水曜日, 2月 10, 2021

ミュンシュ ふたたび

 

まず、ボストン時代を振り返る意味で以下を参照。

ミュンシュ 豪放なれど見事なバランス感覚 (amazon.co.jp)

ミュンシュのRCA音源の86枚のCD集。ミュンシュのレパートリーの広さと有名録音の多さに改めて大家の仕事を感じる。彼の書いた  指揮者という仕事  (福田達夫訳) を読むと一見、豪放磊落なミュンシュの演奏スタイルの陰に、どんなに真面目に音楽を考えぬき、いかに弛まぬ努力を重ねてきたかを知ることができる。以下、2つのグループに分けて若干のコメントを。

<収録情報>

◆第一グループは、ドイツロマン派を主軸に、いわばクラシック音楽のメインロード。シャルル・ミュンシュは、ドイツ語読みではカール・ミュンヒ (Karl Münch)、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団で、フルトヴェングラーやワルターの下でコンサートマスターを務めていたことはよく知られている。弦楽器の使い方の巧みさ、その音色の澄んだ響きは、この時の自らの豊富な経験からか。
すでに、シューベルトからR.シュトラウスをカヴァーした2つの廉価盤BOX(メンデルスゾーン、ブラームス、シューベルト、シューマン集  
Charles Munch Conducts Romantic Masterwo 、(ワーグナー、チャイコフスキー、ドヴォルザーク、マーラー他集) Charles Munch: Late Romantic Masterpiece  がでているので、ここに絞って聴きたいのであれば有力な選択肢である。

【J.S.バッハ】
・ブランデンブルク協奏曲(全6曲)(1957年7月8-9日)
・ヴァイオリン協奏曲第1番(1960年12月24,26日)

【ヘンデル】
・水上の音楽(ハーティー版)(1950年12月26-27日)

【ハイドン】
・交響曲第103番「太鼓連打」(1950年12月27日)
・交響曲第104番「ロンドン」(1950年4月10-11日)

【モーツァルト】
・ピアノ協奏曲第21番K.467(1948年12月20日)※
・歌劇『フィガロの結婚』序曲(1951年4月25日)
・クラリネット協奏曲K.622(1956年7月9日)
・クラリネット五重奏曲K.581(1956年7月12日)

【ベートーヴェン】
・交響曲第1番(1950年12月27日)
・交響曲第3番「英雄」(1957年12月2日)
・交響曲第5番「運命」(1955年5月2日)
・交響曲第6番「田園」(1955年8月16日)
・交響曲第7番(1949年12月19日)
・交響曲第8番(1958年11月30日)
・交響曲第9番「合唱」(1958年12月21-22日)
・レオノーレ序曲第1番~第3番(1956年2月26-27日)
・フィデリオ序曲(1955年11月9日)
・コリオラン序曲(1955年2月26-27日)
・『プロメテウスの創造物』より「序曲」「第5曲:アダージョ」「第16曲:フィ ナーレ」(1960年3月7日)
・祝賀メヌエット 変ホ長調(1949年12月20日)※
・ヴァイオリン協奏曲(1955年11月月27-28日)
・ピアノ協奏曲第1番(1960年11月2-3日)
・ピアノ・ソナタ第22番(1960年11月29-30日)

【シューベルト】
・交響曲第2番(1949年12月20日※)(1960年3月7日)
・交響曲第8番「未完成」(1955年5月2日)
・交響曲第9番「ザ・グレイト」(1958年11月19日)

【シューマン】
・交響曲第1番「春」(1951年4月25日※)(1959年10月5日)
・歌劇『ゲノフェーファ』序曲(1951年1月18日)
・マンフレッド序曲(1959年10月5日)

【メンデルスゾーン】
・交響曲第3番「スコットランド」(1959年12月7日)
・交響曲第4番「イタリア」(1958年2月18日)
・交響曲第5番「宗教改革」(1957年10月28日)
・華麗なカプリッチョ(1960年3月14日)
・ヴァイオリン協奏曲(1959年2月23-25日)(1960年12月24,26日※)
・八重奏曲p.20より「スケルツォ」

【ブラームス】
・交響曲第1番(1956年11月19日)
・交響曲第2番(1955年12月5日)
・交響曲第4番(1950年4月10-11日)(1958年10月27日)
・悲劇的序曲(1955年12月5日)
・ピアノ協奏曲第1番(1958年4月9日)
・ピアノ協奏曲第2番(1952年8月11日)

