水曜日, 9月 23, 2015

今日は バーンスタイン!

バーンスタイン自作自演集(10CD)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B012LBMLF2?ref_=pdp_new_dp_review


まずは、バーンスタイン自作自演集から。

すでにLeonard Bernstein Conducts Bernsteinの廉価盤集が出ており、相当程度はこちらでカヴァーできる。
以下では、交響曲を中心にコメントしたい。コープランドが後世を託したといわれるだけの実力を感じさせる作品集で、メロディの親しみやすさが現代音楽の晦渋さを緩和している。ラフマニノフの自作自演コンサートをライヴで聴いて感動したといわれるバーンスタインが、そうした体験を自身生かしているといえるかも知れない。リズムの切れ味はストラヴィンスキーに通じる部分もある。マーラーやショスタコーヴィッチで秀でた演奏を残したバーンスタインだが、この2人の影響も垣間見えるような独特の量感もある。次に各曲別に若干のコメントとともに、有名な主要作品についても一言。 
◆交響曲第1番、第2番
 第1番「エレミア」 Symphony No.1 for Orchestra and Mezzo-Soprano, "Jeremiah" は1.預言、2.冒とく、3.哀歌からなる。また、第2番「不安の時代」 Symphony No.2 for Piano and Orchestra, "The Age of Anxiety"は、 第1部:プロローグ、7つの時代、7つの段階、第2部:挽歌、仮面舞踏会、エピローグの6つのパートにわかれる。 
  非常に敬虔なユダヤ教徒であった父の影響をうけて、バーンスタイン自身、ユダヤ教の教義には幼少から通じており、これは両曲の思想的、宗教的バックボーンになっている。音楽技法に現代的な装いはあるが、真摯で固い音楽の殻をもった作品である。 
  その一方、表題と歌詞(第1番)にそって鑑賞すれば、作品そのものの晦渋さは相当緩和されよう。第2番のエピローグのピアノソロの微音のあとの強奏のフィナーレの効果などは抜群である。優れた現代作曲家の若き才能を色濃く感じることだろう。 
(参考)
・交響曲第1番『エレミア』
 1961520日 ニューヨーク、マンハッタン・センター(ステレオ) 
・交響曲第2番『不安の時代』
 1965719日 ニューヨーク、マンハッタン・センター(ステレオ)
 ジェニー・トゥーレル(メゾ・ソプラノ:第1番)
 フィリップ・アントルモン(ピアノ:第2番)
 バーンスタイン/ニューヨーク・フィル
→ 本集では、第2番『不安の時代』は、1949年オリジナル版(1950年2月27日 ニューヨーク)ルーカス・フォス(ピアノ)も併録。Symphony 1
 
◆交響曲第3番
第3番「カディッシュ」 Symphony No.3 for Orchestra, Mixed Chorus, Boy's Choir, Speaker and Soprano Solo, "Kaddish" は、1.祈り、カディッシュ[]、2.ディン・トーラー、カディッシュ[]、3.スケルツォ、カディッシュ[]、フィナーレからなる。
カディッシュは「神聖なるもの」、ディン・ドーラは「(神からの)試練」といったユダヤ教からの言葉といわれる。全篇に英語でナレーション(バッハの受難曲でいえば、エヴァンゲリストEvangelistにあたろうか?)が入るが、その語るとことの意味は難解である。 
 音楽は面白い。マーラー的な詠嘆の響き、ショスタコーヴィチ的な強烈なリズム感、ときにヴォルフの歌曲のような深き不安感が交錯し、新ウィーン学派の無調性も顔をのぞかせる。しかし、全体としての明快性への配慮やジャズのノリの良さのブレンド、華麗な楽器の活用などでは、いかにもバーンスタイン流を貫いている。
すでにその兆しもあるが、今後20世紀後期音楽の古典の仲間入りをしてもおかしくない普遍性をそなえた曲といえよう。 
(参考)
・交響曲第3番『カディッシュ』
 1964415日 ニューヨーク、マンハッタン・センター(ステレオ) 
 フェリシア・モンテアレグレ(語り)
 ジェニー・トゥーレル(メゾ・ソプラノ)
 カメラータ・シンガーズ
 コロンバス少年合唱団
 バーンスタイン/ニューヨーク・フィル
◆有名な主要作品について
クラシック、ジャズ、ポップスといったジャンルを超える試みは、ショスタコーヴィチなどでも行われているが、バーンスタインの魅力は、大胆にして自由な発想(「ウェスト・サイド・ストーリー」)、全体を支配する天真爛漫な明るさ(「キャンディード」序曲)、楽器の能力を極限までひきだす実験的手法の駆使(「波止場組曲」)といったところにあるように思う。
 一方で、メロディは親しみやすく(「ファンシー・フリー」)、リズムは不敵な切れ味、そしてオーケストラの質量はときに爆発的になる快感もある。リスナーを自然体で楽しませる才能豊かな作品群である。 
(参考)
『ウエスト・サイド・ストーリー』~シンフォニック・ダンス
 196136日 ニューヨーク、マンハッタン・センター(ステレオ)
『キャンディード』序曲
 1960928日 ニューヨーク、マンハッタン・センター(ステレオ)
映画『波止場』からの交響的組曲
 1960516日 ニューヨーク、マンハッタン・センター(ステレオ)
バレエ音楽『ファンシー・フリー』
 1963611日 ニューヨーク、フィルハーモニック・ホール(ステレオ)
 バーンスタイン/ニューヨーク・フィル 
→ Symphonic Dances From West Side Story / Candide Ov 
<本集のその他の主要収録作品> 
・歌劇『タヒチ島の騒動』全曲
 1973811,13-15日 ロンドン、CBSスタジオ1(ステレオ)

