カラヤンのブルックナーのライヴ盤が高価な価格でリリースされている。しかし、なぜか廉価な本集はあまり注目されない。どれも興味深い演奏だが、特に第8番は見事な演奏。正規録音盤にはない熱気を味わいたい向きには、音質はいまひとつだが、推奨します。
【収録情報】
交響曲第5番(ウィーン交響楽団、1954年10月2日ライヴ)
交響曲第7番(ウィーン・フィル、1962年4月6日ロンドン・ライヴ)
交響曲第8番(ベルリン・フィル、1966年6月16日アムステルダム・ライヴ、オランダ音楽祭ステレオ)
👉 カラヤン ブルックナー
≪カラヤンのブルックナー≫
1950 年代、日本でいまだブームが胎動するまえだが、ブルックナーのレコードはなかなか入手できなかった。フルトヴェングラー、ワルター、クナッパーツブッシュ、コンヴィチュニー、ヨッフムらが先鞭をつけたが、カラヤン/ベルリン・フィル盤の8番 Bruckner: Symphony No.8 - Overtures by Mendelssohn, Nicolai, Wagner & Weber が1959 年頃にリリースされ、名演の誉れ高しとの評価を得た。
1930 年代から幅広い演目で多くのレコードを精力的に録音してきたカラヤン Herbert von Karajan in Berlin The Early Recordings だが、ブルックナーの取り上げについては実は慎重な印象があった。いまでは全く考えられないことだが、「カラヤンはブルックナーが実は苦手なのでは・・」といった勝手な風説すら当時の日本ではあった。
1970 年頃を境に、この「風説」が一吹される。順番は別として、4,7,9番が相次いでリリースされ、その録音がベルリンの教会で行われたことから残響がとても豊かで美しく、ブルックナーのシンフォニーに見事に適合しており、これを境にブルックナーはカラヤンのメインのレパートリーと認識されることになった。
その後、この全集がでて、カラヤンの評価は決定的となる。1,2,3,5,6番の正規録音(ライヴ盤を除く)はこの全集所収のみである。再録の多いカラヤンにあって、これは記憶にとどめておいていいだろう。いずれも非常にレヴェルの高き演奏で、カラヤンは3,5番は別の機会を考慮していたかも知れないが、概ね「これで良し」と一応の評価をしていたのではないかと考える。5番および6番については1楽章を欠いているがフルトヴェングラーの音源があるけれど、他はフルトヴェングラーの記録はない。カラヤンは密かに独壇場と思っていたかも知れない。
晩年、ウィーン・フィルとの7,8番が出る。特に7番は、ブルックナーの作曲時のエピソード(ワーグナーへの葬送)に加え、死の3ヶ月前の最後の録音であったことから、カラヤン自身への「白鳥の歌」と大きな話題を呼んだ。オーストリア人カラヤンにとって、故国の大作曲家たるブルックナーは、むしろ特別な存在であったのかも知れない。なお、7,8番に関しては、この新録音よりも本全集所収の旧録の迫力を小生は評価している。
全番に一貫するカラヤンらしい明晰な解釈、流麗な音の奔流、なによりもその抜群の安定感からみて、ヨッフムとともに全集決定盤の最右翼である。
1950 年代、日本でいまだブームが胎動するまえだが、ブルックナーのレコードはなかなか入手できなかった。フルトヴェングラー、ワルター、クナッパーツブッシュ、コンヴィチュニー、ヨッフムらが先鞭をつけたが、カラヤン/ベルリン・フィル盤の8番 Bruckner: Symphony No.8 - Overtures by Mendelssohn, Nicolai, Wagner & Weber が1959 年頃にリリースされ、名演の誉れ高しとの評価を得た。
1930 年代から幅広い演目で多くのレコードを精力的に録音してきたカラヤン Herbert von Karajan in Berlin The Early Recordings だが、ブルックナーの取り上げについては実は慎重な印象があった。いまでは全く考えられないことだが、「カラヤンはブルックナーが実は苦手なのでは・・」といった勝手な風説すら当時の日本ではあった。
1970 年頃を境に、この「風説」が一吹される。順番は別として、4,7,9番が相次いでリリースされ、その録音がベルリンの教会で行われたことから残響がとても豊かで美しく、ブルックナーのシンフォニーに見事に適合しており、これを境にブルックナーはカラヤンのメインのレパートリーと認識されることになった。
その後、この全集がでて、カラヤンの評価は決定的となる。1,2,3,5,6番の正規録音(ライヴ盤を除く)はこの全集所収のみである。再録の多いカラヤンにあって、これは記憶にとどめておいていいだろう。いずれも非常にレヴェルの高き演奏で、カラヤンは3,5番は別の機会を考慮していたかも知れないが、概ね「これで良し」と一応の評価をしていたのではないかと考える。5番および6番については1楽章を欠いているがフルトヴェングラーの音源があるけれど、他はフルトヴェングラーの記録はない。カラヤンは密かに独壇場と思っていたかも知れない。
晩年、ウィーン・フィルとの7,8番が出る。特に7番は、ブルックナーの作曲時のエピソード(ワーグナーへの葬送)に加え、死の3ヶ月前の最後の録音であったことから、カラヤン自身への「白鳥の歌」と大きな話題を呼んだ。オーストリア人カラヤンにとって、故国の大作曲家たるブルックナーは、むしろ特別な存在であったのかも知れない。なお、7,8番に関しては、この新録音よりも本全集所収の旧録の迫力を小生は評価している。
全番に一貫するカラヤンらしい明晰な解釈、流麗な音の奔流、なによりもその抜群の安定感からみて、ヨッフムとともに全集決定盤の最右翼である。
有名なカラヤン最後の録音もあるが、残念ながら晩年のブルックナーについて、小生はあまり評価しない。
カラヤン ブルックナー7番 Saturday, July 21, 2007
http://shokkou3.blogspot.jp/2007/07/blog-post.html
カラヤン ブルックナー8番 Sunday, July 22, 2007
カラヤン ブルックナー8番 Sunday, July 22, 2007