土曜日, 1月 09, 2016

GUSTAV MAHLER EDITION ヘンスラー/マーラー・エディション(21CD) 

GUSTAV MAHLER EDITION

http://www.amazon.co.jp/dp/B0176UZB64/ref=pdp_new_dp_review


「マーラー・エディション」と題された21枚組CD集。聴きものはテンシュテットの4番と5番。いずれも純度の高い名演でお値打ち品。加えて、比較的録音の新しいハイティンクの2番、シノーポリの9番はいずれもシュターツカペレ・ドレスデンの重厚な演奏。ワルターの1番と『さすらう若人の歌』他、ショルティの『大地の歌』は1960年代初頭の録音。

一方、3番、6番、7番、8番および10番は1950年代の録音が中心で、すでにメンブラン・レーベルのスーパー廉価盤10枚組で入手可能なので要留意。

その他の収録作品は入手しにくいユニークな演奏もあるが、本集で揃えるかどうかはリスナーの好み如何。なお、ボックスおよびCDはかなり安普請で、外箱に若干の傷がついて送られてきた点を付記しておきたい。 

【収録情報】

<テンシュテット>

・交響曲第4番:エヴァ・チャポー(ソプラノ)、南西ドイツ放送響(1976年、ステレオ/ライヴ)

マーラーの作品のなかでも鈴や木管の響きがどこか牧歌的な田舎の雰囲気を漂わす4番。南西ドイツ放送交響楽団、この時代の本拠はバーデン=バーデン。ここはドイツの温泉保養地として著名だが人口約5万人の小都市である。1976年、東独出身で当時西独でもやっと知られるようになった遅咲きのテンシュテットがそこに客演したライヴ盤。組み合わせとしてはけっして悪くない。

マーラー自身、ウィ-ンで君臨する以前、ドイツの小都市で指揮者としての修行を積んだことがあり、ドイツ地方オケの多くは親近感をもっている。南西ドイツ放送響は集中度の高い思い入れのある臨場だ。優しいメロディ、尖ったところのない素朴な響き、駘蕩たる空気、そこに佇む素朴な人々…。特に第3楽章のちょっと悲し気な美しさは、ハイマートな郷愁か、あるいはそれをロスした旅愁を感じさせる。そこにテンシュテットの指揮姿が二重写しになる。

終楽章のエヴァ・チャポーのソプラノは丁寧で折り目正しい歌唱。高音部よりも低いトーンの伸びが印象的。全体としては、力んだところのない、実に心休まる名演である。


 Symphony 4 / 3 Songs From Des Knaben Wunderhorn

・交響曲第5番:北ドイツ放送響(1980年、ステレオ/ライヴ)

テンシュテットのマーラーの全集は、Warner Classicsから腹立たしいくらいダンピングされて市場にでている。Mahler: Complete Symphonies Klaus Tennstedt (その演奏の特質はここで「テンシュテット、傾聴すべき遺産」として記した。このセットでは、マーラーの第5番は、ロンドン・フィルとの1978年セッション録音盤、1988年ライヴ盤の双方を聴くことができる)。


それとの比較では、本盤(NDR交響楽団との1980年ライヴ)はいかにも高価に映るがその内容に注目。NDRはかつてのハンブルク・北ドイツ放送交響楽団であり、本演奏は当地ムジークハレでの収録。マーラーは若き日、カッセル王立劇場の楽長やハンブルク歌劇場の第一楽長をしており、当地での足跡も知られている。響きはいかにも北ドイツのオケらしく重厚だが、ライヴ演奏のスピード感ある乗りの良さと壮烈さは1988年盤を凌いでいるかも知れない。激しいダイナミズムと腺病質なリリシズムが交錯し、終楽章では次々にめまぐるしく展開する第1、第2、コデッタ主題との掛け合いの部分は圧巻。旧東独出身のテンシュテットの<プロ・ドイツ的>なマーラー像を聴きたいというファン向けと言えよう。


 

・歌曲集『亡き子をしのぶ歌』:ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)、 北ドイツ放送響(1980年、ステレオ/ライヴ)
 
