水曜日, 4月 29, 2015

ブラームス 交響曲 徹底 聴きくらべ!


まずは、ウィーン・フィルでトレースした過去の記事を再掲。ウィーン・フィルで交響曲のベスト盤は?といっても好みがわかれるであろうが、小生は、1,3番についてはカラヤンの旧盤を、2,4番についてはクライバーを好む。同一指揮者の全集では、ベームかジュリーニを推賞。

 

ウィーン・フィルから離れて、歴史的な名演では、フルトヴェングラーがなんと言っても凄い。これは録音の悪さを覚悟のうえで、一度は集中して聴く価値がある。ワルターの全集も見事。下記には掲げていないが、トスカニーニもキリリと引き締まった規範的名演。以下は、フルトヴェングラーとワルターについて掲載。

 

まだまだ、秀演が目白押しだが、最後に渋いが3名を挙げておきたい。イッセルシュテット、ケンペ、ベイヌムである。特に小生はベイヌムが好きだ。
 
 

Saturday, July 13, 2013

ウィーン・フィル ブラームス 交響曲全集神話   


 
  今日の主役はウィーン・フィル。この楽団はブラームスを最強の「持ち駒」としており、誰が振っても高度なレベルの演奏を提供する。しかし、できれば当代第1等との指揮者との音源こそ誇り高きウィーン・フィルにはふさわしい。彼らは慎重に指揮者を選び、時代切っての名演を紡ぐことこそ使命と思っているだろう。ここから逆に名指揮者をあぶりだしていこうというのが今日のひとつの眼目である。まずは、巨匠フルトヴェングラーの時代があり、そして死後、一時、その跡目とも期待されたクーベリックについて。

HMV レビュー から引用
フルトヴェングラーの伝説のオール・ブラームス・コンサートを再現!

フルトヴェングラー伝説のブラームス・コンサート1日を再現。これぞCDならではの疑似体験。フルトヴェングラーの考えぬかれたプログラムを堪能しました。新しい音質で見事蘇り、ボスコフスキーの美音も聴き物です。日本語解説書付。

・ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
・ブラームス:二重協奏曲
・ブラームス:交響曲第1番

ボスコフスキー(Vn) 
ブラベッツ(Vc)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)ウィーン・フィルハーモニー

1952年1月27日、ムジークフェラインザール
録音:ロートヴァイスロート放送集団



   クーベリックのブラームス交響曲全集は、4番(1956324-25日)、2番(195734-8日)、1番(同年923-24日)、3番(同年928-29日)の順で、ウィーン・ゾフィエンザールにてDECCAによってステレオ録音で収録されたもの。フルトヴェングラー亡き後、カラヤンのウィーン席巻までの空隙を埋めるかのように、若き俊英クーベリックがいかに当時注目されていたかの証左。演奏もフルトヴェングラーを彷彿とさせるようなパッショネイトさもあって熱演。その後、同じDECCAで下記のカラヤン盤(1番、3番)が出たので、いわばお蔵入りになってしまった。


【以下はタワーレコードからの引用】
全集としては2種しかないクーベリックのブラームスの交響曲全集のうち、ステレオ初期のウィーン・フィルとの貴重な最初のセッション録音。後のバイエルン放送響との録音では落ち着いた滋味溢れる好演奏を聴かせており、クーベリックのブラームス演奏はベートーヴェンと並んで高い評価を受けています。ステレオ録音を始めたばかりのDECCAが、まだ40代になったばかりの若いクーベリックを使って全集録音を遂行しようとしたことは、当時いかに彼に期待を寄せていたかを物語っているとも言えます。
演奏は強靭な精神力を基に、クーベリック独自の圧倒的なブラームス感が濃厚に描かれています。後の演奏とは異なるこの響きは、ウィーン・フィルとDECCAとの組み合わせだからこその成果と言えましょう。
 
 

フルトヴェングラー亡きあと、次はカラヤン。カラヤンとは1949年2番の録音もあり以前から近しい存在であった。上記は小生のよく聴く演奏だが、蜜月時代は短くその後ウィーン・フィルとカラヤンの関係が悪化し決裂。ブラームスは1,3番は残すが、2,4番のこの時期の録音は実現せず。帝王カラヤンは、ウィーンを後にし、ベルリン・フィルとの累次録音に傾注することになる。この時期、ウィーン・フィルはべームとの関係もぎくしゃくしており、ブラームスではべームもベルリン・フィルとの歴史的名演を残す。ウィーン・フィルにとってはマエストロ不在の焦りの時期である。誰にタクトを託すべきか?

ブラームス:交響曲第2番 カラヤン&ウィーン・フィル
(1949年 2番)

 HMV レビュー から引用
カラヤンとウィーン・フィルの名演

【制作者より】
録音当時、上昇気流に乗ったカラヤンの若々しい覇気の溢れる演奏を、オープンリール・テープから復刻しました。カラヤンの指揮もさすがですが、この頃のウィーン・フィルのしたたるような美音はまた格別の味わいがあります。

【解説書の内容】
このディスクの録音が行われた年の春、カラヤンはウィーン・フィルと初来日を果たしましたが、この時、彼らと行動を共にした故福原信夫氏の貴重な報告記事をご遺族の了解を得て全文掲載します。カラヤンの人間性や、当時の空気が非常に良く伝わってくる貴重な文献です。(以上、平林直哉)

【収録情報】
1. モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550
2. ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68


 録音時期:1959年3月27,28日(1)、1959年3月23,26日(2)
 録音場所:ウィーン、ゾフィエンザール
 録音方式:ステレオ(セッション)
 
ブラームス:交響曲第4番 大学祝典序曲
 

  欧州大陸はカラヤンが席巻し、アメリカは5大メジャー(ニューヨーク、クリーブランド、ボストン、フィラデルフィア、ロサンジェルス)が覇を競う。バーンスタイン、セル、ミュンシュ、オーマンディ、そしてメータらが活躍していた。皆、ブラームスは自家薬籠中の演目。特に、ミュンシュは得意としていた。一方、英国には円熟期をむかえた名匠、サー・ジョン・バルビローリがいた。ウィーン・フィルは彼と交響曲全集を収録した。しかし、バルビローリは1970年初来日を控え惜しまれて急逝した。

