Piano Concerto 1 / Piano Concerto 3
草創期のチャイコフスキー国際コンクールは1958年が第1回(第1位:クライバーン)、62年が第2回(第1位:アシュケナージとオグドン)であった。
この間、アルゲリッチは1957年ブゾーニとジュネーヴの両国際コンクールで16歳にして1位をとり、65年ショパン国際コンクールで優勝している。因みに、同コンクールでは、55年(第1位:ハラシュヴィチ、第2位:アシュケナージ)、60年(第1位:ポリー二)だった。この演奏を聴きながら、アシュケナージとの比較において「もしもアルゲリッチがチャイ・コンに出場していたら」と考えるのも楽しい。
本盤は、1970年12月ロンドンで収録されたデュトワ/ロイヤル・フィルとの共演。第1楽章中間部まではテンポが緩くアルゲリッチらしい快速、パワーフルな演奏を期待すると意外感がある。あえて、情感豊かに弾き込むスタイルをとろうということかも知れない。第2楽章も大人しい、落ち着いた演奏で他の録音に比べても、管弦楽の音が前面に出ている。終楽章はテンポを上げて、シンフォニックさは強調されるがピアノがですぎないように制御されているようにも感じる。全体としてはメロディの美しさを際だたせた、ピアノとオケの融合感に配慮した正統派の演奏。
但し、思いきり楽しめるという意味では、より奔放にしてファンタジックな1994年12月のアバド/ベルリン・フィル盤 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番/ラヴェル:ピアノ協奏曲 に軍配があがるかも知れない。。
➡ Martha Argerich Collection 2: The Concerto Recordings にて聴取
ショパン&リスト:ピアノ協奏曲第1番
ショパン第1楽章の長いオケだけのイントロ部分、アバドの才覚が見事に光る。曲想の全体像を明確に示し、醸す高貴なる雰囲気で十分にお膳立てし、そしてアルゲリッチが華麗に登場する。この冒頭部分だけで名演の予感は十分である。
1968年2月の録音。新進気鋭の若きピアニストと指揮者による「新風」を吹きこむ1枚という触れ込みは、約半世紀の間しっかりと聴き継がれ、いまもトップの名盤の座にある。アルゲリッチは1965年ショパン国際コンクールに弱冠24歳で優勝、その3年後の収録ながら、いま聴いても感動はかわらない。第2楽章の濃やかな表現ぶりには直観的にして女性的、豊かな感性が満ちている。終楽章、高音部の速く、力強く、美しいパッセージ処理には感嘆を禁じ得ない。
リストも圧倒的な迫力。技巧的には悪魔的難曲とも言われるが、アルゲリッチはこれをサラリと弾きこなしている印象で、その底知れぬ力量に驚かされる。
➡ Martha Argerich Collection 2: The Concerto Recordings も参照
➡ アルゲリッチ & アバド 鋭敏なリズム感、表現の拡張性に挑戦 も参照
シューマン:ピアノ協奏曲/ショパン:ピアノ協奏曲第2番
アルゲリッチは1957年ブゾーニ国際コンクールで16歳にして1位をとるが、その衝撃が大きすぎたか、同コンクールではその後3年間1位がでなかった。同年ジュネーヴ国際コンクールでも1位をさらい、そして1965年ショパン国際コンクールで優勝し、驚異的、鮮烈な世界デビューを果たす。
本集は、1978年1月ワシントン、ジョン・F・ケネディ・センターで、地元のワシントン・ナショナル交響楽団を、当時シェフになったばかりのロストロポーヴィチ(1977~1994年音楽監督)が振っての演奏。アルゲリッチ36歳のときの収録だが、これがいまも名演として燦然と輝く。アルゲリッチらしく完璧な技巧とそれを感じさせないくらいパッション溢れた演奏だが、ロストロポーヴィチが同じ波長で、全体を情熱的に包み込んでいる。
シューマンもさることながら、ショパンの第2番をライヴさながら、一瞬も弛緩せずにこれほど集中して聴かせる演奏は稀である。
➡ Martha Argerich Collection 2: The Concerto Recordings も参照
BEETHOVEN: PIANO CONCERTOS NO. 1 & 2
