http://www.hmv.co.jp/artist_%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%A4%E3%83%B3%EF%BC%881908-1989%EF%BC%89_000000000213588/biography/
第二次大戦後、フルトヴェングラーが苦労のすえ古巣のベルリン・フィルの指揮台に再び立ち、その復興に尽力したことが、どれほど大きくベルリン市民のみならずドイツ国民全体に勇気を与えたか。同様に、冷戦下の大変厳しい政治環境にあって、カラヤンが、世界最高のスキル・フルな楽団としてのベルリン・フィルをいかに手塩にかけて育て上げ世に問うたか。それによって、当時「孤島ベルリン」の安全保障になんと有形・無形の貢献をしたことか。
いまから過去を振り返れば、至極あたりまえに見えることが、両人の血の滲むような努力なくしては決して成し得なかったことを考えると、フルトヴェングラーからカラヤンにいたる連続した時代の重みをズシリと感じる。
そのカラヤンのデビューから1960年までの昇竜期の117枚の記録。以下は小生の聴いてきた初期の録音を中心に若干のコメントを。
カラヤン デビューから1960年までの昇竜期の記録 (amazon.co.jp)
まず、1938~43年にかけてのSP録音の≪序曲/前奏曲集≫。戦前、戦中の若き日のカラヤンの英姿がここにある。ドイツ・イタリア枢軸国の代表的な名曲集といった「きな臭い部分」はあろうが、耳を傾けると、そこには類い希な才能にめぐまれた若手指揮者の立ち姿が浮かび上がってくる。特に、イタリアものの響きが、切なく可憐で、しかも初々しくも凛々しい。よくこんな音楽を奏でることができるものかと思う。30代前半のカラヤンの充ち満ちた才能に驚く1枚。
◆ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調op.92 (1941年/ベルリン)
同様に30歳台前半のカラヤンの青年期の記録。圧倒的なスピード感、メリハリの利いた解釈、気力溢れる演奏。しかし、力押しばかりでなく、ときに柔らかく溌剌としたフレーズが心に滲みてくる。天才的な「冴え」である。後日、ベルリン・フィルがフルトヴェングラーの後任にカラヤンを指名した理由がよくわかるような気がする。カラヤンのベートーヴェンの斬新さはいま聴いても凄いと思う。
協奏曲では相性のよいギーゼキングとベートーヴェンの4,5番、グリーグなどを収録。録音こそ古いが、いずれもこの価格では文句なし、粒ぞろいの名曲・名演集となっている。
【収録情報】
<モーツァルト>
・交響曲第35番、第40番(RAIトリノ管弦楽団/1942年10月),
・『アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク』(ウィーン・フィル/1946年10月)
<ベートーヴェン>
・交響曲:第3番(1952年11月)、第7番(1952年11月)、第8番(ウィーン・フィル/1946年11月)、第9番(シュヴァルツコップ(S)、エリーザベト・ヘンゲン(Ms)、ユリウス・パツァーク(T)、 ハンス・ホッター(Bs)、ウィーン楽友協会合唱団、ウィーン・フィル/1947年11,12月)
・ピアノ協奏曲:第4番、第5番(ギーゼキング(p)/1951年6月)
・『レオノーレ』序曲第3番(コンセルトヘボウ/1943年)
<ブラームス>
・交響曲第1番(コンセルトヘボウ/1943年9月)
<ヴェルディ>
・レクイエム(ヒルデ・ザデク(S)、マルガレーテ・クローゼ(C)、ヘルゲ・ロスヴァンゲ(T)、ボリス・クリストフ(B)、ウィーン楽友協会合唱団、ウィーン・フィル/1949年8月14日、ザルツブルク[ライヴ])
<R.シュトラウス>
・『ばらの騎士』〜“Herr Gott im Himmel”(シュヴァルツコップ(S)、イルムガルト・ゼーフリート(Ms)、ウィーン・フィル/1947年12月)
・『サロメ』〜7枚のヴェールの踊り(コンセルトヘボウ/1943年9月)
<シベリウス>
・交響曲第5番、『フィンランディア』(1952年7月)
