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このセットは古い音源だが優れもの。いわばボーナスCDともいえる10枚目の小品集を聴く。ここ数日、リヒターのバッハ三昧(18枚組)で、いささか気が張ったので、手元にあった本集からの気分転換の聞き流しであったが、思わず、これは見事という演奏に接して、誰が振っているかを確かめる。
アンセルメとカラヤンの演奏が一頭群を抜く。アンセルメのツボにはまった技量は、いま聴くとちょっと管弦楽の厚みの足りない印象もあるスイス・ロマンド管をフルに動かして、「音による映像錯覚」とでもいうべき感性豊かな場面を眼前に提供してくれる。
カラヤンは、オケの操舵の上手さもあって 飽くまでも、まろやかで、柔らかな響きのなかに、質量十分なシンフォニックな世界を包み込み、飛び切りに上質である。
若きショルティも集中力にあふれ元気いっぱいだが、ちょっと力押しの部分が鬱陶しい。それ以外の演奏には、どこか難があり綻びも目立つ。小品なればこそ、その差は歴然とわかる。
【Disc10】
・グリンカ:『ルスランとリュドミラ』序曲
ゲオルグ・ショルティ指揮、ベルリン・フィル
録音:1959年(DECCA)
・ハチャトゥリアン:『ガイーヌ』~剣の舞
・グリエール:『赤いけしの花』~中国の踊り
カーメン・ドラゴン指揮、ハリウッド・ボウル管弦楽団
録音:1959年(CAPITOL)
・リムスキー=コルサコフ/ハイフェッツ編:熊蜂の飛行
マイケル・レビン(ヴァイオリン)
フェリックス・スラトキン指揮、ハリウッド・ボウル管弦楽団
録音:1959年(CAPITOL)
・ボロディン:『イーゴリ公』序曲
・ムソルグスキー:『ホヴァーンシチナ』第1幕への前奏曲『モスクワ川の夜明け』
・ムソルグスキー:『ホヴァーンシチナ』~ペルシャの奴隷の踊り
ゲオルグ・ショルティ指揮、ベルリン・フィル
録音:1959年(DECCA)
・ストラヴィンスキー:『ペトルーシュカ』~ロシアの踊り(抜粋)
レオポルド・ストコフスキー指揮、ベルリン・フィル
録音:1957年(EMI)
・ストラヴィンスキー:『マヴラ』~パラシャのアリア
・ストラヴィンスキー:『妖精の口付け』~パ・ドゥ・ドゥ
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)
アレクサンドル・テデューヒン(ピアノ)
録音:1960年
・ストラヴィンスキー:サーカスポルカ
アンドール・フォルデス(ピアノ)
録音:1951年
・プロコフィエフ:『ロメオとジュリエット』~マスク
ユーリ・シモノフ指揮、ロイヤル・フィル
録音:1993年(TRING)
・チャイコフスキー:『くるみ割り人形』~行進曲
レオポルド・ストコフスキー指揮、交響楽団
録音:1957年
・チャイコフスキー:『くるみ割り人形』~花のワルツ
エルネスト・アンセルメ指揮、スイス・ロマンド管弦楽団
録音:1959年(DECCA)
・チャイコフスキー:『くるみ割り人形』~トレパーク
フィリップ・ヴァンドー指揮、フランス・フィル
録音:1960年
・チャイコフスキー:『眠りの森の美女』~ワルツ
・チャイコフスキー:『白鳥の湖』~情景
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮。フィルハーモニア管弦楽団
録音:1955年(EMI)
・チャイコフスキー:『白鳥の湖』~4羽の白鳥の踊り
エルネスト・アンセルメ指揮、スイス・ロマンド管弦楽団
録音:1959年(DECCA)
・チャイコフスキー:『エフゲニ・オネーギン』~ワルツ
フェリックス・スラトキン指揮、ハリウッド・ボウル管弦楽団
録音:1958年(CAPITOL)
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ロシアの14名の作曲家の名曲集。1950年代の古い録音、ジャケットはいかにも地味ながら演奏家の陣立ては立派で掘り出し物も多い。
チャイコフスキーでは交響曲2番(ショルティ)、6番(ムラヴィンスキー)を所収。ヴァイオリン協奏曲(ハイフェッツ、ライナー/シカゴ響)も歴史的名演。
ラフマニノフのピアノ協奏曲も重布陣で、2番(リヒテル)、3番(ホロヴィッツ)、4番(ミケランジェリ)と並べ、プロコフィエフでもヴァイオリン協奏曲1番(オイストラフ)、ピアノ協奏曲5番(リヒテル)と絢爛豪華。
ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲2曲は作曲家のピアノ自演。ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲(オイストラフ)では作曲家が指揮台に立つ。
このほかムソルグスキーやストラヴィンスキーでも個性的な名手が登壇。小品集も丹念に拾っておりこの価格なら大いに楽しめる。
(収録情報)
◆チャイコフスキー:
・交響曲第2番『小ロシア』:ショルティ/パリ音楽院管(1956年)
・同第6番『悲愴』:ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル(1956年)