【ワーグナー】
・歌劇『タンホイザー』より「序曲とヴェーヌスベルクの音楽」
・楽劇『ワルキューレ』より「魔の炎の音楽」
・楽劇『神々の黄昏』より「ジークフリートのラインへの旅」(1957年4月1日)
・楽劇『神々の黄昏』より「ブリュンヒルデの自己犠牲」
・楽劇『トリスタンとイゾルデ』より「前奏曲と愛の死」(1957年11月25日)

【チャイコフスキー】
・交響曲第4番(1955年11月7日)
・交響曲第6番「悲愴」(1962年3月12日)
・ヴァイオリン協奏曲(1953年3月29日)(1959年2月9日)
・幻想序曲『ロメオとジュリエット』(1956年3月12日)(1961年4月3,20日)
・フラン チェスカ・ダ・リミニ(1956年4月23日)
・弦楽セレナード(1957年3月13日)

【ドヴォルザーク】
・交響曲第8番(1961年3月13日)
・チェロ協奏曲(1960年2月22日)

【マーラー】
・さすらう若人の歌、亡き子をしのぶ歌(1958年12月28-29日)

【R.シュトラウス】
・交響詩『ドン・キホーテ』(1953年8月17日)
・交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯』(1961年4月3,20日)

【ショパン】
・ピアノ協奏曲第1番(1960年3月14日)
・ピアノ協奏曲第2番(1954年11月24,29日)

【プロコフィエフ】
・バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲Op.64bis/Op.64ter/Op.101』より(1957年2月11,13日)
・ピアノ協奏曲第2番(1957年2月13日)
・ヴァイオリン協奏曲第2番(1959年2月23-25日)

【ラフマニノフ】
・交響曲第3番(1957年12月29日)
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◆第二グループは、ミュンシュがもっとも得意としたフランス音楽から現代音楽にかけてのラインナップである。以下のうち、ベルリオーズからミヨーまでは、2つの廉価盤BOX (ベルリオーズの廉価盤集) 
Berlioz: The Great Classical Collection 、(フランス音楽の一世紀) Various: Un Siecle De Musique (両者ともにミュンシュの他にフランス音楽のエキスパートが登壇)を組み合わせるとかなりカヴァーできるので、そうしたチョイスもお薦めである。

【ベルリオーズ】
・幻想交響曲(1954年11月14-15日)(1962年4月7日)
・劇的交響曲『ロメオとジュリエット』(1953年2月22-23日)(1961年4月23-24日)
~「キャピュレット家の大宴会」「愛の場面」「愛の情景」(1953年2月22-23日)
・宗教的三部作『キリストの幼時』(1956年12月23-24日)
・交響曲『イタリアのハロルド』(1958年3月31日)
・劇的物語『ファウストの劫罰』(1954年2月21-22日)
~「鬼火のメヌエット」「妖精の踊り」「ラコッツィ行進曲」(1963年3月14日)
・『レクイエム』(1959年4月26-27日)
・歌劇『ベアトリスとベネディクト』序曲(1949-1950年)(1958年12月1日)(1959年4月6日)
・序曲『ローマの謝肉祭』(1958年12月1日)
・序曲『海賊』Op.21(1958年12月1日)
・歌劇『トロイ人』より「王の狩りと嵐」(1959年4月6日)
・歌曲集『夏の夜』(1955年4月12-13日)

【サン=サーンス】
・交響曲第3番「オルガン付」(1947年11月10日)(1959年4月5-6日)
・交響詩『オンファールの糸車』(1957年11月4日)
・序奏とロンド・カプリチオーソ(1953年2月22-23日)
・歌劇『黄色の王女』序曲(1949-1950年)
・ピアノ協奏曲第4番(1954年11月24,29日)

【イベール】
・交響組曲『寄港地』(1956年12月9-10日)

【オネゲル】
・交響曲第2番(1953年3月29日)
・交響曲第5番「3つのレ」(1952年10月27日)

【ルーセル】
・バレエ組曲『バッカスとアリアーヌ』(1952年10月27日)

【ダンディ】
・フランス山人の歌による交響曲(1948年12月20日※)(1957年11月25日)

【デュカス】
・交響詩『魔法使いの弟子』(1957年11月4日)

【プーランク】
・オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲(1960年10月9日)

【ミヨー】
・プロヴァンス組曲 Op.152b(1960年11月21日)
・バレエ音楽『世界の 創造』(1961年3月13日)

