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ロリン・マゼール(Lorin Maazel)のブルックナーについて。彼は、ウィーン・フィルとは早くも1974年には第5番を、ベルリン・フィルとは1988年に第7番、1989年には第8番を録音しています。この時期は、カラヤンがウィーン・フィルとブルックナーの最後の録音をしている時期に重なります。さらに、その後、1999年の1月から3月にかけて、バイエルン放送響と0番を含む全曲録音も行っています(フィルハーモニー・ガスタイクでのライヴ)。1993 ~ 2002年にかけてマゼールは、幾多の名演を紡いだこのオーケストラの首席指揮者の地位にありました。さらに、晩年の2012年9月には、チェリビダッケが手塩にかけたミュンヘン・フィルと第3番も録音しています(ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイクでのライヴ)。
3つのメジャーオケを制覇して、バイエルン放送響とは全集まで録音をしているのですから、その成果は綽綽たるものがあるはずなのですが、小生は何度、聴いてもその演奏に心動かされません。1回性のライヴで聴くのであれば大向うを唸らせる“凄奏”かも知れません。技巧にすぐれ、飽きさせずに最後までもっていくという意味では一流の腕はたしかにあるのでしょうが、ブルックナー音楽の底知れぬリビドーといったものが感じられず、解釈に深みがありません。
【参考1】 ロリン・マゼール/ベルリン・フィル
交響曲第7番 (ノヴァーク/ブルックナー協会版)1988年2月24&25日
交響曲第8番 (1890年ノヴァーク版) 1989年6月4&7日
【参考2】ロリン・マゼール/バイエルン放送交響楽団
交響曲全集
1. 交響曲 第0番
2. 交響曲 第1番(リンツ版)
3. 交響曲 第2番(第2稿)
4. 交響曲 第3番(第3稿)
5. 交響曲 第4番(第2稿)
6. 交響曲 第5番
7. 交響曲 第6番(原典版)
8. 交響曲 第7番
9. 交響曲 第8番
10. 交響曲 第9番
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