジョンズ・チャーチ

での録音
繊細にして感性が豊かで、柔らかくも確実に胸に染みわたってくるような演奏。ムローヴァに感心する。

土曜日, 4月 14, 2007

ヨッフム ブルックナー9番

 ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ドレスデン) オイゲン・ヨッフム(指揮) 録音:1978年(ステレオ)
 ワルターを味わったあと、ヨッフムが聴きたくなった。ノヴァーク版のよる演奏であり、9番はヨッフムの「公式」録音では3度目になる。
 第1楽章の迫力が凄い。ヨッフム75歳のときの録音だが、枯れた要素などは微塵もない。競(せ)っているような少し前のめりの感じもあるが、次から次に畳み込むような強奏がつづき、第1楽章に全体の頂点を形成することを意図しているような意欲的な演奏である。第2楽章のスケルツオも、これと連続し速度ははやくリズムの切れ味は鋭い。一気に駆け抜けるような文字通りの「快走」である。一転、第3楽章に入ると大胆に減速し、フレーズは滔々と伸ばし、じっくりとメロディを奏でていく。色調も明から仄かに翳りをもちブルックナー交響曲群全体の「終章」的な重みを持たせていく。考え抜いた演奏であるが姑息な演出を感じることはない。こうとしか演奏できない、否、これこそがこの曲のもつ特質なのだと言わんばかりの説得力である。強奏は緩めないが、ダイナミズムの振幅は次第に狭まり、その一方で感情表出の濃度がましていく。しかし音の透明度は変わらない。そこから受ける印象は陳腐な表現だが、「天への飛翔」といったところであろうか。見切った演奏である。

金曜日, 4月 06, 2007

ワルター ブルックナー9番

 トスカニーニ/NBC交響楽団と同様、ワルター/コロンビア交響楽団は、指揮者の実力によって一時期に優秀なオーケストラが結成された希有な事例である。もちろん、いまも小沢征爾/サイトウ記念ORのようなアド・ホックな組み合わせはあるけれど、前二者のような永きにわたる事例は多くはない。
 ドラティなどハンガリアン・ファミリーが手兵を組織した素晴らしい名演の事例も思い浮かぶが、特定の分野にこだわらず、広範な演奏記録を残したという点において、やはりトスカニーニとワルターは傑出している。
 そのワルター/コロンビア交響楽団によるブルックナーの9番を聴く。1959年11月の録音。きびきびとした運行、しかし厳格なテンポは維持されている。つややかにフレーズは磨かれながら全体の構成は実にしっかりとしている。弦楽器の表情豊かな色彩に加えて、管楽器は節度ある協奏でこれに応えている。いい演奏だ。9番の良さを過不足なく引き出している。しかも、演奏の「アク」をけっして出さずに澄み切った心象のみを表に出そうとしているように見受けられる。
 ワルターはかって「ブルックナーは神を見た」とコメントしたが、そうした深い心象がこの演奏の背後にあるのだろう
。ワルターにせよ、クレンペラーにせよ演奏に迷いというものがない。己が信じる作曲家の世界をできるだけ自分の研ぎ澄まされた耳を武器に再現しようと試みているように感じる。この時代のヴィルトオーゾしかなしえない技かも知れないが注目されてよい歴史的名演だろう。