 
HMV レビュー から引用
『EMI CLASSICS 名盤 SACDシングル・レイヤー・シリーズ』
バルビローリ&ウィーン・フィル/ブラームス:交響曲第1番
限定盤

 この自然さ、この安定感。バルビローリの円熟味を感じさせる晩年の名演
 自然な流れを重視した流れるような安定感のあるブラームスです。表現や音の響きにしなやかさがあり、落ち着いたバルビローリならではの世界が堪能できる1枚です。必要以上に力を入れることなく大きなフレージングを駆使した20世紀の名演が展開されます。(EMI)

【収録情報】
・ブラームス:交響曲 全集


 録音時期:1967年
 録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
 英アビー・ロード・スタジオ最新リマスター音源使用
 
 

  バルビローリにつづき、ウィーン・フィルが白羽の矢をたてたのがイシュトヴァン・ケルテスだった。60年代から関係を構築し70年代、頭角をあらわしたこのいまだ少壮のしかし大物指揮者は、ウィーン・フィルとの相性が良かったようだ。しかし、不幸なことにケルテスも不慮の事故死に遭う。
 
 これ以降、ウィーン・フィルは矢継ぎ早といってよいほど、大指揮者なら誰でも・・・とは言わぬながら次々に指揮者を代えてブラームスを録音し続けることになる。メータ、クライバーなどに加えて全集では、べーム、バーンスタイン、ジュリーニといった具合に。しかし今日からみれば、最高ブランドたるウィーン・フィルのブラームス交響曲全集、その希少価値神話は、ケルテスをもって歴史的には終焉を迎えたと言えるのかも知れない。

 
HMV レビュー から引用
ブラームス:交響曲全集、セレナード集(4CD)
ケルテス&ウィーン・フィル、ロンドン響
若くして高い評価を得ていたハンガリーの指揮者、イシュトヴァン・ケルテス[1929-1973]の代表作のひとつともいわれるブラームスの交響曲全集。ウィーン・フィルのゾフィエンザール・サウンドを満喫できる逸品でもあります。

【交響曲】
交響曲第1番と第3番、ハイドン変奏曲は、ケルテスが遊泳事故で亡くなる直前に録音されたものですが、ハイドン変奏曲の終曲パッサカリアについては未完結となっていたため、その部分はウィーン・フィルの団員がケルテスの死を悼んで、指揮者なしで録音を完了したというエピソードでも知られています。
 ケルテスの指揮はブラームスらしさを大切にし、内声を充実させた立派なもの。オケが相性の良かったウィーン・フィルということもあり、生き生きと弾む音楽が実に魅力的でもあります。
 なお、1964年に録音された交響曲第2番では、まだ若かったケルテスのフレッシュな音楽づくりが聴きものとなっています。
 4曲ともに、デッカならではの厚みと艶のあるサウンドが、ウィーン・フィルならではの艶麗さと武骨さの入り交じる、複雑な味わいのブラームスを楽しませてくれます。 

【収録情報】
ブラームス:
1. 交響曲第1番ハ短調 Op.68
2. 交響曲第2番ニ長調 Op.73
3. 交響曲第3番ヘ長調 Op.90
4. 交響曲第4番ホ短調 Op.98
5. ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a

 録音時期:1973年(1,3,5)、1972年(4)、1964年(2)
 録音場所:ウィーン、ゾフィエンザール
 録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
 
 

デッカ ザ・ベスト1200
ケルテス&ウィーン・フィル/ブラームス:交響曲第2番

長い生みの苦しみの末に第1交響曲を世に送り出したブラームスは、その翌年には次の交響曲の作曲に着手し、その年の内に完成させました。こうして短期間のうちに完成された第2交響曲は、のびやかな歌謡性に富み、晴朗な曲想を持っているため「ブラームスの田園交響曲」と呼ばれて親しまれています。
 初期の作品に属するセレナード第2番は、ヴァイオリンを用いない特殊な編成による曲。(ユニバーサル ミュージック)

 

デッカ ザ・ベスト1200
ケルテス&ウィーン・フィル/ブラームス:交響曲第3番、第4番

人生の後半期に入ったブラームスの作品は徐々に内面的な要素と憂愁の色を強めていきますが、50代になってから完成された第3番と第4番の両交響曲もじっくりと味わいたい名作です。
 ケルテスがウィーン・フィルと完成させたブラームスの交響曲全集は、若くして不慮の事故のために世を去った彼の遺作となったもので、オーケストラの美質を最大限に活かした自然な表現が心を打ちます。(ユニバーサル ミュージック)

【収録情報】
ブラームス:
1. 交響曲第2番ニ長調 op.73
2. セレナード第2番イ長調 op.16

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1)
 ロンドン交響楽団(2)
 イシュトヴァン・ケルテス(指揮)

 録音時期:1964年5月(1)、1967年12月(2)
 録音場所:ウィーン(1)、ロンドン(2)
 録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
 ルビジウム・カッティング

 
【収録情報】
ブラームス:
1. 交響曲第3番ヘ長調 op.90
2. 交響曲第4番ホ短調 op.98

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 イシュトヴァン・ケルテス(指揮)

 録音時期:1972年11月(2)、1973年2月(1)
 録音場所:ウィーン、ゾフィエンザール
 録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
 ルビジウム・カッティング
 
ブラームス:交響曲第1番、リスト:前奏曲 メータ&ウィーン・フィル(限定盤)
 
HMV レビュー から引用
ウィーン・フィルSHM-CD名盤シリーズ
ウィーン・フィル来日記念盤
初回限定生産 SHM-CD仕様

ブラームス:交響曲第1番、リスト:前奏曲
メータ&ウィーン・フィル
そのデビュー盤がウィーン・フィルとのブルックナー第9番だったメータはその後もウィーン・フィルとの名盤を多く残しています。このコンビによる唯一のブラームスがこの録音です。(ユニバーサルミュージック)

