月曜日, 4月 28, 2014

Richard Strauss: Anniversary Edition

Richard Strauss: Anniversary Edition
http://www.amazon.co.jp/Richard-Strauss-Anniversary-Edition/dp/B00F2UZZSA/ref=sr_1_6?s=music&ie=UTF8&qid=1398698393&sr=1-6&keywords=Richard+Strauss


1950年代の録音を中心とするR.シュトラウスの格安『作品集』。「アルプス交響曲」ではケンペとともに往時のべーム盤は良く知られたもの。「ドン・キホーテ」のチェロは若き日のフルニエを起用。交響詩3曲のセルやライナーの「英雄の生涯」も定評があり、「4つの最後の歌」と楽劇「ばらの騎士」はシュヴァルツコップの代表盤。その意味では、この価格でいくつかの演奏を、この機会に補充したい向きには好適。

その一方、R.シュトラウスのBOXセットは目白押しの状況で、たとえば管弦楽集中心なら、本集とかなりダブル収録ながら Richard Strauss: Orchestral Works and Concertos (Sony Classical Masters) [Import] (下記)の方がより充実しておりお奨めだろう。

 

(収録情報、録音年)

【CD1

◆アルプス交響曲:ベーム/シュターツカペレ・ドレスデン(1957年)

【CD2】

◆交響詩「ドン・キホーテ」:クレメンス・クラウス/ウィーン・フィル(1953年)

【CD3】

◆交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」、同「ドン・ファン」、同「死と変容」:セル/クリーヴランド管(1957年)

 

【CD4】

◆交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」:マッケラス/ロイヤル・フィル(1993年)

◆ホルン協奏曲第1番:デニス・ブレイン(Hrn)、サヴァリッシュ/フィルハーモニア管(1956年)

【CD5】

◆交響詩「英雄の生涯」:ライナー/シカゴ響(1954年)

【CD6】

◆歌劇「火の危機」より:クリュイタンス/ウィーン・フィル(1958年)

◆ブルレスケ:グルダ(pf)、コリンズ/ロンドン響(1954年)

◆ヴァイオリンソナタOp.18:ジネット・ヌヴー(Vln)グスタフ・ベック(pf)1939年)

【CD7】

4つの最後の歌:シュヴァルツコップ(Sop)、アッカーマン/フィルハーモニア管(1953年)

◆歌曲集:ルートヴィヒ(MSop)、ジェラルド・ムーア(pf) 1957年)、ペーター・アンダース(Ten)ギュンター・ヴァイセンボルン(pf)1954年)

【CD8~10】

◆楽劇「ばらの騎士」:シュヴァルツコップ(Sop)、エーデルマン(Bs)、ルートヴィヒ(MSop)、エーベルハルト・ヴェヒター(Br)、テレサ・シュティヒ=ランダル(Sop)、カラヤン/フィルハーモニア管(1956年)

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◆アルプス交響曲Op.64

カール・ベーム指揮、シュターツカペレ・ドレスデン 1957年録音
 

R.シュトラウス:アルプス交響曲
 
参考)
 Strauss: Complete Recordings of the Operas / Karl Bohm

 

◆交響詩「ドン・キホーテ」Op.35



クレメンス・クラウス指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、他 1953年録音

 

R.シュトラウス : 交響詩 「ドン・キホーテ」作品35


 

◆交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」Op.28、交響詩「ドン・ファン」Op.20、交響詩「死と変容」Op.24

ジョージ・セル指揮、クリーヴランド管弦楽団 1957年録音

R.シュトラウス名曲集
 

◆交響詩「英雄の生涯」Op.40

フリッツ・ライナー指揮、シカゴ交響楽団 1954年録音
R.シュトラウス:英雄の生涯&ツァラトゥストラはかく語りき
 

◆交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」Op.30

チャールズ・マッケラス指揮、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1993年録音

◆ホルン協奏曲第1

デニス・ブレイン(Hrn)ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮、フィルハーモニア管弦楽団1956年録音
 
 

歌劇「火の危機」Op.50より

アンドレ・クリュイタンス指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1958年録音

◆ブルレスケ

フリードリヒ・グルダ(pf)アンソニー・コリンズ指揮、ロンドン交響楽団 1954年録音

◆ヴァイオリンソナタOp.18

ジネット・ヌヴー(Vln)グスタフ・ベック(pf)  1939年録音
 
Strauss: Don Juan
 

◆4つの最後の歌

エリーザベト・シュヴァルツコップ(Sop)オットー・アッカーマン指揮、フィルハーモニア管弦楽団 1953年録音

◆歌曲集

クリスタ・ルートヴィヒ(MSop)ジェラルド・ムーア(pf)  1957録音

ペーター・アンダース(Ten)ギュンター・ヴァイセンボルン(pf) 1954年録音
 
 
 
R. シュトラウス:4つの最後の歌/歌劇「アラベラ」(ハイライト) (シュヴァルツコップ)
 
 
 

◆楽劇「ばらの騎士」Op.59

エリーザベト・シュヴァルツコップ(Sop)、オットー・エーデルマン(Bs)、クリスタ・ルートヴィヒ(MSop)、エーベルハルト・ヴェヒター(Br)、テレサ・シュティヒ=ランダル(Sop)

http://www.amazon.co.jp/Richard-Strauss-Orchestral-Concertos-Classical/dp/B00GZHRHIU/ref=sr_1_fkmr0_1?ie=UTF8&qid=1398737193&sr=8-1-fkmr0&keywords=Richard+Strauss++%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B9

