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ブルックナー:交響曲第3番ニ短調
シュターツカペレ・ドレスデン ジョージ・セル(指揮)
録音:1965年、ザルツブルク[モノラル・ライヴ]
なんど聴いても、もう一歩物足りない。巨匠セルという「先入主」をのぞいて聴いて感動するのは難しいかも知れない。音のバランスが実によく、セルらしい潔癖で整った演奏である。音もそう暗くなく、テンポも無理なく軽快さを喪っていない。総じて欠点のない出来ではある。
しかし、クナッパーツブッシュの大見得を切るような強烈な3番を聴いたあとでかけると、「もっと深部に踏み込んでほしい」と思わず感じてしまう。ほかでも書いたが、この3番という曲の<異常性>が捨象されて、そつなく無難に料理されているような趣き。
これは個人的な好みの問題かも知れないが、3番と8番はクセの強い曲であるがゆえに、深くえぐり取るようなアプローチが性にあう。この2曲に関する限り、鳥肌が立つような演奏が相応しいと思っている。ベームは冷静な処理だが、結構メリハリを利かせてリスナーを唸らせる。それとの対比でもセルは大人しいなあと感じてしまう。多分に録音の悪さに起因する部分もあろうが、シューリヒトの3番同様、期待値が高いとその分の落差も大きいということか。
(参考)シューリヒト ブルックナー3番
http://shokkou3.blogspot.com/2007_03_01_archive.html
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