【収録情報】
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68
・リスト:交響詩『前奏曲』S97
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 指揮:ズービン・メータ

 録音時期:1976年2月、1966年5月(リスト)
 録音場所:ウィーン、ソフィエンザール
 録音方式:ステレオ(セッション)
 
交響曲第4番 C.クライバー&ウィーン・フィル
 
HMV レビュー から引用
カルロス・クライバー&ウィーン・フィル/ブラームス第4番

1980年デジタル録音。ほとんどマニアックと言ってもいいディテールへの徹底したこだわりと、あたかも奔流を思わせる音楽の進行、時に官能的でさえある生々しい生命力を兼ね備えた凄い演奏。他に類例のないこのアプローチを完璧に受け止めきったウィーン・フィルの能力も驚異的、この組み合わせでなければ成立不能な稀有の音楽体験と言えるでしょう。

■ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:カルロス・クライバー

録音:1980年3月ウィーン〈デジタル録音〉
〈オリジナル=イメージ・ビット=プロセッシング〉
 
ブラームス:交響曲第2番、モーツァルト:交響曲第36番 クライバー&ウィーン・フィル(DVD)
 
HMV レビュー から引用
DTS5.1チャンネル・サラウンド付きで登場!

フォト・ギャラリーも収録!

クライバー&ウィーン・フィルのブラ2&リンツ

音楽の喜びと美しさに満ち溢れたクライバーのライヴ!
1991年10月、カルロス・クライバーは突然公開演奏会のOKを出し、モーツァルトの《リンツ》とブラームスの交響曲第2番というプログラムで、ウィーン・フィルによるコンサートが2日間にわたって行われました。指揮棒を振り下ろすやいなや、聴衆も楽員もクライバーのタクトによって、魔法にかかったように音楽に引き込まれていきます。クライバーとウィーン・フィルによる音楽の喜びと美しさに満ち溢れた演奏が、音と映像を通して鮮やかな感動を呼び起こします。

■モーツァルト:交響曲 第36番 ハ長調 K.425《リンツ》
■ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 作品73

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:カルロス・クライバー

制作:1991年10月6-7日 ウィーン、ムジークフェライン(ライヴ)

映像監督:ホラント・H.ホールフェルト
収録時間:72分
画像:カラー、スタンダード・サイズ(4:3)
音声:リニアPCMステレオ、DTS 5.1ch
片面1層記録方式
 
交響曲全集 ベーム&ウィーン・フィル(3CD) 
 
HMV レビュー から引用
ブラームス:交響曲全集
ベーム&ウィーン・フィル
空前の反響を呼んだというベーム&ウィーン・フィル初来日公演の直後、1975年の5~6月にウィーンのムジークフェラインザールでセッション・レコーディングされたもので、日本でも年内に緊急発売されて1976年度レコード・アカデミー賞を受けるなど各方面から絶賛された名盤です。
 いかにもベームらしい揺ぎない構築力を示す堂々たる演奏が揃っていますが、オーケストラがウィーン・フィルということもあって、どっしりしたフレームの中で、楽員がニュアンス豊かな音楽を展開する様子は実に魅力的。第1番第1楽章の序奏部における壮大な力感表出などさすがですが、一方で、第4番では、晩年のベームならではの渋味を含んだ味わいのある情感が深い感動を呼び起こします。ウィーン・フィルの響きも充実した美しいもので、名コンマス、ゲアハルト・ヘッツェルによる第1番第2楽章の甘美なヴァイオリン独奏や、独特の濃厚な音色の木管ソロのなど、ムジークフェラインザールならではのトゥッティの素晴らしい響きと相まってトータルな魅力を実感させてくれます。
 組み合わせの『ハイドンの主題による変奏曲』『悲劇的序曲』『アルト・ラプソディ』は、交響曲のあと、1976年と77年に収録されており、こちらも高水準な仕上がりです。
 中でも『アルト・ラプソディ』はスケールの大きな演奏で、厳しく彫琢されたオーケストラ・サウンドをバックに、クリスタ・ルートヴィヒがほの暗い声で切々と歌い上げ、ウィーン楽友協会合唱団の男声団員の面々が深々とした合唱であたたかく締めくくっています。トータル220分収録。(HMV)

【収録情報】ヨハネス・ブラームス
CD1
・交響曲第1番ハ短調 Op.68
・ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a

CD2
・交響曲第2番ニ長調 Op.73
・アルト・ラプソディ Op.53
・悲劇的序曲 Op.81

CD3
・交響曲第3番へ長調 Op.90
・交響曲第4番へ長調 Op.98

 クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)
 ウィーン楽友協会合唱団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 カール・ベーム(指揮)
 
交響曲全集、協奏曲集 バーンスタイン&ウィーン・フィル(5CD)
 
HMV レビュー から引用
バーンスタイン&VPO/ブラームス全集、他(5CD)
レコード・アカデミー大賞に輝いた、バーンスタインとウィーン・フィルの名盤。同じくウィーン・フィルとのベートーヴェン全集の成功を踏まえ、さらに大きく作品の情念的側面へと踏み込んでみせた演奏で、時代考証が一般化した今日では、そのあまりにも後期ロマン派的な傾向に驚かされますが、作曲者ブラームスの心のひだに想いを寄せ、複雑かつ陰影深い心情に寄り添い、その感情のうつろいを克明に活写したこの演奏が、いまなお無類の説得力と特別な感銘を少しも損なっていないことは確か。ウィーン・フィルの、ウィーン・フィルにしか不可能な情の深く熱いサウンドも大きな魅力となっています。
 カップリングは、鬼才クレーメルの怜悧なソロとバーンスタインの濃密アプローチが不思議な融和をみせたヴァイオリン協奏曲(第1楽章のカデンツァにレーガーの前奏曲 op.117-6を使用したことでも有名な演奏)、クレーメル&マイスキーとの二重協奏曲、二つの序曲とハイドン・ヴァリエーションです。