Mahler: Symphony No. 5

<ハイティンク>

 ・交響曲第2番『復活』:シャルロッテ・マルギオーノ(ソプラノ)、ヤルド・ファン・ネス(アルト)、シュターツカペレ・ドレスデン他(1995年、ステレオ/ライヴ)
 

<シノーポリ>

・交響曲第9番:シュターツカペレ・ドレスデン(1997年、ステレオ/ライヴ)

シノーポリの演奏の特質は、ワルター、バーンスタインやテンシュテットなどにみられる、マーラーが9番という曲にどのような思いを込めるのかといった主意主義的なアプローチではないと感じる。

作品を一度、徹底的に解剖し、要素分解してのち緻密に組み立て直したかのような演奏で、怪奇的、腺病質的、耽美的、激情的な表現が、場面によってカメレオンのように変化しつつ、あくまでも「音の素材」として十全に表現される。

しかも、シノーポリの高度な技法だがオーケストラから全放射される音が千変万化する。ドレスデン・シュターツカペレの音はフィルハーモニー管(1993年、セッション録音)にくらべて重く、かつテンポはさらに遅く演奏時間は93分を超えて長大だ。

マーラーの9番は現代音楽の秀でた先駆といったアプローチだが、ライヴならではの緊張感と凝縮感は十分で、シノーポリはここで、いままでにない斬新なるマーラー像を提示している。
マーラー:交響曲第9番ニ長調/R.シュトラウス:交響詩「死と変容」Op.24 (2CD) (CD)
 



マーラー:交響曲第9番ニ長調/R.シュトラウス:交響詩「死と変容」Op.24 (2CD)




<ワルター>
   ・交響曲第1番『巨人』コロンビア響(1961年、ステレオ/セッション)


・歌曲集『さすらう若人の歌』ミルドレッド・ミラー(メゾ・ソプラノ)


コロンビア響(1960年、ステレオ/セッション)


・リュッケルトの詩による歌曲集~私はこの世に忘れられ/私は快い香りを吸い込んだ/真夜中に:キャスリーン・フェリアー(コントラルト)、ウィーン・フィル(1952年、モノラル/セッション)


・若き日の歌~思い出/ハンスとグレーテ/春の朝:デシ・ハルバン(ソプラノ)、ブルーノ・ワルター(ピアノ)(1947年、モノラル/セッション)

 

<ショルティ>

・『大地の歌』:ヘルタ・テッパー(アルト)、ジェイムズ・マックラッケン(テノール)、ケルン放送響(1961年、モノラル)

 

<下記の廉価盤集で聴ける曲:記載がないものはモノラル/ライヴ>

 

・交響曲第3番:ホーレンシュタイン/ロンドン交響楽団&合唱団他(1961年)

・交響曲第6番『悲劇的』ミトロプーロス/ニューヨーク・フィル(1955年)

・交響曲第7番『夜の歌』ロスバウト/南西ドイツ放送響(1953年)

・交響曲第8番『千人の交響曲』ストコフスキー/ニューヨーク・フィル他(1950年)

・カンタータ『嘆きの歌』:グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)、ソーニャ・ドラクスラー(アルト)、ユリウス・パツァーク(テノール)、クルト・リヒター/ウィーン放送響他(1960年、モノラル/放送用セッション)

 ・花の章:ハラース/ポーランド国立放送響(1993年、ステレオ/セッション)
 

・ウェーバー(マーラーによる補筆完成版):歌劇『3人のピント』全曲
アリヴァベーニ/ベラルーシ国立フィル他(2003年、ステレオ/ライヴ)

・歌曲集『子供の不思議な角笛』(全24曲版):ディアナ・ダムラウ(ソプラノ)
イヴァーン・パレイ(バリトン)、シュテファン・マティアス・ラーデマン(ピアノ)(2003年、ステレオ/セッション)
 

・大地の歌(テノール、バリトン、マーラー自身によるオリジナル・ピアノ伴奏版による):ロバート・ディーン・スミス(テノール)、イヴァーン・パレイ(バリトン)、シュテファン・マティアス・ラーデマン(ピアノ)(2005年、ステレオ/セッション)

