プロムシュテットのブルックナーの4番(ジャケットは7番)がいい。今日聴いていて、その瑞々しさに改めて心打たれた。プロムシュテットはいまチェコ・フィルと来日中。以前、テレビのインタビューを見たが、敬虔なクリスチャンで健康に気をつかう小食の菜食主義者。長身、痩躯の哲学者的な佇まいの大家中の大家である。以下はかつての記述の再掲。
1981年9月ドレスデンのルカ協会での演奏。2回目の全集を同じドレスデン・シュターツカペレで収録中のヨッフムの4番は翌1982年録音だから、この時期シュターツカペレはブルックナーに実に集中して取り組んでいたことになる。薄墨をひいたような弦楽器の少しくすんだ音色も、ルカ協会特有の豊かな残響ともに共通するが、ブロムシュテット盤も秀逸な出来映えで両盤とも甲乙はつけがたい。
ブロムシュテットは全般にヨッフムよりも遅く、かつテンポはベーム同様、実に厳しく一定に保つ(いずれもノヴァーク版使用。ヨッフム:ブロムシュテットで各楽章別に比較すれば、第1楽章、17’48:18’23、第2楽章、16’40:16’30、第3楽章、10’02:10’51、第4楽章、20’22:21’06)。
ブルックナーの音楽は本源的に魅力に溢れ聴衆に必ず深い感動をあたえるという「確信」に裏打ちされたように、小細工など一切用いず、素直に、しかし全霊を傾けてこれを表現しようとする姿勢の演奏。どの断面で切っても音のつくりに曖昧さがなく、全体にダイナミズムも過不足ない。
ブルックナー好きには、演奏にえぐい恣意性がなく、作曲家の「素地」の良さを見事に表現してくれた演奏と感じるだろう。ヨッフム盤とともにお奨めしたい。
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(参考)
『ウィキペディア(Wikipedia)』からの引用
ヘルベルト・ブロムシュテット(Herbert Blomstedt, 1927年7月11日 - )は、アメリカ生まれのスウェーデン人指揮者。称号はバンベルク交響楽団名誉指揮者など。
ストックホルム音楽大学やウプサラ大学に学んだ後、イーゴリ・マルケヴィッチに師事。さらにアメリカ合衆国に留学してジュリアード音楽学校でジャン・モレルに、タングルウッドのバークシャー音楽センターでレナード・バーンスタインに師事。1953年にクーセヴィツキー賞を獲得し、1955年にザルツブルク指揮コンクールで優勝した。
1954年2月にロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団でベートーヴェン、ヒンデミットなどの作品を指揮して指揮者として本格的にデビュー。その後、ノールショピング交響楽団、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、デンマーク放送交響楽団、スウェーデン放送交響楽団の首席指揮者を歴任した後、名門のシュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者に就任。ドレスデンを去った後はサンフランシスコ交響楽団(1985年~1995年、現在は桂冠指揮者)、北ドイツ放送交響楽団(1995~1998年)を経て、1998年から2005年までライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席指揮者を務めた(現在は名誉指揮者)。また、バンベルク交響楽団とNHK交響楽団の名誉指揮者でもある。N響を振っていることから 日本国内でもよく知られた外国人指揮者の一人である。
2009年秋には、東欧の名門チェコ・フィルハーモニー管弦楽団との客演指揮者としての来日が予定されており、東京・大阪をはじめとする全国数箇所での公演で、アントン・ブルックナーの交響曲第8番などのドイツ音楽の大曲や、アントニン・ドヴォルザークの交響曲第8番や第9番「新世界より」などのチェコ音楽が演奏される予定である。
ブロムシュテットの演奏は、華やかな個性とはあまり縁がなく、高い名声を誇りながらもどこか地味な印象が強いが、指揮するオーケストラの持つ美質を最大限に引き出して充実感溢れる演奏を行うという点では現代屈指の指揮者の一人であるといえるだろう。ドイツ読みの名前で親しまれているように(スウェーデン読みではブルームステート)、この世代に人材が手薄なドイツ音楽の大家として信頼が厚く、また北欧系レパートリーにも秀でている。近年は、以前にもまして熟練の度合いを深めており、今後、更なる深化が期待される。
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