・ブラームス:
 ①交響曲第1番ハ短調 op.68
 ②交響曲第2番ニ長調 op.73
 ③交響曲第3番ヘ長調 op.90
 ④交響曲第4番ホ短調 op.98
 ⑤大学祝典序曲 op.80
 ⑥悲劇的序曲 op.81
 ⑦ハイドンの主題による変奏曲 op.56a
 ⑧ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.77
 ⑨ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調 op.102
 ギドン・クレーメル(vn)⑧⑨
 ミッシャ・マイスキー(vc)⑨
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 レナード・バーンスタイン(指揮)
 デジタル・ライヴ録音:
 1981-1982年 ウィーン、ムジークフェラインザール①-⑦⑨
 1982年 ウィーン、コンツェルトハウス⑧
 
 
 
HMV レビュー から引用
ブラームス:交響曲全集
ジュリーニ指揮ウィーン・フィルハーモニー
1989~91年デジタル録音。交響曲全曲と悲劇的序曲、ハイドン変奏曲を収録。完全主義者ジュリーニがウィーン・フィルと築き上げたモニュメンタルなブラームスが、細部の繊細な質感に至るまで完璧に再現されるのは優秀録音の醍醐味。ムジークフェラインザールならではの深く美しい響きが存分に味わえる素晴らしいセットです。

交響曲第1番
1991年4月、ウィーン、ムジークフェラインザール
横の線に重きを置いたブラームス。劇的な緊迫感よりは旋律表現が重視されており、滲み出る情感には独特な魅力が備わっています。特に第2楽章と第4楽章は美しい仕上がりで、この作品ならではの旋律美が倍化されて迫ってくるような錯覚さえ覚えるほど。トゥッティでも決して汚い響きにならないオーケストラのサウンドも見事です。

交響曲第2番
1991年4月、ウィーン、ムジークフェラインザール
遅いテンポを採用し、作品の細部に宿る美を徹底的に追求した趣の個性的な演奏。特に第2楽章の深みのある美しさは信じがたいもので、主題の波打つ様子やパッセージの受け渡しなど、室内楽的表現と管弦楽的表現のあいだを自在に往復するウィーン・フィルの技量はさすがとしか言いようがありません。
 9分7秒からのクライマックスは本当に凄い音楽になっていて、ジュリーニの枠の大きさが完璧に生かされた演奏には圧倒されるばかり。 ギュンター・ヘルマンスの捉えたVPOサウンドが骨太で聴き栄えが良いのも美点です。

交響曲第3番
1990年5月、ウィーン、ムジークフェラインザール
オープニングの緊迫した雰囲気からもジュリーニの好調ぶりが伝わってきます。鋭利な管楽器群、うなるコントラバス、量感豊かなティンパニと、ウィーン・フィルならではのサウンドが実に立派。
 そうしたオケの特質が最もよく表れているのが第2楽章と第3楽章で、多彩な音色で情感豊かに波打つ音楽は素晴らしいとしか言いようがありません。
 終楽章では一転、快速なテンポでダイナミックな音楽を構築しており、骨太なカンタービレの果てに訪れる静かで印象的なコーダも、各パートの克明な響き具合が立体的で、冒頭主題による終焉も美しく決まっています。 第1楽章呈示部反復実行。

交響曲第4番
1989年5月、ウィーン、ムジークフェラインザール
第1楽章冒頭から美しいカンタービレを満喫させる名演。オケがオケだけに全曲に頻出するピツィカートも実にセンスがよく、コントラストをはっきりさせるというよりは、横の流れを重視したジュリーニの解釈を巧みにフォローしているのがポイント。第1楽章コーダにおけるティンパニの迫力技も聴きものです。
 第2楽章はウィーン・フィルならではの濃密な美感が堪能できる見事な演奏で、特に、2分57秒からの美しさはまさにジュリーニ芸術の真骨頂とでも言いたくなる音楽といえ、以下、クライマックスの第2主題再現部(9分10秒から)に至るまで、陶然とするばかりの「美」をたっぷりと味わうことが可能です。
 一転して第3楽章は豪壮な迫力に満ち、強大でしかも立体的という、ウィーン・フィル固有のフォルテの魅力を存分に味わわせてくれるほか、ホルンとティンパニの巧さにも感激。
 第4楽章も凄い音楽。ジュリーニの息長く絶妙なカンタービレ解釈にひたすら感謝したくなる重厚なソノリティをベースに、室内楽的な弱音部が美しく照射された名演。 特に、6分37秒からの再現部の驚くべき迫力とスケール感、腰の据わったヘヴィーな音楽づくりは、変化に富む表情を捉えきって申しぶんがなく、天才としか言いようのないティンパニストのバチさばきと併せて無類の感動を与えてくれます。 

ハイドンの主題による変奏曲
1990年5月、ウィーン、ムジークフェラインザール
全体にかなり遅めのテンポ設定ですが、変奏曲という作品の性格もあって、その遅さがむしろプラスに作用している場面が多いのが特徴。 主題がどのように変形されているのかが、微視的なスタイル&録音状態ということもあって非常に判りやすくなっているのです。
 また、トラック11などに代表される、ウィーン・フィルならではの楽器の音がクローズアップされて面白いのも美点と言えるでしょう。

悲劇的序曲
1989年5月、ウィーン、ムジークフェラインザール
交響曲第4番と同時期に収録されているせいか、緊張感みなぎる音楽づくりは共通で、ときに息苦しいまでの濃密なカンタービレが、ウィーン・フィルの美音を得て緻密に立体的に表現されるさまはまさに圧巻。
 この作品の魅力の大きな部分を形成する対位法的書法への配慮も万全で、細かな音色変化を可能にするオーケストラと、完全主義者ジュリーニならではの共同作業の成果として、後半は特に聴きごたえがあります。

【収録情報】・ブラームス
Disc1
・交響曲第1番ハ短調 Op.68
Disc2
・交響曲第2番ニ長調 Op.73
Disc3
・交響曲第3番へ長調 Op.90
・ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a
Disc4
・交響曲第4番へ長調 Op.98
・悲劇的序曲 Op.81

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)

交響曲第4番 レヴァイン&ウィーン・フィル(限定盤)

