■ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op. 67
BEETHOVEN, L. van: Symphony No. 5 in C
minor, Op. 67
ヘルベルト・フォン・カラヤン
- Herbert von Karajan (指揮者)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ヘルベルト・フォン・カラヤン
- Herbert von Karajan (指揮者)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- Vienna Philharmonic Orchestra
録音: November 1948
<演奏時間比較>
本盤
1988年12月
(最後の録音)
» I.
Allegro con brio 7:21 7:29
»
II. Andante con moto 10:45 9:43
»
III. Allegro 5:00 5:15
»
IV. Allegro 8:45 9:00
計 31:51 31:27
このブログでも初期のカラヤンの演奏はいくつか取り上げてきた。ベートーヴェンでは3,7,9番についてすでにコメントした。
「運命」、カラヤン、ウィーン・フィルとならぶと、なにやら巨人、大鵬、卵焼き(古いなあ)を連想させるが、1948年の本演奏は5番の初録音である。
中学生のときにカラヤン/フィルハーモニーの5番のエンジェル赤の廉価盤を買って聴いていた。カラヤン/ベルリン・フィルの新盤が高かったからだが、人工ステレオ盤ながらこれはこれで気にいっていた。カラヤン/ベルリン・フィルのベートーヴェンは1970年大阪万博時、大阪ライヴを聴いた。いまも忘れられない経験だった。その後、ビデオ、DVDをふくめて映像でも接してきたが、かえってその印象が拡散し散漫になったような気がした。
演奏について若干の感想を。試みに第4楽章だけだが、名演の誉れ高いライナー/シカゴ響、イッセルシュテット/ウィーン・フィルと本盤を聴きくらべてみた。ライナーは7:59、イッセルシュテットは8:58である。この1分の差は大きく、一切の無駄のない筋肉質な運動能力の高さを感じさせるライナーに対して、悠揚たる構えのなかでウィーン・フィルの豊潤な響きを聴かせるイッセルシュテットの違いは歴然としている。
しかし、初期カラヤンの斬新さには別の魅力があることを知り、どんどん遡ってカラヤンを聴くことに楽しみを感じるようになった。30才台のカラヤンの若獅子ぶり、40才台にしてのフルトヴェングラー、トスカニーニら巨匠、大家の林立のなかにあっての彼の突出感は比類がなく、いまの若手指揮者には想像できない存在感があったろう。本盤は超有名曲でのその証左である。
演奏について若干の感想を。試みに第4楽章だけだが、名演の誉れ高いライナー/シカゴ響、イッセルシュテット/ウィーン・フィルと本盤を聴きくらべてみた。ライナーは7:59、イッセルシュテットは8:58である。この1分の差は大きく、一切の無駄のない筋肉質な運動能力の高さを感じさせるライナーに対して、悠揚たる構えのなかでウィーン・フィルの豊潤な響きを聴かせるイッセルシュテットの違いは歴然としている。
さて、カラヤンは8:45と時間ではイッセルシュテットに近いが、同じウィーン・フィルを振りながら、その響きからは馥郁たる音質よりもリズミックさが強調される。ここはある意味ではライナー的な行き方である。カラヤン盤では弦のピッチが短く、ときにザクザクと荒っぽくさえ感じさせるほど激しくリズムを刻む。その一方、ここも特質だがいわゆるテクスチャーを浮き彫りにすべく各パートは前面にでて、木管などウィーン・フィルの妙技も示されるが、全体の構成感というか枠組みは堅牢である。(言葉は悪いが)立派な生簀のなかでの錦鯉の遊泳といった感じか。
後年の演奏とくらべると、いささか気負いが強く、ときに表情をつけすぎといった面もあるが、第2楽章のじっくりとした彫琢もカラヤンならではと思う。上記のとおり40年後の最後の録音と比較すると他楽章には大きな差はないが第2楽章は1分以上、遅めの運行である。
一方で、基本的な解釈や各部聴かせどころの処理には大きな違いはない。ベートーヴェンに限らず、ブラームス、チャイコフスキーでの演奏評でも書いたが、ここでもカラヤンは40年代から一貫したスタイルを堅持していることがわかる。よってカラヤンのベートーヴェンを好まない向きには、カラヤンらしさが濃厚にでているゆえ敬遠したいだろうし、逆にカラヤン・ファンには畏敬とともにスリリングに聴くことができるだろう。後年の演奏とくらべると、いささか気負いが強く、ときに表情をつけすぎといった面もあるが、第2楽章のじっくりとした彫琢もカラヤンならではと思う。上記のとおり40年後の最後の録音と比較すると他楽章には大きな差はないが第2楽章は1分以上、遅めの運行である。
詳細な録音記録は以下のとおりであり、さすがウォルター・レッグ、この時期の録音としては傑出した鮮度である。
録音年月日:1948年11月11、15~17日
録音場所:ムジークフェライン・ザール、ウィーン録音:モノラル
スタッフ:P:ウォルター・レッグ、E:ダグラス・ラーター
原盤所有社:イギリス・コロンビア
■カラヤンの実力
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%AE%9F%E5%8A%9B/lm/R1YNZEC1VSHPXA/ref=cm_srch_res_rpli_alt_4
■カラヤンの実力2
■カラヤンの実力2
■カラヤンの実力3
■カラヤンの実力4(初期カラヤン)
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