【ラヴェル】
・スペイン狂詩曲(1949-1950年※)(1956年1月23日)
・ラ・ヴァルス(1949-1950年※)(1955年12月5日)(1962年3月26日)
・ダフニスとクロエ(全曲)(1955年1月23-24日)(1961年2月26-27日)
・ボレロ(1956年1月23日)(1962年3月26日)
・ピアノ協奏曲ト長調(1957年11月25日)
・組曲『マ・メール・ロワ』(1958年2月19日)
・亡き王女のためのパヴァーヌ(1956年1月23日)(1962年3月26日)
・高雅で感傷的なワルツ(1963年3月14日)

【ドビュッシー】
・カンタータ『選ばれた乙女』(1955年4月11日)
・神秘劇『聖セバスティアンの殉教』(1956年1月29日)
・交響詩『海』(1956年12月9-10日)
・管弦楽のための映像(1957年12月16日)
・牧神の午後への前奏曲(1962年3月13日)
・『夜想曲』より「雲」「祭」
・交響組曲『春』(1962年3月13日)  
La Mer

【ストラヴィンスキー】
・カルタ遊び (1960年11月7日)

【ショーソン】
・詩曲(1955年12月14日)
・交響曲変ロ長調(1962年2月26日)

【フォーレ】
・組曲『ペレアスとメリザンド』(1963年3月14日)

【フランク】
・交響的変奏曲(1949年10月21日)
・交響曲ニ短調(1957年3月11日)
・交響詩『呪われた狩人』(1962年2月26日)

【ラロ】
・歌劇『イスの女王』序曲(1949-1950年)

【メノッティ】
・ヴァイオリン協奏曲イ短調(1954年11月8日)

【ピストン】
・交響曲第6番(1956年3月12,14日)

【マルティヌー】
・交響的幻想曲(1956年4月23日)

【バーバー】
・弦楽のためのアダージョ(1957年4月3日)
・メデアの瞑想と復讐の踊り(1957年4月10日)

【エルガー】
・序奏とアレグロ Op.47(1957年4月3日)

【ブルッフ】
・ヴァイオリン協奏曲第1番(1951年1月18日)

【ブロッホ】
・シェロモ(1957年1月28,30日)※

【ウォルトン】
・チェロ協奏曲(1957年1月28,30日)

【イーズリー・ブラックウッド】
・交響曲第1番(1958年11月9,30日)※

【アレクセイ・ハイエフ】
・交響曲第2番(1958年11月9,30日)※

【スミス】
・星条旗(1957年10月28日)
※は今回初CD化(HMV参照)

上記分類の第一グループについて、次のセットが良い。

豪放なれど見事なバランス感覚 (amazon.co.jp)

シャルル・ミュンシュは、ドイツ語読みではカール・ミュンヒ、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団で、フルトヴェングラーやワルターの下でコンサートマスターを務めていたことはよく知られている。弦楽器の使い方の巧みさ、その音色の澄んだ響きは、この時の自らの豊富な経験からか。
 晩年のパリ管との関係、特にフランスものの秀演、「幻想」などがあまりにも有名だが、ドイツ音楽の正統を継ぎ、かつ黄金時代は、手兵ボストン響との名コンビで全米はもとより世界で鳴らした。    
 本選集ではこれに加えて、メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲では、ハイフェッツと、ブラームス/ピアノ協奏曲第2番ではルービンシュタインとの共演を聞ける。どの演奏も大筆で一気に揮毫するような迫力があるけれど、けっして大味ではなく全体の構成が自然でいささかも崩れていない。特に得意のブラームスの熱気は凄いし、普段あまり接することのないシューベルト/交響曲第2番なども実に楽しく飽きずに聴くことができる。
 なにより、このダンピング価格である。迷わず購入、期待以上のメリハリのきいた演奏に満足。録音の古さで★1つ留保したが、豪放なれど見事なバランス感覚の演奏群であり推奨したい。