HMV レビュー から引用
ウィーン・フィルSHM-CD名盤シリーズ
ウィーン・フィル来日記念盤
初回限定生産 SHM-CD仕様

ブラームス:交響曲第4番/レヴァイン&ウィーン・フィル
レヴァインにとって2度目の録音となったブラームスの交響曲全集はウィーン・フィルとのライヴでした。名実ともに巨匠の道へと歩み始めた彼を象徴する演奏です。交響曲第4番は来日公演曲目。(ユニバーサルミュージック)

【収録情報】
・ブラームス:交響曲第4番ホ短調 作品98
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 指揮:ジェイムズ・レヴァイン

 録音時期:1994年11月
 録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール
 録音方式:デジタル(ライヴ)
 
ブラームス:交響曲第1番、ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集、R.シュトラウス:『ドン・ファン』 ヤンソンス&ウィーン・フィル、ステンメ
 
HMV レビュー から引用
2012年ザルツブルク音楽祭のライヴ!
ヤンソンス&ウィーン・フィル
充実のプログラムで聴かせる白熱の演奏
2012年ザルツブルク音楽祭のライヴ映像。2012年に共演20周年を迎えたマリス・ヤンソンスとウィーン・フィル。ニューイヤー・コンサートに続きザルツブルク音楽祭でも相性抜群のコンビネーションと冴えわたる指揮振りで充実のプログラムを聴かせてくれています。
 スペインの伝説上の人物ドン・ファンを主題としたニコラウス・レーナウの詩に基づいて作曲されたR.シュトラウスの交響詩第1作目『ドン・ファン』。ウィーン・フィルの艶やかな音色としなやか表現力でR.シュトラウスの魅力が凝縮された演奏も特筆すべき点ですが、R.シュトラウスを得意とするヤンソンスの巧みなドラマ作りと、磨き抜かれた響きは、まさにヤンソンスの独壇場ともいえるでしょう。スウェーデン出身現在絶好調のソプラノ、ニーナ・ステンメが歌うワーグナーのヴェーゼンドンク歌曲集。そしてヤンソンスが実演でもよく取り上げ、バイエルン放響やオスロ・フィルとの共演盤でも高い完成度の音楽を披露しているブラームスの交響曲第1番。情緒溢れる旋律を描き出し、ウィーン・フィルの美麗な音色を引き出すヤンソンスの情熱が注ぎ込まれた演奏は、作品に新たな生命力を与えています。(キングインターナショナル)

【収録情報】
・R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』 Op.20
・ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68

 ニーナ・ステンメ(ソプラノ)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 マリス・ヤンソンス(指揮)

 収録時期:2012年8月
 収録場所:ザルツブルク音楽祭(ライヴ)

 収録時間:95分

 

Saturday, October 19, 2013

フルトヴェングラー ブラームス 交響曲 を聴く    

Brahms: Symphonies

http://www.amazon.co.jp/Brahms-Symphonies-J/dp/B000002S69/ref=sr_1_fkmr0_1?s=music&ie=UTF8&qid=1382114703&sr=1-1-fkmr0&keywords=furtwangler+brahms+1947

◆第1番

 1952127日、ウィーン/ムジークフェラインザールでの録音。同番のベルリン・フィルとの演奏にくらべて録音が悪く、音の分離・解像が十分ではないのでフルトヴェングラー・ファン以外の向きには多分に欲求不満がたまるかも知れない。

 しかし、演奏は素晴らしい。また、この時代のフルトヴェングラーのブラームス解釈が、同時代および後世にひとつの「規範」として認識されていたのではないかとの思いを強くする。各楽章の位置づけが明確で、古典的な厳格な形式美を追求しつつ、ロマンティックな楽想をときに自由に展開する縦横さは絶妙である。特に第4楽章はテンポをあげて、前3楽章に対してすっきりと運行するが、意外にもカラヤンの同楽章の演奏はこれと近似していると感じた。

 ブラームス好きには、他盤との聞き比べでときに耳を傾けるとよい名演であると思う。
 
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9-%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA-%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%BC-%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0/dp/B00069BOEG/ref=cm_cr-mr-title
 
◆第2番

 195257日、ミュンヘン・ドイツ博物館でのベルリン・フィルとの演奏。低弦のアンサンブルが見事で、木管のこれに寄り添うような響きも大変美しく、最近の演奏に慣れているとティンパニーが少し強調されすぎているように感じる部分はあるが、全体の統一感はいささかも損なわれていない。

 フルトヴェングラーの演奏では情熱的な強奏に魅力を感じる向きも多いが、この2番を聴いているとその背後にある音楽の堅固な「構築力」により特質を感じる。細部まで神経の行きとどいた「集中力」の持続する演奏でもある。

 録音後、20年以上も一般に公開されなかったものだが、この盤がお目見えして以降、ブラームスの2番では間違いなく名演の一角を占める代表的な1枚である。


◆第3番

 19491218日、ティタニア・パラストでのベルリン・フィルとの演奏。聴き手が受けとるロマンティックな感興とは別に、厳しく統率された演奏である。テンポの緩急が自在だがけっして乱れない。これは指揮者とオーケストラが本当に一体化して、音楽空間で完全に融合しているからこそ可能な技芸であると感じる。弦のピッチが揃い、第3楽章のオーボエやホルンの抒情的な表現も全体のバランスに配意し音の運行には細心の注意が払われている。各パートがお互いによく聴き合って慎重に奏でているからだろう。

 演奏からうける表面的な印象は異なるが、緩楽章、滔々たる実に遅いテンポ、特に弱音部での研ぎ澄まされた感性の表出では、チェリビダッケの演奏との共通点を連想する。ブラームスの音楽はかくあるべし、との自信に満ちた秀演である。

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◆第4番

 19481024日、ティタニア・パラストでの演奏。フルトヴェングラーのブラームスでは、憂愁の深みを表現するうえで、感情移入によるテンポの大胆な緩急などについて多く語られるが、それに加えて、この演奏でのリズムの刻み方の切れ味はどうだろう。

