ベイヌムを聴いている。今回は、上記のブルックナー以外をかけている。まず、ブラームスの交響曲第3番(ロンドン・フィル、録音:1949年)。後年、コンセルトヘボウとの全集もあるので旧盤扱い。1946年盤もあるようだ。
流れがよく淀みのないベイヌムらしい心地よい音の運びに久々に接し、思わず「ああいいなあ」と独りごと。続いてメンデルスゾーンを2曲聴く(ヴァイオリン協奏曲ニ短調、『真夏の夜の夢』序曲)。これも溌剌として楽しめる。
次に、ベルリオーズ「幻想交響曲」(コンセルトヘボウ、録音:1946年)。これも高名な新盤(1951年)が知られるが、録音の古さはあっても本盤はこれに伍して十分。さて、聴きながら漫ろ感じたこと。
ドイツ的な潔癖さ、に対してフランス的な緩やかさ。ドイツ的な理性主義、に対してフランス的粋なエスプリ。いかにも紋切り型だが、堅苦しくも徹底した完璧嗜好、に対して柔和ななかにキラリと最良の知性が光る、の違いとでもあえて言ってみようか。
ベイヌムは生粋のオランダ人。地勢的にも、人種的にも実は双方の良さをあわせもっているのではないか。かつ、いわばクロスの関係(バランス)が絶妙で、ブラームスでは後者のもつ柔軟性がとても新鮮に映り、ベルリオーズでは逆に前者の堅牢な解釈の片鱗もみえる気がする。
もちろん、ベイヌムは意図的にこれをやっているわけではない。ベイヌムの演奏には見え透いた作為がない、そこがこよなき魅力であると思う。
そんなことを勃然と思っていると、歯切れよきロッシーニ2曲の序曲(ウィリアム・テル、絹のはしご)がつづいて気分一新。こちらは1952年の録音で格段に音がよい。今日はここまで。
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