<その他>
・フランク:交響的変奏曲(ギーゼキング(p)/1951年6月)
・グリーグ:ピアノ協奏曲(同上)
・ストラヴィンスキー:『かるた遊び』(1952年5月)
・バルトーク:管弦楽のための協奏曲(1953年6月)
まず、1938~43年にかけてのSP録音の≪序曲/前奏曲集≫。戦前、戦中の若き日のカラヤンの英姿がここにある。ドイツ・イタリア枢軸国の代表的な名曲集といった「きな臭い部分」はあろうが、耳を傾けると、そこには類い希な才能にめぐまれた若手指揮者の立ち姿が浮かび上がってくる。特に、イタリアものの響きが、切なく可憐で、しかも初々しくも凛々しい。よくこんな音楽を奏でることができるものかと思う。30代前半のカラヤンの充ち満ちた才能に驚く1枚。
Herbert von Karajan : The Early Recordings (1938-1946)
40年代のコンセルトヘボウとの共演も興味深く、ブラームス交響曲第1番や「サロメ」でのカラヤンは溌剌とし実に巧い。
【録音記録】
◆ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調op.92 (1941年/ベルリン)
◆「レオノーレ」序曲第3番op.72a (1943年9月15日/アムステルダム):アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
◆ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1&第3幕への前奏曲(1939年2月、4月/ベルリン):ベルリン国立歌劇場管弦楽団
カラヤンの主として50年代のフィルハーモニア管弦楽団との演奏。モノラルながら聴きやすい録音。今日聴いても、その明確な解釈、快速な運行、品位ある抒情性に感心する。特にウイーン・フィルとのベートーヴェン「第九」、ヴェルディ「レクイエム}は迫力にあふれた出色のもの。
40年代のコンセルトヘボウとの共演も興味深く、ブラームス交響曲第1番や「サロメ」でのカラヤンは溌剌とし実に巧い。協奏曲では相性のよいギーゼキングとベートーヴェンの4,5番、グリーグなどを収録。録音こそ古いが、いずれもこの価格では文句なし、粒ぞろいの名曲・名演集となっている。
【収録情報】
<モーツァルト>
・交響曲第35番、第40番(RAIトリノ管弦楽団/1942年10月),
・『アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク』(ウィーン・フィル/1946年10月)
<ベートーヴェン>
・交響曲:第3番(1952年11月)、第7番(1952年11月)、第8番(ウィーン・フィル/1946年11月)、第9番(シュヴァルツコップ(S)、エリーザベト・ヘンゲン(Ms)、ユリウス・パツァーク(T)、 ハンス・ホッター(Bs)、ウィーン楽友協会合唱団、ウィーン・フィル/1947年11,12月)
・ピアノ協奏曲:第4番、第5番(ギーゼキング(p)/1951年6月)
・『レオノーレ』序曲第3番(コンセルトヘボウ/1943年)
<ブラームス>
・交響曲第1番(コンセルトヘボウ/1943年9月)
<ヴェルディ>
・レクイエム(ヒルデ・ザデク(S)、マルガレーテ・クローゼ(C)、ヘルゲ・ロスヴァンゲ(T)、ボリス・クリストフ(B)、ウィーン楽友協会合唱団、ウィーン・フィル/1949年8月14日、ザルツブルク[ライヴ])
<R.シュトラウス>
・『ばらの騎士』〜“Herr Gott im Himmel”(シュヴァルツコップ(S)、イルムガルト・ゼーフリート(Ms)、ウィーン・フィル/1947年12月)
・『サロメ』〜7枚のヴェールの踊り(コンセルトヘボウ/1943年9月)
<シベリウス>
・交響曲第5番、『フィンランディア』(1952年7月)
<その他>
・フランク:交響的変奏曲(ギーゼキング(p)/1951年6月)
・グリーグ:ピアノ協奏曲(同上)
・ストラヴィンスキー:『かるた遊び』(1952年5月)
・バルトーク:管弦楽のための協奏曲(1953年6月)
(再掲)
0 件のコメント:
コメントを投稿