アンドリス・ネルソンスには数年前から注目している。特に、2011年春、「東京・春・音楽祭 - 東京のオペラの森」において、NHK交響楽団を指揮してワーグナーの「ローエングリン」を演奏会形式にて上演する予定であったが、東日本大震災の影響で中止となった。楽しみにしていたので残念だった。このルツェルンでの映像は同年の半年後のものである。
CDのジャケットでもそうだが、ちょっと猫背ぎみで、目がくりくりとよく動き、口を半開きにして、いつも笑っているような面立ちである。若きマエストロ登場といった大仰さがなくて、さっと指揮台にあがって、いかにも楽しそうに「音楽」しているといった風情である。でも、演奏は高感度。一流の歌手の腹式発声法よろしく、タクトの先から音楽が紡がれるというよりも、ネルソンスの心から音楽が涌きでているような印象をもつ。勉強家でスコアを読み尽くしながら、細かな表現を忽せにせず、オーケストラ操舵もよく心得ている秀才なのだが、エリート臭さがなく、前述のような親しみやすい風貌、いささかの茫洋ぶりがそれをうまくマッチ(緩衝)しているかな。伸び伸びとした(ある意味で、「妖艶さ」よりもさまざまな楽器が目一杯活動する「健康優良児」のような)「シェエラザード」がとても楽しめた。
【以下は引用】
ラトビア出身、小澤征爾の代役としてウィーン・フィル、ベルリン・フィルを指揮するなど若手指揮者の中でも注目著しいアンドリス・ネルソンス。29歳という異例の若さでバーミンガム市交響楽団の音楽監督となって以来、ウィーン国立歌劇場やメトロポリタン歌劇場、バイロイト音楽祭など活躍の場を着実に広げている“未来の巨匠”が、スイスで毎夏行われる「ルツェルン音楽祭」で名門ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮し話題となったコンサート。
最強のヴィルトゥオーゾ・ピアニスト、イェフィム・ブロンフマンを迎えたベートーヴェン「皇帝」や得意のロシアン・プログラム「シェエラザード」など、ベテラン演奏家たちと共に丁寧に音楽を作り上げていくネルソンスの姿は必見。[演目]ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:劇音楽『アテネの廃墟』序曲Op.113/ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op.73『皇帝』、フレデリック・ショパン:エチュード ヘ長調Op.10-8、ニコライ・リムスキー=コルサコフ:交響組曲『シェエラザード』Op.35、アントニーン・ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第3番変イ長調Op.46,B.83-3
[指揮]アンドリス・ネルソンス
[演奏]ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、イエフィム・ブロンフマン(ピアノ)
[収録]2011年9月5日ルツェルン・カルチャー&コンヴェンション・センター内コンサート・ホール(ルツェルン)
[映像監督]ウテ・フォイデル
■約1時間51分
29歳でバーミンガム市交響楽団音楽監督就任以来、若手指揮者の中でも進境著しいアンドリス・ネルソンスが、2011年ルツェルン音楽祭でロイヤル・コンセルトヘボウ管を指揮しベストパフォーマンスと絶賛されたコンサート。得意とするワーグナー『リエンツィ』序曲の勇壮さ、R・シュトラウスの官能的な『7つのヴェールの踊り』、そしてベルリン・フィル・デビューを飾った演目でもあるショスタコーヴィチの交響曲第8番の圧倒的なスケール。ネルソンスの若々しいエネルギーと柔軟な音楽性、名門コンセルトヘボウ管の迫力のオーケストラ・サウンドは大画面で見たい。
[演目]リヒャルト・ワーグナー:歌劇『リエンツィ』序曲、リヒャルト・シュトラウス:歌劇『サロメ』Op. 54~7つのヴェールの踊り、ドミートリイ・ショスタコーヴィチ:交響曲第8番ハ短調Op. 65
[指揮]アンドリス・ネルソンス
[演奏]ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
[収録] 2011年9月4日ルツェルン・カルチャー&コンヴェンション・センター内コンサート・ホール(ルツェルン)
[映像監督]ウテ・フォイデル
■約1時間41分
http://www.classica-jp.com/program/detail.php?classica_id=CU1206&date=20140504
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