日曜日, 5月 15, 2016

バルトーク Bartók Béla


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一時、バルトークばかり聴いていた。クラシック音楽を聴きはじめた頃は、あまり馴染めなかった。たぶんフリッツ・ライナーの演奏がバルトーク開眼の切っ掛けであったと思うが、面白くなって集中的に作品に接した。

その後、ショルティの旧盤、新盤をBOXセットで聴いて、管弦楽の多元的な響きの虜になった。まぎれもなく20世紀を代表する天才的な作曲家(生没年:1881325日~1945926日)の一人である。

ハンガリアン・ファミリー(2):バルトーク
http://freizeit-jiyuu.blogspot.jp/2006/07/blog-post.html
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バルトーク:打楽器、弦楽器、チェレスタのための音楽、ディヴェルティメント、中国の不思議な役人

バルトーク:打楽器、弦楽器、チェレスタのための音楽、ディヴェルティメント、中国の不思議な役人 

 
 <打楽器、弦楽器、チェレスタのための音楽について>
第1楽章冒頭、半音階的な主題が、現代の闇を覗くような不気味な、底知れぬ不安をかきたて(弦楽器は混濁と清浄の2つの弾き分けをしている)、第2楽章のパーカッションとピアノの特色のある打鍵と弦の跳ねるような追尾(バルトーク・ピッツィカート)はとても躍動的。シカゴ響の巧さとともに、ショルティ得意の鋭角的なアプローチが冴えわたる。

第3楽章の(右サイドからの)拍子木による幕開けの後は第1楽章の不安が再来しサイコ・ストーリーのバックにぴったりの曲が展開され、あたかも闇の深さとともに不安が高鳴るさまを示しているようだ。終楽章では、暗く長い洞窟から突然、抜け出したような驚きを感じる。民族的なメロディと強いリズミックな音感が綾を成し壮大なクライマックスにいたる。

旧盤同様、ショルティの演奏は以上の過程を整然かつ濃厚に描いているが、シカゴ響の妙技と物量がものを言い、熱のこもった秀逸な記録となっている。 


バルトーク:管弦楽のための協奏曲&舞踏組曲
 
バルトーク:管弦楽のための協奏曲&舞踏組曲
 




ハーリ・ヤーノシュ/ハンガリー曲集

ハーリ・ヤーノシュ/ハンガリー曲集


ショルティがいかにバルトークほか故国ハンガリーの音楽を愛し生涯、それに拘っていたか。その優れた成果がここにある。

若き日の地道な演奏の積み上げ The Hungarian Masters をへて、その集大成 Solti Conducts Bartok にいたる。本集はそのエッセンスを聴くことができる。一貫して明快な解釈で、躍動感にすぐれ、かつフォークロアの気高い情感に心動く。半世紀におよぶショルティのこの作曲家への熱い思い入れは響きあう魂の声とでもいうべき共感に支えられていると感じる。 
 
The Hungarian Masters
 
上記3曲以外の主要な演目について、ショルティの旧盤から。

◆バルトーク:舞踏組曲(1952年録音)

1923年ブダペスト市制50周年記念のために作曲された祝祭的作品。ストラヴィンスキーを連想させるような鋭いリズムの打ち降しとどこか懐かしい素朴なフォークロアの見事な融合をショルティは生き生きと活写している。

なお、ショルティについては以下も参照。
 http://shokkou3.blogspot.jp/2014/07/blog-post_9169.html 

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Saturday, July 15, 2006

バルトーク:管弦楽のための協奏曲

バルトーク:管弦楽のための協奏曲

ライナーのバルトークは極めて激しい気迫に満ちている。そのライナーを聴く。


◆管弦楽のための協奏曲 Sz116(1955年10月22日録音)
◆弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 Sz106(1958年12月28、29日録音)

◆5つのハンガリー・スケッチ op38(同上)
 
どうしてこんなに自信にみちた演奏ができるのだろう。曖昧さが微塵もない。こうとしか演奏できない、といった「一意的」明確性の提示である。「聴覚」は一瞬も気のぬけない対応が求められる、ある種、締め付けられるような緊張感が漲る演奏である。
 
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◇バルトーク ピアノ協奏曲全集(第1~3番)
 
Bartok: Ctos P/Pno 1 & 3
 
コヴァセヴィッチとコリン・デイヴィス/ロンドン響、BBC響による演奏。小生の好むアシュケナージとショルティの組み合わせ バルトーク:ピアノ協奏曲全集 では、ショルティの揺るぎないバルトーク像をアシュケナージが理解し完全に融合したような演奏で、いわばピアノ付交響曲全集。一方、本盤ではコヴァセヴィッチとデイヴィスが対等な立場で共同作業を行なっている印象。
バルトークの3曲の変遷はドラマティックで、第1番第3楽章の強靭、激烈な音響と第3番第2楽章の諦観的な静寂美の対照などは、表現者にとっては面白くもありしんどくもあろうが、コヴァセヴィッチは深く作曲家の心情に寄り添い感動的なピアニズムを展開している。デイヴィスの追走も見事で変化に富んだ3曲の起伏をならし鷹揚に構えて一気に聴かせる好演である。
 
 
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Solti Conducts Bartok

フリッツ・ライナー(生年1888~没年1965年)、ジョージ・セル(18971970年)、ユージン・オーマンディ(18991985年)、アンタール・ドラティ(190688年)、フェレンツ・フリッチャイ(191463年)、イシュトヴァン・ケルテス(192973年)そしてゲオルグ・ショルティ(191297年)。彼らの多くはブダペストで生まれ、リスト音楽院に学び、アメリカのメジャー・オーケストラで活躍した<ハンガリアン・ファミリー>である(ドホナーニをふくめ彼らこそが全米主要オケのビルダーだった)。欧州で活動したフリッチャイ、ケルテスは残念ながら早世し、ふたりより年長のショルティはもっとも活動時期が長かったので、故国の大音楽家バルトークについても多くの素晴らしい音源を残してくれたが、以上の各人のバルトーク演奏はいずれも甲乙つけがたい見事なものである。
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バルトーク:弦楽四重奏曲全集(2枚組)/Bartok: String Quartets
バルトーク:弦楽四重奏曲全集(2枚組)/Bartok: String Quartets

古き民族音楽のハンターたるバルトークは、弦楽四重奏曲では、そうしたフォークロアを援用することなく、むしろ実験的な手法に挑戦しているように思う。不協和音、十二音階、無調的展開、残された6曲には様々なフラグメントが詰め込まれており、それが現代音楽を好むリスナーには大きな魅力だろう。 

ルービン四重奏団の演奏は丹念である。第1番から第6番まで一気に聴くが、作曲年代の時代状況(2つの大戦の間)や作曲家の心象(不安と悲哀)を肌身で感じられるような趣きがある一方、過激なスタイルをとらず、手堅く作品の多面性をキチンと表現しようとしているようだ。大人しめの演奏ながら個々の作品の意味を十分に吟味しており、後期の演目ほどむしろ古典回帰している面も浮かび上がってくる。繰り返し聴きたくなる良き演奏である。

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