火曜日, 6月 28, 2011

クラシック音楽 聴きはじめ 7 シュワルツコップ

シュワルツコップの魅力
Icon: Elizabeth Schwarzkopf-Radiant Soprano

20世紀を代表する一人の偉大な女性歌手の集大成。その録音時期は30年におよびレパートリーの広さは前人未到。下記は全体のごく一部を記載したにすぎない。現役最後の頃、東京でヴォルフの深いライヴも聴いたが、「シュワルツコップ女史」とでも呼ぶべき風格がある一方、ときに可憐な表情に思わず引き込まれるような表現力豊かな魅力も湛えていた。バッハのカンタータ、モーツァルトからR.シュトラウスまでの歌曲、オペラの主要アリア、軽く艶やかなオペレッタなど内容の質量はこの価格では文句なし。ただし、輸入盤なので仕方はないけれど、32ページ・ブックレットは簡易、あまりに素っ気なく、はじめてのリスナーにはいささか不親切。
<主要内容>
【CD1】バッハ:カンタータ『もろびとよ、歓呼して神を迎えよ』 BWV51(全曲)他/録音:1950年10月、ロンドン(モノラル)他
【CD2】モーツァルト:歌曲集/pギーゼキング、ブレンデル/録音:1955年5月、ロンドン他
【CD3】モーツァルト:オペラアリア集/録音:1946年11月、ウィーン(モノラル)他
【CD4】シューベルト:歌曲集/pムーア/録音:1954年1月他
【CD5】メンデルスゾーン:「歌の翼に」他/pムーア/録音:1956年4月、ロンドン他
【CD6】ヴォルフ:歌曲集/pフルトヴェングラー/録音:1953年8月12日 ザルツブルク(ライヴ、モノラル)他
【CD7】リヒャルト・シュトラウス:歌曲集&オペラ/フィルハーモニア管弦楽団、マタチッチ指揮/録音:1954年10月、ロンドン(モノラル)他
【CD8】リヒャルト・シュトラウス:ばらの騎士』~第1幕、3幕/フィルハーモニア管弦楽団、カラヤン指揮/録音:1956年12月、ロンドン他
【CD9】ヨハン・シュトラウス2世:『こうもり』他/フィルハーモニア管弦楽団、カラヤン指揮/録音:1955年4月、ロンドン(モノラル)他
【CD10】リヒャルト・シュトラウス:『ばらの騎士』第2幕/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、カラヤン指揮/録音:1947年12月、ウィーン(モノラル)他
http://www.amazon.co.jp/Icon-Elizabeth-Schwarzkopf-Radiant-Soprano-Schwarzkopf/dp/B004HF0PAO/ref=cm_pdp_rev_itm_img_1

http://shokkou.blog53.fc2.com/blog-entry-200.html


かつて書いた文章

 シュワルツコップの魅力はドイツリートである。もちろん!しかし、オペラでの存在感も大きい。フルトヴェングラー、クレンペラー、セル、ベーム、カラヤンらは彼女の才能を極めて高く評価していた。オペレッタの洒脱な雰囲気も上質である。つまり、オールラウンドの歌い手である。そして、それは弛まぬ努力によって保たれていたことは有名である。

 引退近くの1970年に来日して、はじめてライヴでヴォルフの歌曲を聴き虜になった。それ以前からのファンだからもう40年近くになる。

 織工のリストマニア(シュワルツコップの項目)を今日久しぶりに更新した。国内での販売(現存盤)が減っていて正直寂しかった。海外ではしっかりと全集や初期の録音も出されているようだ。ライヴは本当に素晴らしかったし、その高潔な人柄も偲ばれる。海外で身近に接した多くのファンがいることは理解できる。むしろ、そうした比較では日本だって結構、根強く聴かれていると評価したほうがいいのかな。

 ヴォルフは好きだが、明るい曲も聴きたくなる。オペレッタの特集が気に入っている。




  