 アントニア・バトラー(ソプラノ)
 ナンシー・ウィリアムズ(メゾ・ソプラノ)
 マイケル・クラーク(テノール)
 マーク・ブラウン(バリトン)
 ジュリアン・ブラウン(バス・バリトン)
 コロンビア・ウィンド・アンサンブル
 レナード・バーンスタイン(指揮)

・ミュージカル『オン・ザ・タウン』
 1960531日 ニューヨーク、マンハッタン・センター(ステレオ)

 クリス・アレクサンダー、ベティ・コムデン
 アドルフ・グリーン、ジョン・リアドン、ナンシー・ウォーカー
 オーケストラとコーラス
 レナード・バーンスタイン(指揮)

・ミサ曲(歌い手、演奏家、ダンサーのための劇場用作品)
 19718月、9月、10月 ワシントンDC、ジョン・F・ケネディ・センター・コンサート・ホール&ニューヨーク、52番街49E スタジオB(ステレオ)

 アラン・タイタス(バリトン)
 ノーマン・スクリブナー合唱団
 バークシャー少年合唱団
 オーケストラ
 レナード・バーンスタイン(指揮)

 
交響曲全集(第1番~第10番『アダージョ』、大地の歌) バーンスタイン&ニューヨーク・フィル、ロンドン響、イスラエル・フィル(12CD)
バーンスタイン/ニューヨーク・フィルは1970年に来日、マーラー交響曲第9番を東京文化会館で演奏した。高校生だった個人的な思い出だが、会場で打ちのめされたような<衝撃>を受けて以来、このマーラー像に魅せられている。 

ライブで聴いた10人の名指揮者
本全集は、バーンスタイン (1918-90)42才から57才頃までの最もエネルギッシュな活躍の時代に録音されたが、その後の再録もあるので一般には「旧盤」と呼ばれる。8番と『大地の歌』以外は手兵ニューヨーク・フィルとの演奏で、一貫してバーンスタインの、「没入型」ともいえる独自のマーラー解釈が表現され、迸るような熱い強奏と深く沈降するような弱奏が全般に早いテンポで交錯する。ワルター、クレンペラーの世代とは一線を画し、新マーラー解釈の扉を開いたといった当時の評価が思い出される。 
録音は古くなったが、演奏の最高の質、破格の値段(CD12枚組)からみて、シノーポリのような「分析型」との対比聞き比べの妙味でも、マーラー全集選択の最右翼である。 
【データ(録音年)】
1番ニ長調『巨人』(1966)、第2番ハ短調『復活』(1963年)、第3番ニ短調(1961年)、第4番ト長調(1960年)、第5番嬰ハ短調(1963年)、第6番イ短調『悲劇的』(1967年)、第7番ホ短調『夜の歌』(1965年)、第8番変ホ長調『千人の交響曲』(1966年、ロンドン響)、第9番ニ短調(1965年)、『大地の歌』(1972年、イスラエル・フィル)、第10番嬰ヘ長調「アダージョ」(1975年)

