サー・コリン・デイヴィス(1927-2013年)は、日本人指揮者との年代比較では、森正(1921 - 1987年)より6年若く、岩城宏之(1932 - 2006年)、若杉 弘(1935 - 2009年)、そして小澤征爾(1935年 - )より一世代上といった感じである。
この世代の欧米の指揮者は、カラヤン、ベーム、バーンスタインら多くの大家が長期にわたって活躍するなかで割りをくった世代とも言える。サヴァリッシュ(1923- 2013年)なども典型だろう。故人となってしまったが、岩城さんや若杉さんには中学時代、クラシック音楽の実演の楽しみを教えてもらった。そしてサヴァリッシュやデイヴィスも鬼籍にはいってしまった。
実力勝負であることが第一ながら、小澤の世代まで降りるとデュトワ(1936年- )などもそうだが、世代交代でうまく填まると大役がまわってくるということもあるだろう。C.デイヴィスは、そうした点では英国を代表する名指揮者であったが、世代交代の端境期にあって、本来の力量からはもっと評価されてもよい名匠であった。
上記は、そのデイヴィスの追悼選集。ハイドンからティペット(英国の現代音楽作曲家)まで15名の主要作品を15枚のCDに収めたPHILIPSの録音記録である。
オーケストラは、ロンドン交響楽団に加えて、コンセルトヘボウ、バイエルン放送SO、シュターツカペレ・ドレスデン、ベルリン・フィル、ボストン響などが並び、ピアノ協奏曲では、1960年代のヘブラー(モーツァルト15番)、70年代を中心とするコワセヴィチ(バルトーク1~3番)、80年代のアラウ(ベートーヴェン「皇帝」)とソリストも多彩。
特に、ベルリオーズ、シベリウス、ストラヴィンスキーといった得意の演目が聴けるのが魅力。「幻想交響曲」(1974年1月)、「火の鳥」(78年11月)はコンセルトヘボウの至芸が光り歴史的名演の誉れ高く、シベリウスの管弦楽集、「大地の歌」、「惑星」なども定評のあるもの。デイヴィスの見事な足跡を改めて振り返るにたる優れた選集と思う。
<収録情報(括弧内録音年)>
【ハイドン】
・交響曲第94番ト長調 Hob.I:94 『驚愕』(1981年デジタル)C
・交響曲第101番ニ長調 Hob.I:101『時計』(1979年)C
・交響曲第104番ニ長調 Hob.I:104『ロンドン』(1977年)C
https://www.amazon.co.jp/London-Symphonies-Vol-100-101/dp/B0000041AR/ref=cm_cr-mr-title
・交響曲第25番ト短調 K.183(1961年)L
・交響曲第32番ト長調 K.318(同上)L
・交響曲第40番ト短調 K.550(同上)L
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%88-%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC36%E7%95%AA%E3%80%8C%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%84%E3%80%8D-%E7%AC%AC40%E7%95%AA-%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B9-%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%83%B3/dp/B00TG0BSZQ/ref=sr_1_4?s=music&ie=UTF8&qid=1476085557&sr=1-4&keywords=davis+mozart+40
・ピアノ協奏曲第15番変ロ長調 K.450(P:ヘブラー、1964年)L
・ヴェスペレ(荘厳挽課)K.339(1971年)※
・キリエ K.341(1971年アナログ録音)※
・アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618(1971年)※
・エクスルターテ・ユビラーテ K.165(1971年)※
・『ツァイーデ』~「やすらかにお休み、私のいとしい命よ」(1982年デジタル)※
・『魔笛』~「愛の喜びは消え」(1982年デジタル)※
・『コジ・ファン・トゥッテ』~「お願い、許して恋人よ」(1982年デジタル)※
※キリ・テ・カナワ(ソプラノ)、エリザベス・ベインブリッジ(メゾ・ソプラノ)、ライランド・デイヴィス(テノール)、グウィン・ハウエル(バス)、ロンドン・シンフォニー・コーラス、L
【ベートーヴェン】
・交響曲第5番ハ短調 op.67『運命』(1992年デジタル)D
・ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 op.73『皇帝』(P:アラウ、1984年デジタル)D
https://www.amazon.co.jp/Piano-Concertos-4-5-Emperor/dp/B000051YD6/ref=sr_1_17?s=music&ie=UTF8&qid=1476085832&sr=1-17&keywords=davis++arrau
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【ベルリオーズ】
・幻想交響曲 op.14(1974年)C
・レクィエム op.5(1969年)※※
・テ・デウム op.22(1969年)※※
※※ロナルド・ダウド、フランコ・タリアヴィーニ(テノール)、ロンドン・シンフォニー・コーラス、ワンズワース・スクール少年合唱団、L
【ドヴォルザーク】
・交響曲第7番ニ短調 op.70(1975年)C
・交響曲第9番ホ短調 op.95『新世界より』(1977年)C
【マーラー】
・大地の歌(ソプラノ:ジェシー・ノーマン、テノール:ジョン・ヴィッカーズ、1981年)L
【シベリウス】
・交響曲第1番ホ短調 op.39(1976年)ボストン交響楽団
・交響詩『フィンランディア』 op.26(同上)同上
・交響的幻想曲『ポポヨラの娘』 op.49(同上)同上
・交響詩『タピオラ』 op.112(1975年)同上
【バルトーク】
1. ピアノ協奏曲第1番 Sz.83(1975年)
2. ピアノ協奏曲第2番 Sz.95(1968年)
3. ピアノ協奏曲第3番 Sz.119(1975年)
スティーヴン・コワセヴィチ(ピアノ)L
https://www.amazon.co.jp/Bartok-Ctos-London-Symphony-Orchestra/dp/B00004Z339/ref=wl_it_dp_o_pC_nS_nC?ie=UTF8&colid=2AP6H65EZ6KPB&coliid=IZGSU2S40HBFB
【ストラヴィンスキー】
・3楽章の交響曲(1985年デジタル)B
・バレエ音楽『火の鳥』全曲(1978年)C
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・バレエ音楽『オルフェウス』(1964年)L
【ムソルグスキー/リムスキー=コルサコフ編】
・交響詩『禿山の一夜』(1979年デジタル)C
【エルガー】
・エニグマ変奏曲 op.36(1965年)L
【ホルスト】
・組曲『惑星』 op.32(1988年デジタル)ベルリン放送合唱団、ベルリン・フィル
【レーガー】
・モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ op.132(1989年デジタル)B
【ヒンデミット】
・ヴェーバーの主題による交響的変容(1989年デジタル)B
【ティペット】
・歌劇『ザ・ノット・ガーデン』全曲 [1970年、デイヴィスによる世界初演](1974年)
イヴォンヌ・ミントン(メゾ・ソプラノ)、ジョゼフィン・バーストウ(ソプラノ)、ライムンド・ヘリンクス(バリトン)、ジル・ゴメス(ソプラノ)、ロバート・ティアー(テノール)、トーマス・カーリー(バス・バリトン)、トーマス・ヘムスリー(バリトン)、コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
<摘要>
B:バイエルン放送交響楽団
C:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
D:シュターツカペレ・ドレスデン
L:ロンドン交響楽団
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