 一般に語られる4番のもつブラームスの「人生の秋、枯淡の味わい」といった抒情的な解釈よりも、古典的な造形美を最後まで貫き、絶対音楽のもつ孤高性こそを生涯、変わることなく主張したブラームスの芯の強い本質にフルトヴェングラーは、鉈を振り下ろすような圧倒的にリズミックな隈取りと時に自信に満ちた強大なダイナミクスをもって応えているように思われる。

 しかもオーケストラは指揮者の意図を明確に理解し、細心の注意と最大限の集中力をもって臨場している。だからこそ、そこから湧きたつ音楽は、少しの曖昧さもなく説得的であり、深い感興をリスナーに与えることができるのだと思う。ドイツ的な名演という意味は、彼らのもつ「絶対音楽」の伝統を誇りをもって示しうるところにこそあるのかも知れないーーそうしたことをこの類い希な名演はわれわれに教えてくれている。
 

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  かつてドイツ滞在中、毎朝、日が昇らずマイナス20度の寒さに街頭にでる経験をしたが、北ドイツの冬は暗くて実に寒い。同じドイツでもバイエルンなどの南の地方は少しく印象がちがうが、北方の生活者には憂鬱症といつも熟考する思慮深さ、そして厳しい環境、困難に負けない強い意志などがない交ぜになっているように感じることがある。よくブラームスを聴きながら通勤したが、これぞ風景と一体の感興があった。

 この4番は、交響曲作曲家として満を持しての決意表明たる1番、比較的温暖で明るい2番をへて、叙情性のもっとも良くでた3番ののち、晩年の集大成としての作品だが、ウイーンでの名声や華やかな生活の影響などどこにも感じられず、原点回帰、ブラームスの心象風景たる北ドイツの冬の寂寥感を強く意識させる。

 フルトヴェングラーの演奏は、その寂寥たる雰囲気を保ちながらも、その一方、上に記したように北方ドイツ人の強靭な意志をより印象づける。大胆なリズミックさとどこまでも底知れず沈降していく深みの感覚、テンポのたくまぬ可変性、フレージングの自由な処理、そして全体から受ける孤独に耐える知性的な闘争心。こういう演奏は他にない。
 

ブラームス:交響曲第1番ハ短調Op.68 他 [モノラル] (Brahms: Symphony No.1 / Furtwangler, VPO (1947))
=furtwangler+brahms+1947

  
 全4楽章を貫く基本線が明確で各楽章の構成力がしっかりとしている。そのうえで、表現ぶりは、ときに激しい気魄を、ときに胸奥に深く迫る豊かな叙情性を強調する。気魄あふれる強奏ではテンポをはやめ、叙情的な弱奏では思い切って緩める。その強弱、緩急の妙に独特の滋味が加わり、フルトヴェングラーならではのスタイルが表出される。本盤ではライヴゆえか、ウィーン・フィルの嫋々たる響きをたたえた木管の独奏パートも前面に出している。
 
Bruno Walter Conducts Brahms (Sony Classical Masters)
 
1959年から61年にかけて、ワルター最晩年のブラームスのステレオ録音が中心の廉価盤。本アルバムについては、かねてから ブラームス交響曲全集 があり、また、旧録音としてニューヨーク・フィルを振った Brahms: The Symphonies などもある。

本集は、80歳を越えたワルターのブラームス解釈の「結語」とでもいうべきもので、さまざまな作為を洗い流したような自然の流れ、ブラームスの北ドイツ的性格の芯の強さとともにある深い孤独への共感があふれている。そして、ときに光放つような特有の輝きを感じさせる。

ワルターの旧盤には屈強な「力技」に驚かされる場面もあるが、一方、本演奏では全体に柔らかさ、まろやかさが支配し、ブラームスの精神の深みに沈降していくような風情がある。どちらも得がたいもので、ワルターの至芸といってよいだろう(小生は、1、3番では旧盤  
ブラームス:交響曲第1番&3番 を、2、4番では本演奏を好む)。なお、交響曲のみならず、古き「ドイツ・レクイエム」も代表的名盤。


 
【収録情報】
・交響曲全集(第1番〜第4番)
・序曲集(ハイドンの主題による変奏曲、大学祝典序曲、悲劇的序曲)
・アルト・ラプソディーOp.53〜ミルド レッド・ミラー(Ms) オクシデンタル・カレッジ・コンサート合唱団
・運命の歌Op.54〜オクシデンタル・カレッジ・コンサート合唱団
・ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲〜ジノ・フランチェスカッティ(Vn) ピエール・フルニエ(Vc)
・ハンガリー舞曲第1, 3, 10, 17番〜ニューヨーク・フィル
・ドイツ・レクイエム〜イルムガルト・ゼーフリート(Sp) ジョージ・ロンドン(Bs) ウェストミンスター合唱団 ニューヨーク・フィルハーモニック

【録音】1959〜1961年/1954年(ドイツ・レクイエム)、記載のないものはコロンビア交響楽団
 
Brahms: From Hamburg
 
往年のファンにとっては、ハンス・シュミット・イッセルシュテットという名前は、一種の畏敬ともにあった。並みいる大家の存在、覇を競う名指揮者群像のなかにあって、ベートーヴェンの主力の交響曲をウィーン・フィルと録音し、これが当時の第1等、ベンチ・マーク盤の評価を勝ち得ていたことの意味は大きい。

 かつてドイツ滞在中、ブラームスのハンブルクにおける存在の重さを実感したことがある。それは郊外でドイツ・レクイエムをホルスト・シュタインの指揮で聴いたときのことだが、真冬の寒い教会で、厚いコートの襟をたてて咳ひとつを抑えようとする緊張したフロアの雰囲気に「異国人」として正直、沈黙の重苦しさには居座りの悪さがあった。場に呑まれただけかもしれないけれど、それくらいご当地のブラームスを大切にする気風並々ならずと感じた次第である。

 ベートーヴェン「運命」「合唱」で希代の名演を生んだプロ・ドイツのイッセルシュテット。彼が創立者として活動した北ドイツ放送交響楽団と残したブラームス交響曲全集他である。4番がとくに名演の声が高いが、ブラームスはその晩年をすごしたウィーンの人間ではなく、本来北ドイツの生んだ巨匠なのだという本場意識濃厚の貴重な記録である。かつ、この価格、聴いて損はない。