日曜日, 6月 19, 2011

テンシュテット3



テンシュテットのブルックナーの交響曲、以下は以前つくったリストです。
Symphony No.3
Bavarian Radio Symphony Orchestra (19'47/14'38/6'47/11'01) 4 NOV.1976 Munich
Symphony No.4
BPO (20'37/17'03/10'12) 13,15,16 DEC. 1981 Philharmony Hall, Berlin
BSO (20'08/17'29/9'49/21'15) 13 MAR. 1982 Symphony Hall, Boston
LPO (20'57/17'51/9'58/21'50) 11 APR. 1984 Yuport Hall, Tokyo
Symphony No.7
CSO (21'19/22'40/10'03/12'19) 31 MAY & 2 JUN. 1984 Orchestra Hall, Chicago
LPO (19'44/21'21/9'38/11'39) 10 MAY 1984 Rotal Festival Hall, London
Philadelphia Orchestra (21'01/22'55/9'51/11'52) 4 JAN.1985 Academy of Music, Philadelphia
NYP 16 OCT.1986 Avery Fisher Hall, New York
Symphony No.8
BSO (13'59/13'16/24'38/20'07) 20 DEC.1974 Symphony Hall, Boston
NDR (14'46/13'45/26'08/21'11) 24 SEP.1979(?) Misic Hall, Hamburg
BPO (14'43/13'30/25'57/21'37) 21 NOV.1981 Philharmony Hall, Berlin
CSO (14'42/14'43/25'56/21'11) 3 DEC.1981 Orchestra Hall, Chicago
LPO (14'16/14'00/26'06/21'04) 24,25,26 SEP. 1982 Abbey Road Studio, London
Philadelphia Orchestra (15'54/14'42/27'49/22'10) 5 JAN.1989 Academy of Music, Philadelphia
これは以前に、テンシュテットとの出会いについて書いたものです。
テンシュテットのブルックナー交響曲第8番
いまは全くご無沙汰ながら、かってはNHKのFMで海外の音楽祭のエアー・チェックを楽しみにしていた。その最後が198184年頃で九州へ転勤し、当時は東京に比べてライブでのコンサートが聴きにくくなったため、FMに一時回帰していたと思う。いまはライブにも全く出かけないし、FMも聴かない。もっぱらCDか過去に収録したテープをまわしている。
さて、過去カセットにとったテンシュテット/ベルリン・フィルのブルックナーの8番を聴いている(1981年11月21日ベルリンでのライブ)。遅い遅い演奏で、特に第3楽章のアダージョ後半の第2主題を奏するヴァイオリンの引っぱり方などは限界に挑んでいるかのような緩慢さである。しかし、そこに籠められるのはとても深い豊かな響きである。フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、そしてチェリビダッケなどにも共通するが、遅いテンポの持続は、その少しの変化でも微妙な表情づけを可能とする。第4楽章も同様。速くなく(nicht schnell)どころではなく第3楽章の長い延長線が続く。フィナーレもコラール風の句の前後で若干、テンポが上がるが最後までほぼ巡航速度は維持される。フルトヴェングラーのようなアゴーギグにともなうクレッシェンドやディミニュエンドの多用はなく、使われる場合はかなり抑制的に(しかし、それゆえ効果的に)発動される。聴き終わってー深い感動。テンシュテットはやはり凄い。

テンシュテット2



上記は全集ですが、以下はマーラーの第6番について以前、書いたものです。 

マーラー 交響曲第6番

199111月、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのデジタル録音。6番について、マーラーは5番までの作品を聴いた理解者しか、その特質はわからないだろうと語ったとのことだが、3楽章まではそれ以前の作品との連続性も強いと感じるながら、第4楽章に入ると、古典的なソナタ形式に対するアンチテーゼの思いが横溢しているようだ。「形式」が崩れゆく有り様は、強い芳香を発する熟れすぎた果物のような感をもつ。ハンマーが破壊の象徴であれば、なおのことその感を倍加する。 

テンシュテットの特質である豊饒な音楽の拡散感がこの4楽章に実にマッチしている。しかし、それが「だれない」のは、音楽へののめり込み、集中力が少しも途切れないからだろう。交響曲という名称が付されながら、その実、「交響」の意味は複雑で多義的で、それは、かっての積木をキチッと組み上げていくような律儀な「形式美」ではなく、雪崩をうって積雪を吹き飛ばすような「崩壊美」に通じるように思う。第3楽章の美しいメロディに浸ったあと、音の雪崩が突然と起こり、それに慄然とする恐懼がここにある。 

テンシュテットには、そうした効果を狙ってタクトをとっているような「作為」がない。テクストを忠実に再現していく過程で、崩壊美は「自然」に現れると確信しているような運行である。こうした盤にはめったにお目にかかれない。稀代の演奏と言うべきだろう。 


マーラーのディスコグラフィーです。

 

最近、マーラーの1番を除く以下の選集がでました。以下は概要です。

テンシュテットの魅力は、 自由度の高さを感じさせる曲づくりのなか、流列のはっきりした音楽が豊かに奏でられる一方、それが時に大きく奔流する爽快感です。この「感じ」は20世紀初頭の巨匠時代を彷彿とさせる一方で、彼の演奏にはお仕着せがましさといったものが全くありません。虚心で素直に聴け、しかも聴衆に対して大きな包容力があります。旧東独出身、テンシュテットの特質は本選集でのいわゆる「ドイツ正統派」演目で如何なく発揮されていると思います。まずは、テンシュテットの歩んできた音楽航路を確認して興味が湧いたら、是非どうぞ!下記CDは既にすべて所有していますが、このプライスでまとめて入手できるなら文句なし、推奨します。 

<収録内容>

CD1:ベートーヴェン:交響曲第3番『英雄』、1991926日、103日(ライヴ)、『プロメテウスの創造物』、序曲『コリオラン』、『エグモント』序曲、1984511-12日、ロンドン・フィル  

CD2:ベートーヴェン:交響曲第6番『田園』、第8番、1985915,16,19日、1986327日、『フィデリオ』序曲、1984511-12日、ロンドン・フィル

