このセットではまずブラームスのリマスター盤を聴いた。音質がとても良くなっていて感動する。ここまでデジタル化の技術はいけるのかという感じ。やはり、フルトヴェングラーのブラームスはぼくにとって断トツである。
【以下は最近のレビュー】
この選集の魅力は、第1にベートーヴェンとブラームスの交響曲全集が最新のリマスター盤であること、第2に相当程度、フルトヴェングラーの主要レパートリーをカヴァーしていること(ワーグナーは「トリスタン」のみだし、シューマン、ブルックナーなどが入っていない・・・などの難点はあるが、標準的にはよく考えられた選曲と思う)、第3に現状のバラ売り購入との比較では大変な廉価扱いであることである。なお、CD21は「ボーナス」扱いで巨匠を回想するインタビューであるが、これは既に多くのフルトヴェングラー本で語られ、YouTubeでも見られるので、一部のディープなファン向けとも言えよう。
演奏の多くは他に比肩すべきものがない「歴史的な名演」である。それは一人の巨匠の記録という意味を超えて、第二次大戦前後の演奏者も聴衆も生死を賭けた時代だからこそなしえた異様な緊張感ある演奏であり、この音源に強烈に反映されている。今日聴けば、録音の良し悪しは当然、気になるだろうが、本選集ではその深部の意味も再度考えて耳を傾けたいと思う。
<収録内容 ★はリマスター盤>
CD1★ ベートーヴェン:交響曲第1番、第3番/ウィーン・フィル(1952年11月)
CD2★同第2番/ウィーン・フィル(1948年10月)、同第4番/ウィーン・フィル(1952年12月)
CD3★同第5番/ウィーン・フィル(1954年3月)、同第7番/ウィーン・フィル(1950年1月)
CD4★同第6番/ウィーン・フィル(1952年11月)、同第8番/ストックホルム・フィル(1948年11月)
CD5★同曲第9番/バイロイト祝祭合唱団、管弦楽団(1951年7月)
CD6 同:ピアノ協奏曲第5番(p)エトヴィン・フィッシャー、フィルハーモニア(1951年2月)、バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番(V)ユーディ・メニューイン、フィルハーモニア(1953年9月)
CD7 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲(V)ユーディ・メニューイン、ルツェルン祝祭管弦楽団(1947年8月28-29日)、メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲(V)ユーディ・メニューイン、ベルリン・フィル(1952年5月)
CD8&9 ベートーヴェン:歌劇『フィデリオ』全曲 ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン・フィル(1953年10月)
CD10★ブラームス:ハンガリー舞曲第1番、第3番、第10番(1949年4月)、ハイドンの主題による変奏曲、交響曲第1番/ウィーン・フィル(1952年1月)
CD11★同交響曲第2番/ベルリン・フィル(1952年5月)、同第3番(1949年12月)
CD12★同第4番/ベルリン・フィル(1948年10月)、ベートーヴェン:『コリオラン』序曲/ウィーン・フィル(1947年11月)、『レオノーレ』序曲第2番/ベルリン・フィル(1954年4月)
CD13 ブラームス:ヴィオリン協奏曲(V)ユーディ・メニューイン、ルツェルン祝祭管弦楽団(1949年8月)、同:ヴァイオリン、チェロのための協奏曲(V)ヴィリー・ボスコフスキー、(C)エマヌエル・ブラベッツ、ウィーン・フィル(1952年1月27日)
CD14 モーツァルト:交響曲第40番/ウィーン・フィル(1948年12月、1949年2月)、チャイコフスキー:交響曲第6番/ベルリン・フィル(1938年10月)
CD15 R.シュトラウス:ドン・ファン、ティル・・・/ウィーン・フィル(1954年3月)、死と変容/ウィーン・フィル(1950年1月)、フルトヴェングラー:交響的協奏曲ロ短調~アダージョ (P)エトヴィン・フィッシャー、ベルリン・フィル(1939年4月)
CD16~19 ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』全曲 コヴェントガーデン王立歌劇場合唱団、フィルハーモニア(1952年6月)
CD20 ハイドン:交響曲第94番、ケルビーニ:『アナクレオン』序曲/ウィーン・フィル(1951年1月)、シューベルト:交響曲第8番/ウィーン・フィル(1950年1月)、リスト:前奏曲S.97/ウィーン・フィル(1954年3月)
CD21 「フルトヴェングラーの思い出」:アルド・チッコリーニ、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、ユーディ・メニューイン、
ピーター・ゲルホーン、ベルトルト・ゴルトシュミット(指揮者)、ヒュー・ビーン、ジョン・ミーク、ヒュー・マクグァイア、ハロ ルド・ナッシュ、ジェルヴァーズ・ド・ペイエ(楽団員)、フルトヴェングラー未亡人エリーザベト、バーナード・デニス・ブラウン
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