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1975年3月17日、NHKホールにてこの演奏を聴いた。当日ウィーン・フィルが珍しくもフルスロットルの状態であったのは、大家ベームとの共演であったことに加えて、聴衆の真剣さがホールに満ちみちていたからかも知れない。
齢80歳のベームは思いのほかエネルギッシュで、矍鑠(かくしゃく)とし気力充実していた。そして日本での公演をなによりこよなく楽しんでいた。終演後、オケが退場しても延々と続く長いカーテンコールに最後まで誠実に満面の笑顔で応えてくれた。謹厳実直居士のような印象のベームが、「こんなに嬉しそうに笑うんだ!」という、ある意味新鮮な驚きも聴衆の足をさらに引き留めた。
「火の鳥」が実はベームの得意の演目であったこともサプライズであったが、お目当てのブラームスは、1959年のベルリン・フィルとの歴史的名盤を彷彿とさせる出来栄えであった。弦のふくよかで分厚いハーモニーと管楽器群の伸びやかなれど乱れぬ重奏、悠揚とした一定のテンポ、起伏の大きな構成力、そしてとぎれぬ緊張感から、聴き終わったあとにズシリとくる充足感。アンコールは鎮静剤ではなく、上記の聴衆の興奮の導火線になった。究極の職人芸は最高の芸術に通ず。
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