【収録内容】
CD1:メンデルスゾーン/交響曲第3番『スコットランド』、ヴァイオリン協奏曲ホ短調[v.ハイフェッツ]、華麗なるカプリッチョ ロ短調[p.ゲイリー・グラフマン](録音/1959年、1960年ステレオ)
CD2:同上/交響曲第4番『イタリア』、同第5番『宗教改革』、弦楽八重奏曲変ホ長調〜スケルツォ(録音/1958年、1957年、1960年)
CD3:ブラームス/交響曲第1番、悲劇的序曲(録音/1956年、1955年)
CD4:同上/交響曲第2番、同第4番(録音/1955年、1958年)
CD5:シューベルト/交響曲第2番、ブラームス:ピアノ協奏曲第1番[p.ゲイリー・グラフマン](録音/1960年、1958年)
CD6:同上/交響曲第8番『未完成』、同第9番『グレート』(録音/1955年、1958年)
CD7:シューマン/交響曲第1番『春』、『マンフレッド』序曲(録音/1959年)
CD8:同上/『ゲノヴェーヴァ』序曲、ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調[p.ルービンシュタイン](録音/1951年、1952年のみモノラル)






輪郭線のはっきりした名演 (amazon.co.jp)

ミュンシュは長らくライプチィヒ・ゲバントハウス管弦楽団でコンサートマスターを務めていました。ここでは往時のフルトヴェングラーやワルターなどが指導していました。ミュンシュのブラームスが筋金入りなのはそうした時代の「鍛えられ方」が違うからかも知れません。

 ミュンシュのブラームスの第1シンフォニーを聴いていると、フルトヴェングラーのもつ凝縮力やワルターの特色である抒情性をしっかりと受け継ぎながらも、根底ではブラームスの交響曲の大きな音楽設計思想の輪郭線をはっきりと表現し、それゆえに男性的でいかにも堅牢な印象を与えてくれます。晩年のパリ音楽院管弦楽団の名演とともに、手兵ボストン響とのビシッと決まった本盤も歴史的名演と言えるでしょう。1956年の録音です。


上記分類の第二グループについて、以下、いくつか代表盤を。




オネゲル:交響曲第2番&第5番「3つのレ」、ルーセル:バッカスとアリアーヌ第2番【Blu-spec CD】

ミュンシュ  初演指揮者の矜持 (amazon.co.jp)
オネゲル:交響曲第2番&第5番「3つのレ」、ルーセル:バッカスとアリアーヌ第2番
 
交響曲第2番は、第二次世界大戦中に作曲されたもので、戦争の悲惨さ、絶望感が表現されていることから、戦時映像のバックで流されることもある曲。執拗なテーマの繰り返し、陰惨な曲想、一貫した緊張感の醸成に特色がある。第3楽章の最後にトランペットが用いられるが基本は「弦楽のための交響曲」であり、弦楽五重奏曲の拡大版を聴くような感じ。ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管で、コンサートマスターを務めていたミュンシュならでは、弦楽器の使い方の巧みさ、各楽器の音色の奥深い響きは、この曲でも十分生かされている。 

交響曲第5番『三つのレ』(全3楽章がレ(ニ)音で終わる)は、ミュンシュ/ボストン響によって1951年に初演された(本盤は翌年の録音)。第2楽章に十二音技法が用いられているということでも知られるが、リズミックさが強調されているため、あまり意識されない。

ルーセル「バッカスとアリアーヌ」はバレエ曲らしい華やかさがあり、お口直し的に明るく力強いエンディングである。ミュンシュらしい快演。

Berlioz: Symphonie fantastique
ミュンシュ/ボストン響 定評あるベルリオーズ (amazon.co.jp)

ミュンシュ/ボストン交響楽団による『幻想交響曲』『イタリアのハロルド』『夏の夜』の2枚組。『幻想』ではマルケヴィッチやベイヌムも良い演奏だが、ミュンシュのちょっと真似のできないスケール感はやはり大書しておくべきだろう。

構えが大きく立派で、全般の運行早く軽快なテンポを保ち、熱っぽく汗が迸るような演奏であることがミュンシュの特色である。

クラシック音楽を聴きはじめた頃、1968116日にミュンシュは逝去した。直後の11日に追悼記念コンサートのテレビ放映があり、その演目は『幻想』であった。当時は、こうした映像自身がめったに紹介されることがなかったから、この貴重な記録を食い入るように魅入った思い出がある。他の2曲は下記データのとおりだが定評ある名演。 

【収録内容】
 
◆『幻想交響曲』

 録音:195411月 ボストン・シンフォニー・ホール(2トラック録音)

◆交響曲『イタリアのハロルド』

 ウィリアム・プリムローズ(va

 録音:1958331日 ボストン、シンフォニー・ホール(3トラック録音)

◆歌曲集『夏の夜』

 ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(ソプラノ)

