生誕100年記念ドキュメンタリー Aモード・ステレオ
「ヘルベルト・フォン・カラヤン ~その目指した美の世界~ 」
11月8日(土) 23時56分00秒 ~ 翌01時27分00秒 [1時間31分00秒]
<内容>
インタビューやリハーサルの風景を元に、カラヤンの内面に迫るドキュメンタリー。 多くの映像は、12年間にわたりカラヤンのミュージック・フィルムを手がけた ユニテルが保有しているものであり、それらのフッテージを補完するものとして 彼の妻と娘をはじめ、グンドゥラ・ヤノヴィッツ、エフゲニー・キーシン、小澤征爾、サイモン・ラトルら 彼に関わった多くの男女の率直なコメントが盛り込まれている。 その結果、本作品は20世紀最大の巨匠の深遠にして複雑な姿を描き出し、 ある意味ではさらにミステリアスな存在として、その多様な人物像に光をあてている。 [ 制作:2007年 (ドイツ) ]
インタビューやリハーサルの風景を元に、カラヤンの内面に迫るドキュメンタリー。 多くの映像は、12年間にわたりカラヤンのミュージック・フィルムを手がけた ユニテルが保有しているものであり、それらのフッテージを補完するものとして 彼の妻と娘をはじめ、グンドゥラ・ヤノヴィッツ、エフゲニー・キーシン、小澤征爾、サイモン・ラトルら 彼に関わった多くの男女の率直なコメントが盛り込まれている。 その結果、本作品は20世紀最大の巨匠の深遠にして複雑な姿を描き出し、 ある意味ではさらにミステリアスな存在として、その多様な人物像に光をあてている。 [ 制作:2007年 (ドイツ) ]
なにげなく見だして、最後まで集中して堪能した。上記のほか、ルートビッヒ(クリスタ)、シュワルツコップ(エリザベート)、ムター(アンネ=ゾフィー)、コロ(ルネ)はじめベルリン・フィル、ウイーン・フィルの楽員はもとより、ヘルムート・シュミット元首相らがインタビューに登場するなど実に多くの証言が盛り込まれた充実した作品。知られざるエピソードにも事欠かないし、プライヴェートな映像も満載で、あっという間の91分だった。
必ずしも「カラヤン礼賛」といった作り方ではなく、欠点や批判的な意見も含め、その巨大な人間像を描き出そうという制作者の意図が感じられた。
「全て暗譜の猛烈な勉強家」(ルートビッヒ)、「公私ともに厳しい規律正しさ」(シュミット)といったコメントがある一方、ウルム、アーヘン時代の赤貧ぶり、ナチとの関係(2度の入党)から晩年のベルリン・フィルとの決別経緯、椎間板の病気との闘い、老いへの慨嘆といった点も浮き彫りにされていて新鮮な印象。
指揮者では、フルトヴェングラーやチェリビダッケとの関係といった書き割りパターンとは別個のアプローチで、バーンスタインとのライバル関係にスポットをあてていた。カラヤンはじめてのアメリカ公演ではバーンスタインのお世話になった。当時、バーンスタインはNYフィルでの登壇をセットしたが、カラヤンは終生、バーンスタインをベルリン・フィルには招かなかったとか、小澤征爾が両巨頭の弟子の「二股」で大丈夫かと言われたとか、晩年の2人の邂逅エピソード(ウイーン・フィルを半分ずつ振るプログラムをやろうと言ったとか)、カラヤン追悼でバーンスタインがマーラーの5番を選択したとかがここで取り上げられていた。マーラーの5番は2人の練習風景を交互に写しその違いを強調するなど小憎らしいくらい凝った部分も見どころだった。
全体から受けた印象は、「帝王」といったレッテルよりも、抜群の才能に満ちた指揮者、我が儘だが生真面目な実務家、先駆的なエンジニア兼総合芸術プロデューサーの共存といった感じで、むしろ番組を見る前よりも身近な存在に思えた。幼少の娘2人に熱いスパゲッティを取り分けてあげる場面などの挿入があるからかも知れないが、「人間カラヤン」の素顔に少しく触れた思いがした。なお、ブルックナーでは9番の映像が入っていた。
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