木曜日, 7月 14, 2011

グールド

ブラームス:間奏曲集/4つのバラードより/2つのラプソディ

多くの作品がグールド28才、1960年の録音。しかし、深く思索的なピアニズムは「弾き手」の年令を全く意識させない。クリアすぎるほどに研ぎ澄まされた<音>の連続、その一方、グールドのいつもの唸り声も背後で微かに響く。  

だが、「聴き手」の神経は、そこには止まらずブラームス還暦ちかくの深さをたたえた憂愁の<音楽>に自然に行きつく。そして、どうして倍以上も違う作曲家の心情を、20代の若者の「弾き手」がかくも豊かに表現できるのだろうとの驚きが次にくるだろう。

しかも、半世紀前に録音されたいわば「歴史的」な音源のはずなのに、この稀有な演奏は今日ここで奏でられているかの如く生々しくも「現代的」に響く。グールドは健康上の理由で常備薬を手放せなかったと言われるが、この音楽は逆に、グールドから「聴き手」の心に直接投与される最良の音楽サプリメントである。

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(参考)
とてつもない天才ピアニスト。「とてつもない」とは? ――その演奏を聴けば、その意味は誰にも一目瞭然。リズム/テンポ/アクセント……どれもが強烈で躍動感に満ち、痛快とさえ感じられる。「ジャズ風」などと評されることもあるが、もっとも彼にはそういった意識はない。奇抜な新しい演奏を目指したのではなく、作品や作曲家を愛するがゆえの解釈なのである。それは、彼の全生命や限りない愛情が、一つ一つの音に込められているのを聴けば、納得がいくだろう。
1932 年トロントに生まれ。14歳でトロント交響楽団と共演し、デビュー。55年に、当時誰も取り上げることのなかったバッハの「ゴルトベルク変奏曲」を弾いてアメリカ・デビューを果たし、57年にはカラヤン/ベルリン・フィルとの共演でヨーロッパ・デビューを飾る。しかし、64年からは一切のコンサート活動を停止、レコーディングに専念することとなった。レパートリーは幅広いが、バッハ演奏はとりわけ高い評価をされており、バッハといえばグールドを思い浮かべる人も多い。また作曲家としても、いくつか作品を残している。
夏でも冬並みの支度をして外出したりビタミン剤を常用したりと、健康には異常なほど気を配っていたが、82年、50歳で急逝した。
演奏をしながら歌い、体を揺すり(しかも曲に合っているとは限らない)、椅子の高さを極端に下げ、背を丸め、今にも壊れそうな愛用のピアノからは驚くほどデリケートな音色……。この独特の世界に魅せられる人は、後を絶たない。
このバイオグラフィーはアーティスト本人またはその代理人から提供されています
バッハ:ゴールドベルク変奏曲(55年モノラル盤)

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