   R.シュトラウスの管弦楽&協奏曲集。主力演目は、ライナー、セル、マゼールらが振り、モントゥー、ケンペも聴くことができる。協奏曲などでは、アルゲリッチ(P)、マイロン・ブルーム(Hr)などが名を連ねている。
  以上の顔ぶれから録音時点は1954~2008年にばらけており、シュトラウス独特の広大な音響を最新録音で揃えたい向きには留意がいるかも知れない。
  R.シュトラウスはオケの技量がものを言うが、とくにライナー/シカゴ響、セル/クリーヴランド管はかねてより定評があり、良いセレクション(「ツァラトゥストラ」と「ドン・ファン」、「ティル・・・」は愛聴盤)。また、ほかに米国でサンフランシスコ響、ドイツでミュンヘン、バイエルン、ドレスデン、ベルリンの優秀オケの聴き比べができるのも本集の魅力のひとつ。なによりこの価格で7枚組み、質的には優れた有力選択肢。

<収録情報>(録音年)
◆ライナー /シカゴ響
交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」 Op.30(1954年)
交響詩「英雄の生涯」 Op.40(同上)
楽劇「サロメ」より「7枚のヴェールの踊り」インゲ・ボルク(Sp)(同上)
家庭交響曲 Op.53(1956年)
歌劇「町人貴族」組曲(同上)
 
◆セル /クリーヴランド管弦楽団
交響詩「ドン・ファン」 Op.20(1957年)
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」 Op.28(同上)
 
◆モントゥー /サンフランシスコ響
交響詩「死と変容」 Op.24』(1960年)

◆ケンペ /ミュンヘン・フィル
メタモルフォーゼン(23の独奏弦楽器のための) Op.142(1968年)

◆マゼール /バイエルン放送響
アルプス交響曲 Op.64(1998年)
交響詩「マクベス」 Op.23(同上)
交響詩「ドン・キホーテ」 Op.35(2000年)
ロマンス ヘ長調:スティーヴン・イッサーリス(Vc)(同上)
,
◆ファビオ・ルイージ(指揮) ドレスデン・シュターツカペレ
交響的幻想曲「イタリアから」 Op.16(2008年)

【協奏曲ほか】
・ブルレスケ ニ短調 Op.85:アルゲリッチ(P), アバド /ベルリン・フィル(1992年)
・オーボエ協奏曲 ニ長調 AV.144:ジモン・フックス(Ob), ジンマン /チューリヒ・トーンハレ(2002年),
・クラリネットとファゴットのための二重コンチェルタンテ:ポール・メイエ(Cl), クヌート・ソンステヴォル(Fg), サロネン /ニュー・ストックホルム室内管弦楽団(1987年),
・ホルン協奏曲第1番 変ホ長調 Op.11:マイロン・ブルーム(Hr), セル / クリーヴランド管弦楽団(1961年),
・ホルン協奏曲第2番 変ホ長調 AV.132:ノルベルト・ハウプトマン(Hr), メータ /ベルリン・フィル(1994年)

→ Complete Operas のオペラ集も参照
 

 

 

 

木曜日, 4月 17, 2014

マーラー 交響曲第3番

マーラー:交響曲第3番

【第3番】1979年、オルトルン・ヴェンケル(コントラルト)

 

 マーラーの1,2番、そして後年の交響曲は、長大ではあってもメッセージ性がクリアで、その音楽に比較的入りやすい。しかし、この3番は別である。

本曲はときおり、「夏の交響曲」と呼ばれることもあるが、当初、マーラーが「幸福な生活-夏の夜の夢」という標題を与えたことによる。しかし、この曲には、一般にわれわれが抱く、灼熱の夏、あるいは避暑地の夏、どちらのイメージもそぐわない。本曲を聴きながら「夏」とはなにかをあえて問えば、人生の「朱夏」のときかな、と思う。すなわち、青春、朱夏、白秋、玄冬のもっとも輝くとき、といった想像である。

さらに、全7楽章には以下の標題があると言われる。 

1楽章 「が私に語ること-岩山が私に語ること-牧神(パン)が目覚める、夏が行進してくる(ディオニュソスの行進)」

2楽章 「草原花々が私に語ること」

3楽章 「夕暮れが私に語ること-森のが私に語ること」

4楽章 「が私に語ること-人間が私に語ること」

5楽章 「カッコウが私に語ること-の鐘が私に語ること-天使が私に語ること」

6楽章 「愛が私に語ること・父様はぼくの傷口を見てくださる」

7楽章 「子供が私に語ること・天上の生活」 


ここには自然を連想させる多くの言葉が盛り込まれている。しかし、嵐や小川といった自然を具象的に表現するような感じはあまり受けない。同様に、さまざまな主体が主人公に語りかけることになっているが、それが何を意味しているのかも不可解な部分もある。

さらに、ニーチェなどの思想の影響を指摘する向きもあり、「悦ばしき知識」、「悦ばしき知識(楽しい学問)-夏の朝の夢」などの標題も作曲家本人が語っている。しかし、引用句をふくめ、その主張はそう判然としていないように思う。