◆交響曲
・第1番(録音:1967年6月5日)
・第2番(1967年10月30日、ライヴ)
・第3番(1969年2月4-5日)
・第4番(1973年5月21日、ライヴ)
◆序曲など
・大学祝典序曲(1970年9月2-4日)
・ハイドンの主題による変奏曲(1962年9月24日、モノラル・ライヴ)
・ハンガリー舞曲第1、2、3、5、6、7、10番(1953年、モノラル)
・運命の歌(1971年9月13-14日、ライヴ)

→ ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」&第6番「田園」 も参照
 
ブラームス:交響曲全集
 
ブラームス:交響曲全集
 
 ベイヌム、コンセルトヘボウ管弦楽団によるブラームス交響曲全集。各録音時点は、第1番(1958年10月6,7日)、 第2番(1954年5月17-19日)、 第3番(1956年9月24,25日)、 第4番(1958年5月1-3日)で、1、4番はステレオ収録で単発でも比較的入手しやすいが、2、3番を聴きたければ本集選択がよいだろう。

 一気に4曲を聴く。全体の感想は、「力押し」の部分のない自然体の構え。コンセルトヘボウの音色は、そのブラームス像に柔らかさとほの明るさを点じており、聴きやすく落ち着きのある心地よき響きである。ゆえに、チェリビダッケ 
Conducts Brahms-Sym 1-4 のような情念の渦巻きを感じることもなければ、フルトヴェングラー流「渾身の一撃」のリズミックさ ブラームス:交響曲第4番 など「エッジのきいた」アプローチとは明らかに異なる。全体に自由度をもったオーケストラ操舵を感じさせ、ベーム ブラームス:交響曲第1番 の如き厳しい緊張感、統制力はない。

  感情移入の奥深さこそベイヌムの魅力であり、統制の緩さは、独特のほのぼの感を滲ませ、力押しはなくともコンセルトヘボウの内燃度は高く、各番ともに、ここぞという楽想でのダイナミズムに不足はない。4曲を通しで聴いて、格調あるブラームスの世界に浸れるという意味では、ケンペ 
ブラームス:交響曲全集 とともに佳き全集であり、ベイヌム・ファンにははずせないアイテムだろう。



http://shokkou.blog53.fc2.com/blog-entry-36.html

土曜日, 4月 25, 2015

クレンペラー 復権

Various: Klemperer Live in Con

http://www.amazon.co.jp/Various-Klemperer-Live-Con-Otto/dp/B00QW4R0VU/ref=cm_cr-mr-title


 オットー・クレンペラーはフルトヴェングラー亡きあと、19世紀「最後の巨匠」との異名をとった人物です。特に、私淑したマーラーやブルックナーなどの演奏では独自のスケールの大きさを示すことでいまも根強いファンがいます。そのクレンペラーの音源が続々とリリースされています。現代人に強くアピールするものがあるからでしょう。クレンペラーの復権と言ってもよい雰囲気です。

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 クレンペラーによる1950年代を中心とするモノラルのライヴ音源。オーケストラは、コンセルトヘボウ(C)とケルン放送響(K)が多く、ドイツを中心にかなり広範に分布。
作品は、下記J.S.バッハからファリャまで11名を収録するが、ベートーヴェン『英雄』、ブラームス第2番、ブルックナー第7番、マーラー第4番などの交響曲が主力。
その後のステレオ音源もあるので「旧録」であり、クレンペラーの場合、ライヴにはムラもあるので、その点は要留意ながら、クレンペラーファンならこの価格でライブラリーの充実ができるのは得がたい魅力だろう。

 
<収録情報>
【J.S.バッハ】
・ブランデンブルク協奏曲第5番(ピアノ)アニー・フィッシャー、ハンガリー放送響 1950年頃
・『結婚カンタータ』 BWV.202(ソプラノ)シュヴァルツコップ、C 1957年
【モーツァルト】
・交響曲第29番 バイエルン放送響 1956年4月15日
・交響曲第38番『プラハ』ベルリンRIAS響 1950年12月22日
・交響曲第41番『ジュピター』ケルン・ギュルツェニヒ管 1956年9月9日
・ピアノ協奏曲第27番(ピアノ)クララ・ハスキル、同上
・『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』同上
・ヴァイオリン協奏曲第5番『トルコ風』(ヴァイオリン)ヤン・ブレッセル、C 1951年1月18日
【ベートーヴェン】
・交響曲第3番『英雄』ロイヤル・ストックホルム・フィル 1958年4月17日
・ピアノ協奏曲第4番(ピアノ)レオン・フライシャー、K 1956年2月27日
・『エグモント』序曲 フィルハーモニア管 1960年5月31日
・『ああ、不実なる人よ』 Op.65(ソプラノ)グレ・ブロウェンスティーン、C 1951年4月26日
【シューベルト】
・交響曲第4番『悲劇的』C 1957年2月7日
【ブラームス】
・交響曲第2番 ベルリン放送響 1957年1月21日
・ピアノ協奏曲第2番(ピアノ)ゲザ・アンダ、K 1954年4月5日
・ハイドン主題による変奏曲 C 1957年2月7日
【ブルックナー】
・交響曲第7番 バイエルン放送響 1956年4月12日
【ワーグナー】
・『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲 トリノRAI響 1956年12月17日
【R.シュトラウス】
・交響詩『ドン・ファン』K 1956年2月7日
【ヒンデミット】
・組曲『気高い幻想』K 1954年2月8日
【マーラー】
・交響曲第4番(ソプラノ)エルフリーデ・トレチェル、K 1954年2月11日
・『亡き子をしのぶ歌』(コントラルト)キャスリーン・フェリアー、C 1951年7月12日
【ファリャ】
・『スペインの庭の夜』(ピアノ)ウィレム・アンドリーセン、C 1951年3月29日

(摘要)
C:アムステルダム(ロイヤル)コンセルトヘボウ
K : ケルン放送響

Otto Klemperer: Beethoven, Brahms, Bruckner
http://www.amazon.co.jp/Otto-Klemperer-Beethoven-Brahms-Bruckner/dp/B005DCMVOI/ref=cm_cr_dp_asin_lnk