アルゲリッチは、ベートーヴェンのコンチェルトでは1番をよく取り上げている。8歳のデビューを飾ったときの1曲であり、彼女の感性とよく合うからであろうか。シノーポリは大指揮者のなかで、いわゆる全集を系統的に録音していくタイプではなく、これも自分の関心にそって曲目を選別する。その二人が邂逅したのがこのアルバムである。
小生にとっては好きなアーティストの共演であり、贔屓の引き倒しかも知れないが、いまだ1番ではベスト盤であり、2番も好演であると思う。特に、1番の終楽章、アルゲリッチのいつにない優しいタッチでのエンディングには特有の色香が漂い、なんど聴いてもぐっとくる。その後、どうだと言わんばかりの強奏でシノーポリが締めくくる。爽快な余韻があるだろう。アルゲリッチ44才、シノーポリ38才の1985年5月の収録である。
➡ Martha Argerich Collection 2: The Concerto Recordings も参照
シューマン:ピアノ協奏曲/ショパン:ピアノ協奏曲第2番
アルゲリッチは1957年ブゾーニ国際コンクールで16歳にして1位をとるが、その衝撃が大きすぎたか、同コンクールではその後3年間1位がでなかった。同年ジュネーヴ国際コンクールでも1位をさらい、そして1965年ショパン国際コンクールで優勝し、驚異的、鮮烈な世界デビューを果たす。
本集は、1978年1月ワシントン、ジョン・F・ケネディ・センターで、地元のワシントン・ナショナル交響楽団を、当時シェフになったばかりのロストロポーヴィチ(1977~1994年音楽監督)が振っての演奏。アルゲリッチ36歳のときの収録だが、これがいまも名演として燦然と輝く。アルゲリッチらしく完璧な技巧とそれを感じさせないくらいパッション溢れた演奏だが、ロストロポーヴィチが同じ波長で、全体を情熱的に包み込んでいる。
シューマンもさることながら、ショパンの第2番をライヴさながら、一瞬も弛緩せずにこれほど集中して聴かせる演奏は稀である。
➡ Martha Argerich Collection 2: The Concerto Recordings も参照
BEETHOVEN: PIANO CONCERTOS NO. 1 & 2
アルゲリッチは、ベートーヴェンのコンチェルトでは1番をよく取り上げている。8歳のデビューを飾ったときの1曲であり、彼女の感性とよく合うからであろうか。シノーポリは大指揮者のなかで、いわゆる全集を系統的に録音していくタイプではなく、これも自分の関心にそって曲目を選別する。その二人が邂逅したのがこのアルバムである。
小生にとっては好きなアーティストの共演であり、贔屓の引き倒しかも知れないが、いまだ1番ではベスト盤であり、2番も好演であると思う。特に、1番の終楽章、アルゲリッチのいつにない優しいタッチでのエンディングには特有の色香が漂い、なんど聴いてもぐっとくる。その後、どうだと言わんばかりの強奏でシノーポリが締めくくる。爽快な余韻があるだろう。アルゲリッチ44才、シノーポリ38才の1985年5月の収録である。
➡ Martha Argerich Collection 2: The Concerto Recordings も参照
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番/ハイドン:ピアノ協奏曲第11番
➡ アルゲリッチ、はち切れんばかりの表現力
アルゲリッチのショスタコーヴィチ、ピアノ協奏曲第1番の旧録音を聴く。本盤のはち切れんばかりの表現力は迫力抜群で、その身体的能力の高さには驚きを禁じ得ない。トランペットがときにシニカルな語部になったり(ちょっとムソルグスキー/ラヴェル版「展覧会の絵」を連想させる)、ときに警笛のような亀裂的な役割を果たすが、アルゲリッチの強力な表現力は、これを呑み込み、なお最大限に生かしつつも、ピアノが絶対的な優位のなかで存分の働きをする。古典的な親しみやすい曲に思えて、なかなか晦渋な表情もあるこの曲の特性を完全に見切っているかのようだ。併録のハイドンは一転軽快な好演。
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