ベイヌム、コンセルトヘボウ管弦楽団によるブラームス交響曲全集。各録音時点は、第1番(1958年10月6,7日)、 第2番(1954年5月17-19日)、 第3番(1956年9月24,25日)、 第4番(1958年5月1-3日)で、1、4番はステレオ収録で単発でも比較的入手しやすいが、2、3番を聴きたければ本集選択がよいだろう。
一気に4曲を聴く。全体の感想は、「力押し」の部分のない自然体の構え。コンセルトヘボウの音色は、そのブラームス像にほの明るさを点じており、実の聴きやすく落ち着きのある心地よき響きである。
ゆえに、チェリビダッケのような情念の渦巻きを感じることもなければ、フルトヴェングラー流「渾身の一撃」のリズミックさなど「エッジの立った」アプローチとは明らかに異なる。全体に自由度をもったオーケストラ操舵を感じさせ、ベームの如き厳しい緊張感、統制力はない。
感情移入の奥深さこそベイヌムの魅力であり、統制の緩さは、独特のほのぼの感を滲ませ、力押しはなくともコンセルトヘボウの内燃度は高く、各番ともに、ここぞという楽想でのダイナミズムに不足はない。
4曲を通しで聴いて、格調あるブラームスの世界に浸れるという意味では、ケンペとともに佳き演奏であり、ベイヌム・ファンにははずせないアイテムだろう。
(参考)
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