バーンスタイン 交響曲第9番 異説
 
Leonard Bernstein-Beethoven Symphonies

ベートーヴェンの交響曲全集。たとえば、カラヤンには、多くのリスナーを説き伏せるような「カラヤン流儀」といったものがあり、ベームにはメトロノームを内在したような堂々としたテンポ設定で、リスナーはじっくりと安心して身を委ねられるような安定感がある。  

 対して、バーンスタインのベートーヴェンの特色は、ダイナミックながらすっきりとした解釈にあり、意外にも過不足なく標準的な印象もある。しかし、全体を通じて解釈の一貫性があり、どの曲を聴いても爽やかな聴後感があるのはやはり只者ではない。けれんみなく素直な解釈によって、ベートーヴェンの素材をもっとも生(き)のままに味わうことができるように思う。良い意味で機能主義的なニューヨーク・フィルもいい。ここには、ベルリン・フィルにみるドイツ本流の、とかウィーン・フィルにみる伝統の誇り高きといったブランドイメージはなく、かわってベートーヴェンという名の偉大なコスモポリタニズムを感じさせる。これこそ、意図してバーンスタインが念頭においていたことであり、かつそのお手本は、トスカニーニにあり!ということかも知れない。 

(参考)比較したい全集

◆ベーム:Collectors Edition: Symphonies Nos. 1-9/5 Overture
◆トスカニーニ:Beethoven: The 9 Symphonies 
→ Scoprire Beethoven-I Capolavori に所収、聴取
 バーンスタイン・ザ・シンフォニー・エディション
Igor Stravinsky: Orchestral Works, Violin Concerto, Oedipus Rex, The Rake's Progress

Monday, October 04, 2010

バーンスタイン

 

日曜日, 9月 13, 2015

チャイコフスキー 隠れた名演を廉価盤で!

The Great Conductors
The Great Conductors  を参照


チャイコフスキーを「通俗名曲」とさげすむ向きには以前から強い違和感をもっている。チャイコフスキーはクラシック音楽の最良のゲートウエイであるとともに、そのくめども尽きぬメロディ創作力は、一度その良さを知れば一生ものの魅力をたたえている。さて、そのチャイコフスキー、membranレーベルを中心に、廉価盤を探ってみた。あくまでもご参考まで


グレート・コンダクターズ(30CD)から

Disc1:エルネスト・アンセルメ
● チャイコフスキー:『白鳥の湖』~4曲
 スイス・ロマンド管弦楽団
 エルネスト・アンセルメ(指揮)
 1957年~1960年録音

Disc7:アンタル・ドラティ
● チャイコフスキー:イタリア奇想曲
● チャイコフスキー:序曲『1812年』
 ミネアポリス交響楽団
 ミネソタ大学ブラスバンド
 アンタル・ドラティ(指揮)
 1954年録音

Disc21:エフゲニー・ムラヴィンスキー
● チャイコフスキー:交響曲第6番『悲愴』
 レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
 エフゲニー・ムラヴィンスキー(指揮)
 1956年

(参考)
ムラヴィンスキー vs チャイコフスキー

Disc22:シャルル・ミュンシュ
● チャイコフスキー:弦楽セレナード
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 1957年録音
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チャイコフスキー 交響曲第2番 ショルティ/パリ管(1956年)
http://shokkou3.blogspot.jp/2015/02/1956.html


membranレーベル以外にも多様な選択肢がある。購入金額 3000円でちょっと考えてみた(価格は変動するので、この時点でのものであることはご留意)。


チャイコフスキー Tchaikovsky 3000円で揃える名演


membranレーベルは協奏曲も充実している。以下も参照 


Great Concertos
Great Concertos

(収録情報)

【クライバーン/チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番】

・チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第番1番 変ロ短調 Op.23
 ヴァン・クライバーン(p)
 ピエトロ・アルジェント(指揮)スイス・イタリア語放送管弦楽団
 録音:1962年5月25日、ルガーノ

・幻想序曲『ロメオとジュリエット』
 レオポルド・ストコフスキー(指揮)スイス・イタリア語放送管弦楽団
 録音:1968年8月7日、ルガーノ[ステレオ]

→ Piano Concerto 1 / Romeo & Juliet Overture

 
【ウート・ウーギ/ベートーヴェン、チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲】

・ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.61
 録音:1970年11月5日、ルガーノ[ステレオ]
・チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
 録音:1981年9月18日、ルガーノ[ステレオ]
 マルク・アンドレーエ(指揮)スイス・イタリア語放送管弦楽団
 ウート・ウーギ(vn)

→ Great Conductors Great Chamber Music も推賞