今日は一日中、下記のアルゲリッチを聴いていた。1970年の来日公演(バッハ、ベートーヴェン、ショパン、プロコフィエフ)を聴いて以来のファンだが、彼女の名演がこの価格でマーケットに出ること自体に正直、戸惑いと憤りすら感じる。
1941年生まれのアルゲリッチ10代から42才頃までのソロ・アルバムの集大成。以下の7人の作曲家の名曲がラインナップされている。
彼女の凄さは、リリー・クラウス、ハスキルやへブラーなどそれ以前の「女流ピアニスト」という言葉を、文字通り鍵盤の迫力で叩き潰したことにあると思う。リリックな部分の音感も秀抜だが、その一方、ベートーヴェンでもプロコフィエフでも大きな構えと強烈な音量で堂々と聴衆を圧倒する。語弊のある言い方で恐縮だが当時「女リヒテル」の異名すらあった。しかも若く美しい20代前後から、である。
そうした点では、この選集は彼女の個性の全てを網羅はしていないが、これだけの名演をこの価格で入手できることは特質に値する。自分は録音年代順に再トレースするつもりで多くのダブり覚悟で買ったが、これからライヴラリーを揃えたい向きにも最適な選択だろう。
<作曲家別収録曲>
■ショパン:ピアノ・ソナタ第2番、第3番、スケルツォ第2番、第3番、ポロネーズ第6番、第7番、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ、マズルカ第36番、第37番、第38番、24の前奏曲、前奏曲嬰ハ短調、前奏曲変イ長調(遺作)、舟歌 嬰ヘ長調
■リスト:ハンガリー狂詩曲第6番、ピアノ・ソナタ ロ短調
■シューマン:ピアノ・ソナタ第2番、子供の情景、クライスレリアーナ
■ラヴェル:水の戯れ、夜のガスパール、ソナチネ、高雅にして感傷的なワルツ
■ブラームス:2つのラプソディ第1番、第2番
■プロコフィエフ:トッカータ ハ長調
■J.S.バッハ:トッカータ BWV.911、パルティータ第2番、イギリス組曲第2番
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