 録音:1955412,13日、ボストン、シンフォニー・ホール(MONO
 

ベルリオーズ : 幻想交響曲 | ドビュッシー : 「海」 他 (Stravinsky : Requiem Canticles | Debussy : La Mer | Berlioz : Symphonie Fantastique / Charles Munch | Orchestre de Paris) (1967 Paris Live) (2LP) [Limited Edition] [Analog]


 
 晩年のパリ管との関係、特にフランスものの秀演(上記はその代表作「幻想」など)があまりにも有名だが、ドイツ音楽の正統を継ぎ、かつ黄金時代は、手兵ボストン響との名コンビで全米はもとより世界で鳴らした。    

 本選集ではこれに加えて、メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲では、ハイフェッツと、ブラームス/ピアノ協奏曲第2番ではルービンシュタインとの共演を聞ける。どの演奏も大筆で一気に揮毫するような迫力があるけれど、けっして大味ではなく全体の構成が自然でいささかも崩れていない。     

 特に得意のブラームスの熱気は凄いし、普段あまり聞くことのないシューベルト/交響曲第2番なども実に楽しく飽きずに聴くことができる。

 
【収録内容】

CD1:メンデルスゾーン/交響曲第3番『スコットランド』、ヴァイオリン協奏曲ホ短調[v.ハイフェッツ]、華麗なるカプリッチョ ロ短調[p.ゲイリー・グラフマン](録音/1959年、1960年ステレオ)

CD2:同上/交響曲第4番『イタリア』、同第5番『宗教改革』、弦楽八重奏曲変ホ長調~スケルツォ(録音/1958年、1957年、1960年)

CD3:ブラームス/交響曲第1番、悲劇的序曲(録音/1956年、1955年)

CD4:同上/交響曲第2番、同第4番(録音/1955年、1958年)

CD5:シューベルト/交響曲第2番、ブラームス:ピアノ協奏曲第1[p.ゲイリー・グラフマン](録音/1960年、1958年)

CD6:同上/交響曲第8番『未完成』、同第9番『グレート』(録音/1955年、1958年)

CD7:シューマン/交響曲第1番『春』、『マンフレッド』序曲(録音/1959年)

CD8:同上/『ゲノヴェーヴァ』序曲、ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調[p.ルービンシュタイン](録音/1951年、1952年のみモノラル)


1940614日、ドイツ軍によりパリ陥落。1944825日連合国軍によりパリ解放。フランス人にとってもっとも屈辱的な4年間。ミュンシュは、『指揮者という仕事』(福田達夫訳、春秋社、1994年)のなかで、「ドイツ軍の占領という恐ろしい4年間があった。当時の私の役割は、より幸福な世界へと人々の心が逃避するのを助けることにあった。《中略》物質的などんな力も決して音楽の躍動を打ちのめすことはできないだろう」(p.34)と述べています。この期間、全力で音楽に没頭した旨も書かれていますが、本集で、もっとも録音点数が多いのは194144年、パリでのフランスの作品がその中心です。ミュンシュは終戦後、渡米し活動の本拠をボストンにおきます。20年後の1967年、新生パリ管の初代指揮者に就任し、ふたたびパリへ。その成果も本集の特色です。以下ではこの4年間の本集所収録音をリストしてみました。ご参考まで

194144年の録音盤>

・ドビュッシー:

・ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ、 ラ・ヴァルス

・オネゲル:交響曲第2番、オラトリオ『死の舞踏』

・マルセル・ドラノワ:バレエ音楽『ガラスの靴』、協奏的セレナーデ、

・ルイ・オーベール:交響詩『ハバネラ』

・ギュスターヴ・サマズイユ:繰り返す時間、夜…withエリエット・シェーンベルグ

・アンドレ・ジョリヴェ:兵士の三つの嘆きwithピエール・ベルナック

・ショパン(オーベール編):バレエ『魅せられし夜』

・エルネスト・アルフテル:ポルトガル狂詩曲withマルグリット・ロン

・ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲withジャック・フェヴリエ

J.S.バッハ(ホフマン作):カンタータ『わが魂はほめ讃う』with ピエール・ベルナック

・モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5withジャック・ティボー

・モーツァルト:ピアノ協奏曲第20withジャン・ドワイアン

・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番『皇帝』withマルグリット・ロン

・リスト:ピアノ協奏曲第1withジョセフ・ベンヴェヌッティ

・チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1withコンスティア・コンスタンティノフ

 

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