 【以下はHMVからの引用】
 
ヘンスラー/マーラー・エディション(21CD)
テンシュテット、シノーポリ、ハイティンク等、白熱のライヴ音源を中心とした交響曲全曲にダムラウの『角笛』歌曲集


2013年にリリースされ好評を博した『ブルックナー・エディション』に続いて、Profilの社主ギュンター・ヘンスラー氏が自信をもってお届けする『マーラー・エディション』。CD21枚組のボックスには、第1番から第9番、大地の歌、第10番アダージョまでのすべての交響曲のほかに、交響曲とリンクする重要なジャンルである声楽曲の主要作品が収められ、この1セットでマーラーの魅力を味わえる便利な内容となっています。
メインとなる交響曲の演奏陣の顔触れはたいへん豪華なもの。Profilのベストセラー・アイテムであるハイティンク指揮シュターツカペレ・ドレスデン(第2番)、テンシュテット指揮南西ドイツ放送響(第4番)、シノーポリ指揮シュターツカペレ・ドレスデン(第9番)のほか、第5番にはテンシュテット指揮北ドイツ放送響のライヴ音源が早くも投入されています。
さらに、歌曲集『子供の不思議な角笛』には、ダムラウらによる全24曲版で話題となったTELOS音源が選ばれており、すべて単売で揃えることを考えるとかなりお得な内容となっています。
BOX仕様:紙製クラムシェル・タイプ。W180×H127×D340(ミリ)、重量500g。
24ページのブックレットにはトラック・リストのほか、マーラーのバイオグラフィが記載されています。(キングインターナショナル)

【収録情報】
『マーラー・エディション』(21CD)


Disc1
● 交響曲第1番ニ長調『巨人』


コロンビア交響楽団
ブルーノ・ワルター(指揮)
録音:1961年 ハリウッド、アメリカン・リージョン・ホール(ステレオ/セッション)
CBS原盤

Disc2-4
● 交響曲第2番ハ短調『復活』


シャルロッテ・マルギオーノ(ソプラノ)
ヤルド・ファン・ネス(アルト)
ドレスデン国立歌劇場合唱団
ドレスデン交響合唱団
シュターツカペレ・ドレスデン
ベルナルド・ハイティンク(指揮)
録音:1995年2月13日 ドレスデン、ゼンパーオーパー(ステレオ/ライヴ)

● 交響曲第3番ニ短調

ヘレン・ワッツ(アルト)
デニス・イーガン(ポスト・ホルン)
デニス・ウィック(トロンボーン)
オルピントン・ジュニア・シンガーズ
ハイゲート・スクール少年合唱団
ロンドン交響楽団&合唱団
ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指揮)
録音:1961年11月16日 ロンドン(モノラル/ライヴ)

Disc5
● 交響曲第4番ト長調


エヴァ・チャポー(ソプラノ)
南西ドイツ放送交響楽団
クラウス・テンシュテット(指揮)
録音:1976年9月18日(ステレオ/ライヴ)

Disc6
● 交響曲第5番嬰ハ短調


北ドイツ放送交響楽団
クラウス・テンシュテット(指揮)
録音:1980年5月19日 ハンブルク、ムジークハレ(ステレオ/ライヴ)

Disc7
● 交響曲第6番イ短調『悲劇的』


ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団
ディミトリ・ミトロプーロス(指揮)
録音:1955年(モノラル/ライヴ)

Disc8
● 交響曲第7番ホ短調『夜の歌』


南西ドイツ放送交響楽団
ハンス・ロスバウト(指揮)
録音:1953年 ベルリン(モノラル/ライヴ)

Disc9-10
● 歌曲集『亡き子をしのぶ歌』


ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)
北ドイツ放送交響楽団
クラウス・テンシュテット(指揮)
録音:1980年11月11日 キール、キーラー・シュロス(ステレオ/ライヴ)

● 交響曲第8番変ホ長調『千人の交響曲』

フランシス・イーンド(ソプラノ)
ウタ・グラーフ(ソプラノ)
カミラ・ウイリアムズ(ソプラノ)
マーサ・リプトン(メゾ・ソプラノ)
ルイーズ・ベルンハルト(メゾ・ソプラノ)
ユージン・コンリー(テノール)
カーロス・アレグザンダー(バス)
ジョージ・ロンドン(バス)
パブリック・スクール少年合唱団
ニューヨール・スコラ・カントールム
ウェストミンスター合唱団
ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団
レオポルド・ストコフスキー(指揮)
録音:1950年4月6日 ニューヨーク、カーネギー・ホール(モノラル/ライヴ)

