日曜日, 8月 24, 2008

ヴァント ブルックナー6番

 このジャケットは「似ていて非」の別物ですが、久しぶりにケルン響で6番を聴きました。1976年8月16日~25日、ケルンのWDRグローサー・ゼンデザールでの録音です。
 熱っぽい演奏、そして秘めた意志力が、すべて真率な「音」に転化されていくような演奏。そうした「音」束が生き生きと、再現・創造の場でたしかな「運動」をしていると感じるような演奏。

 6番についての先入主ー5番と7番の谷間の比較的小振りの曲で仄かな明るさが身上(これはベートーヴェンからのアナロジーかな)といった一般的な解釈をヴァントはとっていません。
 色彩的には全般に暗く、むしろ、(ある意味で当然ですが)5、6、7番には底流で作曲上の「連続した一貫性」があること、そこをあえて忠実に再現しようとする解釈を感じます。その姿勢は、奇をてらわず、いつもながら淡々として臨んでいるともいえるでしょうし、一方、上記のような通説、定番の見方などは、自分には一切関係なし、己は己の道を征くといった気迫もあります。

 ヴァントらしい細部の丁寧な処理は他番の演奏と変わりません。しかし、私からみて、6番では、なかなかしっくりとする演奏に出会わないなかにあって、本盤はあくまでも「ヴァント流」でほかが追随できない高みに上った秀演と言ってよいのではないでしょうか。
 
(参考)ヴァントの他の6番

・Anton Bruckner (1824 - 1896)  Symphony no 6 in A major, WAB 106
Wand, Gunter/ North German Radio Symphony Orchestra
録音場所: 05/15/1995, Music Hall, Hamburg, Germany [Live ]
・同上[1881年稿(ハース)]
・同上:北ドイツ響/1996年7月7日、リューベック、コングレスハレ(ライヴ収録)

・同上:ミュンへン・フィル/1999年6月24日ミュンヘン、ガスタイク

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