日曜日, 5月 25, 2014

クラウディオ・アラウ Claudio Arrau を聴く  2

Serious Wizard of Sound


単なる日本語の語感によるものかも知れないが、バックハウスという響きには、いかにもドイツ的な堅牢さを感じさせるし、ケンプというと、なぜか「きちんとした」イメージを抱く。その連想からはアラウは、心を「洗う」がごとき柔らかなをものを・・・。これは、あくまでも語呂合わせであり、日本人の潜在心理に働きかけるようなものとも思う。

しかし、まんざら当たっていないわけでもない。バックハウスの雄渾なピアノはドイツの本流の重さがあり、ケンプ博士のピアニズムは学究的な雰囲気を醸し、そしてアラウは、両者のように個性的ではないが、控えめながら柔よく剛を制するが如く、これも王道をいく立派な出で立ちを想起させる。 

クラウディオ・アラウの廉価盤が最近多くでている。下記12枚組)は代表的なものだが、本集、協奏曲ではグリーグ、シューマンは同一演奏ながら、ベートーヴェンの3~5番は、クレンペラーとのライブでこの時代では著名なもの。また、得意のリストもカンテッリやオーマンディとの協演も収録されている。

アラウは健康に恵まれ長寿で晩年まで活躍したので、その音源は多いが本集は1950年代のモノラル録音が主体である点は留意。ソナタでは、全般にテンポが緩やかで情感表現が豊かゆえ、素直に曲想に入っていけるのが好ましい。特に、ショパンでは演奏家が前面に立つような派手さを嫌い、中庸の大家らしい解釈の深さを自然に感じさせる。音量を控えイン・テンポを守った演奏スタイルはドイツ音楽に限らず、あらゆる作品に適応するアラウならではのアプローチである。

 

【収録情報、カッコ内録音時点】

<協奏曲他>

◆ベートーヴェン:ピアノ協奏曲

3番(19571024日)、第4番(1957113日)、第5番(1957118日):クレンペラー/フィルハーモニー管、於:ロイヤル・フェスティヴァル・ホール

 
R.シュトラウス:ブルレスケ(1946 4 13 日):デフォー/シカゴ響

◆ヴェーバー:小協奏曲:同上

◆ショパン:ピアノ協奏曲第2番(19501210日):フリッツ・ブッシュ/ニューヨーク・フィル

◆リスト:ピアノ協奏曲第2番(1953315日):グィド・カンテッリ/ニューヨーク・フィル

◆リスト:ハンガリー幻想曲:オーマンディ/フィラデルフィア管(195152年)

◆グリーグ:ピアノ協奏曲(19574月)):ガリエラ/フィルハーモニア管

◆シューマン:ピアノ協奏曲(19575月):同上

 

<ピアノソロ>

◆ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ

24番(195868日)、第31番(1957518日)、於:アビー・ロード・スタジオ

 

◆シューマン:クライスレリアーナ(1957年)、謝肉祭(1939年)

◆ヴェーバー:ピアノ・ソナタ第1番(1941220日)

◆リスト:ハンガリー狂詩曲第9番、第11番(195152年)

◆ショパン:12の練習Op.10Op.25、演奏会用アレグロ イ長調、3つの新しい練習曲、幻想即興曲、ショパン:舟歌(1953年、56年)
 

 

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