クレンペラー、ヨーロッパ復帰後、最盛期のモノラル録音集。多くはその後、フィルハーモニーとのステレオ再録があるので<超廉価盤扱い>である。しかし、内容の充実は別だ。本集は、ベートーヴェン、ブルックナー、ブラームスの主要作品についての195460年の録音で、ライヴが多く楽しめる。この時期のクレンペラーは晩年の遅いテンポ設定ではなく、音楽の構えが大きく、全般に快速で切れ味のよいシャープ&クリアな解釈に特色がある。ケルン放送交響楽団はこの巨匠によく追随しており乱れが少ないプロ好みの楽団である。

 ブルックナーの3曲入手が目的で購入したが、内燃的で感情のべとつかないベートーヴェンもすっきりと均整がとれていて実に見事な演奏。録音もクリアで聴きやすい。一切の解説書なしのぶっきらぼうな10枚の簡素なボックスセットも、ある意味、クレンペラーらしくて良いのでは・・・。

(収録情報)
◆CD1:ブラームス:交響曲第1番(1955年、ライヴ)、同交響曲第3番(※1、1959年)
◆CD2:ブルックナー:交響曲第4番(1954年、ライヴ)
  → オットー・クレンペラー
◆CD3:ブルックナー:交響曲第7番(※2、1958年、ライヴ)
◆CD4:ブルックナー:交響曲第8番(1957年、ライヴ)
 → ブルックナー8
◆CD5:ベートーヴェン:交響曲第1番(※1、1960年、ライヴ)、同第3番『英雄』(1954年、ライヴ)
◆CD6:ベートーヴェン:交響曲第2番(※1、1960年、ライヴ)、同第7番(※1、1955年)
◆CD7:ベートーヴェン:交響曲第4番(1954年、ライヴ)、同第8番(※1、1960年、ライヴ)、同:劇音楽『エグモント』より、序曲、太鼓は響く、喜びでいっぱい、クレールヒェンの死、(ソプラノ)ビルギット・ニルソン、(※1、1957年)
◆CD8:ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』(※1、1955年)、同交響曲第6番『田園』(※1、1960年、ライヴ)
◆CD9:ベートーヴェン:交響曲第9番『合唱』、マリア・シュターダー(ソプラノ)、グレース・ホフマン(アルト)、ヴァルデマール・クメント(テノール)、 ハンス・ホッター(バス・バリトン)、ケルン放送合唱団、北ドイツ放送合唱団
(1958年、ライヴ)
◆CD10:ブラームス:ピアノ協奏曲第2番、ゲザ・アンダ(ピアノ)(1954年、ライヴ)、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番、レオン・フライシャー(ピアノ)(1956年、ライヴ)

以上のオケは記載がないものは、ケルン放送交響楽団
※1:フィルハーモニア管弦楽団、※2:ウィーン交響楽団



Beethoven & Brahms: Complete Symphonies
http://www.amazon.co.jp/Beethoven-Brahms-Symphonies-Ludwig-Van/dp/B00GOI30TU/ref=cm_cr_dp_asin_lnk


注文してから2ヶ月近くたってやっと到着。しかし待っただけのことはある。クレンペラーのベートーヴェンについては、すでに同じMembranレーベルからでている Otto Klemperer: Beethoven, Brahms, Bruckner で1950年代のケルン放送響、フィルハーモニア管との録音(一部は今回セットと重複)を聴いているが、本集の1960529日〜67日にかけて、ウィーン、ムジークフェラインザールで一気呵成になされたライヴは、気力充実、実に見事な成果である。音楽の構えが大きく、全般に快速で切れ味のよいシャープ&クリアな解釈。加えて、短期に集中してなされた全曲チクルスに賭けるクレンペラーの強い意気込みのようなものも感じる。まとめて聴いて価値ある音源である。
 
(収録情報)
◆ベートーヴェン:
1960年5月29日:第2番、第3番『英雄』
1960年5月31日:『エグモント』序曲、第4番、第5番『運命』
1960年6月2日:バレエ音楽『プロメテウスの創造物』序曲、第6番『田園』、第7番
1960年6月4日:序曲『コリオラン』、第8番
1960年6月7日:第1番、第9番『合唱』
ヴィルマ・リップ(ソプラノ)
 ウルズラ・ベーゼ(アルト)
 フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール)
 フランツ・クラス(バス)
 ウィーン楽友協会合唱団
 フィルハーモニア管弦楽団
 オットー・クレンペラー(指揮)

 録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール
 録音方式:モノラル(ライヴ)

オットー・クレンペラー
 
 
只ならぬ異様な空気漂うライヴである。冒頭からいつ破裂するかもしれない爆弾をかかえながら時間がビリビリと軋んで経過していく感じ。弛緩しない緊張感のままやっと第1楽章が終わる。しかし第2楽章に入っても「戦闘状況」は解除されずに、静かな行軍は粛々と進む。途中で管楽器が進軍ラッパのように激しく咆哮し、木管もあたかもまわりの様子を窺う斥候兵のような神経質な展開である。さらに、第3楽章冒頭は勝利を予告するファンファーレのように奏され、リズムが厳しく刻まれ、管楽器の雄叫びは連射砲のように撃たれる。木管楽器の田舎風のレントラーですら行軍の小休止にすぎない。終楽章、やおら行軍のスピードが上がり、全軍は総攻撃の準備に入る。明るく曙光が差して勝利の予感ののち、その緩急の過程が幾度も繰り返され、その都度一層激しいブレスが響きわたり強奏をもって終結するーー下手な比喩で恐縮だがそんな演奏。これぞクレンペラーの真骨頂とでもいうべき雄雄しき「ロマンティック」である。
<収録情報>
◆ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』(ノヴァーク第2稿)
 ケルン放送交響楽団
 オットー・クレンペラー(指揮)

 録音時期:1954年4月5日(モノラル)
 録音場所:ケルン、WDRフンクハウス、第1ホール(ライヴ)
 
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