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・ピアノ協奏曲第1番:カーゾン(ピアノ)、ショルティ/ウィーン・フィル(1958年)
・同第2番:チェルカスキー(ピアノ)、リヒャルト・クラウス/ベルリン・フィル(1955年)
・ヴァイオリン協奏曲:ハイフェッツ(ヴァイオリン)、ライナー/シカゴ響(1957年)
・ロココの主題による変奏曲:ロストロポーヴィチ(チェロ)、ロジェストヴェンスキー/ソ連国立交響楽団(1960年)
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・『くるみ割り人形』〜行進曲:ストコフスキー/同交響楽団(1957年)
同〜花のワルツ:アンセルメ/スイス・ロマンド管(1959年)
同〜トレパーク:フィリップ・ヴァンドー/フランス・フィル(1960年)
・『白鳥の湖』〜情景:カラヤン/フィルハーモニア管(1955年)
同〜4羽の白鳥の踊り:アンセルメ/スイス・ロマンド管(1959年)
・『眠りの森の美女』〜ワルツ:カラヤン/フィルハーモニア管(1955年)
・『エフゲニ・オネーギン』〜ワルツ:スラトキン/ハリウッド・ボウル管(1958年)
・弦楽セレナード〜ワルツ:ミュンシュ/ボストン響(1957年)
・イタリア奇想曲、序曲『1812年』:ドラティ/ミネアポリス響(1954年)
・スラヴ行進曲:メニューイン/ロイヤル・フィル(1994年)
◆ラフマニノフ:
・ピアノ協奏曲第2番:リヒテル(ピアノ)、ヴィスロツキ/ワルシャワ・フィル(1959年)
同第3番:ホロヴィッツ(ピアノ)、ライナー/RCAビクター響(1951年)
同第4番:ミケランジェリ(ピアノ)、グラチス/フィルハーモニア管(1957年)
・パガニーニ主題による狂詩曲:ルービンシュタイン(ピアノ)、ジュスキント/フィルハーモニア管(1947年)
・前奏曲ト長調
op.32-5、同ト短調 op.23-5:ゲザ・アンダ(ピアノ)(1956年)
◆プロコフィエフ:
・ヴァイオリン協奏曲第1番:オイストラフ(ヴァイオリン)、マタチッチ/ロンドン交響楽団(1954年)
・ピアノ協奏曲第5番:リヒテル(ピアノ)、ロヴィツキ/ワルシャワ・フィル(1959年)
・『ロメオとジュリエット』〜マスク:ユーリ・シモノフ/ロイヤル・フィル(1993年)
◆ショスタコーヴィチ:
・ピアノ協奏曲第1番:ドミトリー・ショスタコーヴィチ(ピアノ)、サモスード/モスクワ・フィル(1955年)
・同第2番:同上(ピアノ)、ガウク/モスクワ放送交響楽団(1958年)
・2台のピアノのためのコンチェルティーノ:同上+マクシム・ショスタコーヴィチ(ピアノ)(1956年)
◆ハチャトゥリアン:
・ヴァイオリン協奏曲ニ短調:オイストラフ(ヴァイオリン)、ハチャトゥリアン/ソ連国立交響楽団(1956年頃)
・『ガイーヌ』〜剣の舞:カーメン・ドラゴン/ハリウッド・ボウル管(1959年)
◆ムソルグスキー:
・管弦楽組曲『展覧会の絵』:カラヤン/フィルハーモニア管(1955年)
・同ピアノ組曲『展覧会の絵』:リヒテル(ピアノ)(1958年)
・交響詩『禿山の一夜』、『ホヴァーンシチナ』第1幕への前奏曲「モスクワ川の夜明け」、同〜ペルシャの奴隷の踊り:ショルティ/ベルリン・フィル(1959年)
◆ストラヴィンスキー:
・『ペトルーシュカ』〜ロシアの踊り(抜粋);ストコフスキー/ベルリン・フィル(1957年)
・『マヴラ』〜パラシャのアリア、『妖精の口付け』〜パ・ドゥ・ドゥ:ロストロポーヴィチ(チェロ)、アレクサンドル・テデューヒン(ピアノ)(1960年)
・サーカスポルカ:アンドール・フォルデス(ピアノ)(1951年)
◆スクリャービン:
・ピアノ協奏曲嬰ヘ短調:ソロモン(ピアノ)、ドブロウェン/フィルハーモニア管(1949年)
・練習曲第11番ロ短調、炎に向かってop.72:ソフロニツキー(ピアノ)(1958年)
◆ボロディン:
・『イーゴリ公』〜だったん人の踊り:マルケヴィチ/フランス国立放送管(1957年)
同序曲:ショルティ/ベルリン・フィル(1959年)
・交響詩『中央アジアの草原にて』:フリッチャイ/RIAS交響楽団(1954年)
◆カバレフスキー:ヴァイオリン協奏曲ハ長調:オイストラフ(ヴァイオリン)、カバレフスキー/ソ連国立交響楽団(1956年頃)
◆グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲イ短調:ミルシテイン(ヴァイオリン)、スタインバーグ/RCAビクター響(1949年)
◆グリンカ:『ルスランとリュドミラ』序曲:ショルティ/ベルリン・フィル(1959年)
◆グリエール:『赤いけしの花』〜中国の踊り:ドラゴン/ハリウッド・ボウル管(1959年)
◆リムスキー=コルサコフ/ハイフェッツ編:熊蜂の飛行:マイケル・レビン(ヴァイオリン)、スラトキン/ハリウッド・ボウル管(1959年)
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