CD3:ブラームス:交響曲第1番、1983921,22日、ドイツ・レクィエム 第1曲、第2曲、ロンドン・フィル

CD4:ブラームス:ドイツ・レクィエム 第3曲~終曲、1984819,20,23-25日、運命の歌、198552日、ロンドン・フィル

CD5:ブルックナー:交響曲第4番『ロマンティック』(ハース、1881年版、19811213,15,16日)、ベルリン・フィル

CD6:ブルックナー:交響曲第8番(ノーヴァク、1890年版)、1982924-26日、ロンドン・フィル

CD7:マーラー:交響曲第1番『巨人』、シカゴ交響楽団、1990531-64

CD8:シューマン:交響曲第3番『ライン』、19781017-18日、交響曲第4番、ベルリン・フィル、1980418-20,22

CD9R.シュトラウス:『ツァラトゥストラはかく語りき』、19893月、『ドン・ファン』、19869月、『死と変容』、1982328,29日、ロンドン・フィル

CD10:ワーグナー:『ワルキューレ』~「ワルキューレの騎行」、「ヴォータンの別れと魔の炎の音楽」、『神々の黄昏』~「夜明けとジークフリートのラインの旅」、「ジークフリートの死と葬送行進曲」、『ラインの黄金』~「ワルハラへの神々の入場」、『ジークフリート』~「森のささやき」、1980106,8,9日、ベルリン・フィル

CD11:ワーグナー:『タンホイザー』序曲、『リエンツィ』序曲、『ローエングリン』第1幕への前奏曲、第3幕への前奏曲、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲、19821215日、1983416,17日、ベルリン・フィル

CD12:メンデルスゾーン:交響曲第4番『イタリア』、1980418-20,22日、シューベルト:交響曲第9番『グレート』、1983421-22日、ベルリン・フィル

CD13:ムソルグスキー:交響詩『禿山の一夜』(リムスキー=コルサコフ編)、1990510日、コダーイ:組曲『ハーリ・ヤーノシュ』、プロコフィエフ:組曲『キージェ中尉』、ロンドン・フィル、1983922,23,26

CD14:ベートーヴェン:『レオノーレ』序曲第3番、ロンドン・フィル、1984511-12日、シューマン:4本のホルンのためのコンチェルトシュトゥック 、ベルリン・フィル、19781017-18日、ドヴォルザーク:交響曲第9番『新世界より』、ベルリン・フィル、1984314,15

以下はブルックナーの第4番について以前書いたものです

クラウス・テンシュテットは東独の指揮者(1926年メルセベルク生まれ)だったので、早くから頭角はあらわしつつも冷戦下「西側」へのデビューが遅れました。しかし、豊穣なボリューム感をもった音楽性には独自の良さがあります。ブルックナーは得意の演目です。 

当初は、フルトヴェングラー、クレンペラーに続く古式ゆかしい指揮者と思っていましたが、聴き込むうちになんとも素晴らしい音づくりは彼独自のものと感じるようになりました。音の流れ方が自然で、解釈に押しつけがましさや「けれんみ」が全くありません。その一方で時に、柔らかく、なんとも豊かな音の奔流が聴衆を大きく包み込みます。そのカタルシスには形容しがたい魅力があります。ブルックナーの4番は、こうしたサウンドイメージにぴったりですし、ベルリンフィルとの相性も良いと思います。数多の名演のある4番ですが、小生は最も好きな演奏の一つです。 

土曜日, 6月 18, 2011

テンシュテット「ツァラトゥストラはかく語りき」、「ドン・ファン」 LPO



以下は、最近、何度も聴いているものです。実に良い演奏です。


1.R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」作品30
2.R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」作品20 

ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
クラウス・テンシュテット指揮
録音:1)1989-3  2)1989-9  

もうひとつ。以前書いたドボルザークについて付記しておきます。 

テンシュテット ドヴォルザーク第9番  

「新世界」をかけるのはとても久しぶりの気がする。テンシュテットを聴きたくてなににするか暫し考え、手が伸びたのがこのCDだった。198431415日ベルリンでの録音である。カラヤンが帝王としてベルリンに最も君臨していた時代にもかかわらず、テンシュテットは同時期に比較的多くの録音をベルリン・フィルと残している。ライヴェルの存在には人一倍厳しかったと言われるカラヤンがなぜそれを許容したのか、という疑問は残るが、東独出身でおそらくは自分とは全く違うタイプの演奏家であり、覇を競う相手とは考えていなかったのかも知れない。 

 たしかにカラヤン/ベルリン・フィルとは少しく趣きのことなった「新世界」である。ベルリン・フィルはとても伸び伸びと演じているように聞こえる。テンシュテットらしくオケの自由度の幅をとり、全体に鷹揚とした構えながら、要所要所では鋭角的なリズミックさを強調しつつメロディの丹念な彫刻はキチンと行っていく。木訥とした泥臭さをどこか遠くに感じさせながら、ベルリン・フィルのアンサンブルは申し分ない。弦と木管が前面にでて、全体にしなやかな感じをだしている。聴いて飽きのこない佳演だと思う。

以下はテンシュテットについての小生の推薦盤です。 

テンシュテットの名盤
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E5%90%8D%E7%9B%A4/lm/R1BC3KPL6YH0LS