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レビュー から引用
ワーグナー:舞台神聖祝典劇「パルジファル」(録音:1951年7月・8月、バイロイト祝祭劇場)(4枚組)
演奏史譚家・山崎浩太郎さんも
「...デッカはすでにCD化している。そのCDは正統も正統、嫡流中の嫡流である。
“板起こし”のCDなんてものは、それに比べれば、怪しげなクローン人間みたいなものかも知れない。オリジナルのマスター・テープに遡ることもせず、お金を払えば誰でも買えた、何千枚もあるLPから音をとって、調整を加えたものに過ぎないのだから。
だが、音がいい。
立体感、深さ、そして生々しさ、ここでエンジニアのマーク・オバート=ソーンが溝から拾い出した音は、とても気持ちがいい。
恥をしのんで告白すれば、わたしはクナッパーツブッシュの51年盤というのが、今まであんまりよくわからなかった。間延びして聞こえたのだ。しかしそれは間違っていた。」
と絶賛する生々しい音質も特筆ものです。
マーク・オバート=ソーン氏によるプロデューサー・ノート
このクナッパーツブッシュの「パルジファル」の録音は、1951年の7月と8月、バイロイト音楽祭における数回の演奏を編集して制作された。
デッカはその当時まだそれほど磁気テープというメディアの操作に慣れていなかったために、音響バランスはまずまずで明瞭な雰囲気も出ているが、場所により、パースペクティヴのばらつきとオーディエンス・ノイズが耳につく。
オリジナル・マスターには他にも問題がある。例えば第二幕、クンドリーのオクターブ跳躍の箇所で残響付加があり、第二幕開始時の低音部では、おそらくアジマス調整(ヘッドと磁気テープの相対角度の調整)の不手際に起因する雑音が存在する。どちらも訂正することは出来なかった。
しかし、第三幕終結部のピッチの低下(この録音の再発売LPでは厄介な問題になっていた)は修正し、また、いくつかのLPでは何の説明も無く割愛されていた、同じ幕での聖杯の騎士登場直後にある弦の音も修復することができた。
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