Disc11-12
● 交響曲第9番ニ長調


シュターツカペレ・ドレスデン
ジュゼッペ・シノーポリ(指揮)
録音:1997年4月&9月 ドレスデン、ゼンパーオーパー(ステレオ/ライヴ)

Disc13
● 交響曲第10番嬰ヘ長調~アダージョ


ウィーン国立歌劇場管弦楽団
ヘルマン・シェルヘン(指揮)
録音:1952年(モノラル/セッション)
Westminster原盤

Disc14-15
● 歌曲集『子供の不思議な角笛』(全24曲版)


ディアナ・ダムラウ(ソプラノ)
イヴァーン・パレイ(バリトン)
シュテファン・マティアス・ラーデマン(ピアノ)
録音:2003年5月&9月 メッヒャーニッヒ=フロイスドルフ、テロス・ムジーク・シュトゥーディオ(ステレオ/セッション)

Disc16
● 歌曲集『さすらう若人の歌』


ミルドレッド・ミラー(メゾ・ソプラノ)
コロンビア交響楽団
ブルーノ・ワルター(指揮)
録音:1960年6月 ハリウッド、アメリカン・リージョン・ホール(ステレオ/セッション)
CBS原盤

● 若き日の歌~思い出/ハンスとグレーテ/春の朝

デシ・ハルバン(ソプラノ)
ブルーノ・ワルター(ピアノ)
録音:1947年12月16日 ロサンジェルス(モノラル/セッション)
CBS原盤

● リュッケルトの詩による歌曲集~私はこの世に忘れられ/私は快い香りを吸い込んだ/真夜中に

キャスリーン・フェリアー(コントラルト)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ブルーノ・ワルター(指揮)
録音:1952年5月 ウィーン、ムジークフェライン大ホール(モノラル/セッション)
Decca原盤

Disc17
● 大地の歌


ヘルタ・テッパー(アルト)
ジェイムズ・マックラッケン(テノール)
ケルン放送交響楽団
サー・ゲオルグ・ショルティ(指揮)
録音:1961年(モノラル)

Disc18
● 花の章


ポーランド国立放送交響楽団
ミヒャエル・ハラース(指揮)
録音:1993年12月 カトヴィツェ、ポーランド放送コンサート・ホール(ステレオ/セッション)
NAXOS原盤

● カンタータ『嘆きの歌』

グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)
ソーニャ・ドラクスラー(アルト)
ユリウス・パツァーク(テノール)
オーストリア放送合唱団
ウィーン放送交響楽団
クルト・リヒター(指揮)
録音:1960年 ウィーン(モノラル/放送用セッション)

Disc19
● 大地の歌(テノール、バリトン、マーラー自身によるオリジナル・ピアノ伴奏版による)


ロバート・ディーン・スミス(テノール)
イヴァーン・パレイ(バリトン)
シュテファン・マティアス・ラーデマン(ピアノ)
録音:2005年3月&4月 メッヒャーニッヒ=フロイスドルフ、テロス・ムジーク・シュトゥーディオ(ステレオ/セッション)

Disc20-21
● ウェーバー(マーラーによる補筆完成版):歌劇『3人のピント』全曲


シニッド・キャンベル(ソプラノ)
ピーター・ファーロング(テノール)
ロベルト・ホルツァー(バス・バリトン)
アレス・イェニス(バリトン)
スチュワート・ケンプスター(バス)
ソフィー・マリレー(メゾ・ソプラノ)
エリック・ショウ(テノール)
アレッサンドロ・スヴァブ(バス)
バルバラ・ツェヒマイスター(ソプラノ)
ウェックスフォード・フェスティバル・オペラ合唱団
ベラルーシ国立フィルハーモニー管弦楽団
パオロ・アリヴァベーニ(指揮)
録音:2003年10月 アイルランド、ウェックスフォード、シアター・ロイヤル(ステレオ/ライヴ)
NAXOS原盤
 

0 件のコメント: