土曜日, 4月 25, 2015

クレンペラー 復権

Various: Klemperer Live in Con

http://www.amazon.co.jp/Various-Klemperer-Live-Con-Otto/dp/B00QW4R0VU/ref=cm_cr-mr-title


 オットー・クレンペラーはフルトヴェングラー亡きあと、19世紀「最後の巨匠」との異名をとった人物です。特に、私淑したマーラーやブルックナーなどの演奏では独自のスケールの大きさを示すことでいまも根強いファンがいます。そのクレンペラーの音源が続々とリリースされています。現代人に強くアピールするものがあるからでしょう。クレンペラーの復権と言ってもよい雰囲気です。

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 クレンペラーによる1950年代を中心とするモノラルのライヴ音源。オーケストラは、コンセルトヘボウ(C)とケルン放送響(K)が多く、ドイツを中心にかなり広範に分布。
作品は、下記J.S.バッハからファリャまで11名を収録するが、ベートーヴェン『英雄』、ブラームス第2番、ブルックナー第7番、マーラー第4番などの交響曲が主力。
その後のステレオ音源もあるので「旧録」であり、クレンペラーの場合、ライヴにはムラもあるので、その点は要留意ながら、クレンペラーファンならこの価格でライブラリーの充実ができるのは得がたい魅力だろう。

 
<収録情報>
【J.S.バッハ】
・ブランデンブルク協奏曲第5番(ピアノ)アニー・フィッシャー、ハンガリー放送響 1950年頃
・『結婚カンタータ』 BWV.202(ソプラノ)シュヴァルツコップ、C 1957年
【モーツァルト】
・交響曲第29番 バイエルン放送響 1956年4月15日
・交響曲第38番『プラハ』ベルリンRIAS響 1950年12月22日
・交響曲第41番『ジュピター』ケルン・ギュルツェニヒ管 1956年9月9日
・ピアノ協奏曲第27番(ピアノ)クララ・ハスキル、同上
・『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』同上
・ヴァイオリン協奏曲第5番『トルコ風』(ヴァイオリン)ヤン・ブレッセル、C 1951年1月18日
【ベートーヴェン】
・交響曲第3番『英雄』ロイヤル・ストックホルム・フィル 1958年4月17日
・ピアノ協奏曲第4番(ピアノ)レオン・フライシャー、K 1956年2月27日
・『エグモント』序曲 フィルハーモニア管 1960年5月31日
・『ああ、不実なる人よ』 Op.65(ソプラノ)グレ・ブロウェンスティーン、C 1951年4月26日
【シューベルト】
・交響曲第4番『悲劇的』C 1957年2月7日
【ブラームス】
・交響曲第2番 ベルリン放送響 1957年1月21日
・ピアノ協奏曲第2番(ピアノ)ゲザ・アンダ、K 1954年4月5日
・ハイドン主題による変奏曲 C 1957年2月7日
【ブルックナー】
・交響曲第7番 バイエルン放送響 1956年4月12日
【ワーグナー】
・『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲 トリノRAI響 1956年12月17日
【R.シュトラウス】
・交響詩『ドン・ファン』K 1956年2月7日
【ヒンデミット】
・組曲『気高い幻想』K 1954年2月8日
【マーラー】
・交響曲第4番(ソプラノ)エルフリーデ・トレチェル、K 1954年2月11日
・『亡き子をしのぶ歌』(コントラルト)キャスリーン・フェリアー、C 1951年7月12日
【ファリャ】
・『スペインの庭の夜』(ピアノ)ウィレム・アンドリーセン、C 1951年3月29日

(摘要)
C:アムステルダム(ロイヤル)コンセルトヘボウ
K : ケルン放送響

Otto Klemperer: Beethoven, Brahms, Bruckner
http://www.amazon.co.jp/Otto-Klemperer-Beethoven-Brahms-Bruckner/dp/B005DCMVOI/ref=cm_cr_dp_asin_lnk


クレンペラー、ヨーロッパ復帰後、最盛期のモノラル録音集。多くはその後、フィルハーモニーとのステレオ再録があるので<超廉価盤扱い>である。しかし、内容の充実は別だ。本集は、ベートーヴェン、ブルックナー、ブラームスの主要作品についての195460年の録音で、ライヴが多く楽しめる。この時期のクレンペラーは晩年の遅いテンポ設定ではなく、音楽の構えが大きく、全般に快速で切れ味のよいシャープ&クリアな解釈に特色がある。ケルン放送交響楽団はこの巨匠によく追随しており乱れが少ないプロ好みの楽団である。

 ブルックナーの3曲入手が目的で購入したが、内燃的で感情のべとつかないベートーヴェンもすっきりと均整がとれていて実に見事な演奏。録音もクリアで聴きやすい。一切の解説書なしのぶっきらぼうな10枚の簡素なボックスセットも、ある意味、クレンペラーらしくて良いのでは・・・。

(収録情報)
◆CD1:ブラームス:交響曲第1番(1955年、ライヴ)、同交響曲第3番(※1、1959年)
◆CD2:ブルックナー:交響曲第4番(1954年、ライヴ)
  → オットー・クレンペラー
◆CD3:ブルックナー:交響曲第7番(※2、1958年、ライヴ)
◆CD4:ブルックナー:交響曲第8番(1957年、ライヴ)
 → ブルックナー8
◆CD5:ベートーヴェン:交響曲第1番(※1、1960年、ライヴ)、同第3番『英雄』(1954年、ライヴ)
◆CD6:ベートーヴェン:交響曲第2番(※1、1960年、ライヴ)、同第7番(※1、1955年)
◆CD7:ベートーヴェン:交響曲第4番(1954年、ライヴ)、同第8番(※1、1960年、ライヴ)、同:劇音楽『エグモント』より、序曲、太鼓は響く、喜びでいっぱい、クレールヒェンの死、(ソプラノ)ビルギット・ニルソン、(※1、1957年)
◆CD8:ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』(※1、1955年)、同交響曲第6番『田園』(※1、1960年、ライヴ)
◆CD9:ベートーヴェン:交響曲第9番『合唱』、マリア・シュターダー(ソプラノ)、グレース・ホフマン(アルト)、ヴァルデマール・クメント(テノール)、 ハンス・ホッター(バス・バリトン)、ケルン放送合唱団、北ドイツ放送合唱団
(1958年、ライヴ)
◆CD10:ブラームス:ピアノ協奏曲第2番、ゲザ・アンダ(ピアノ)(1954年、ライヴ)、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番、レオン・フライシャー(ピアノ)(1956年、ライヴ)

以上のオケは記載がないものは、ケルン放送交響楽団
※1:フィルハーモニア管弦楽団、※2:ウィーン交響楽団



Beethoven & Brahms: Complete Symphonies
http://www.amazon.co.jp/Beethoven-Brahms-Symphonies-Ludwig-Van/dp/B00GOI30TU/ref=cm_cr_dp_asin_lnk


注文してから2ヶ月近くたってやっと到着。しかし待っただけのことはある。クレンペラーのベートーヴェンについては、すでに同じMembranレーベルからでている Otto Klemperer: Beethoven, Brahms, Bruckner で1950年代のケルン放送響、フィルハーモニア管との録音(一部は今回セットと重複)を聴いているが、本集の1960529日〜67日にかけて、ウィーン、ムジークフェラインザールで一気呵成になされたライヴは、気力充実、実に見事な成果である。音楽の構えが大きく、全般に快速で切れ味のよいシャープ&クリアな解釈。加えて、短期に集中してなされた全曲チクルスに賭けるクレンペラーの強い意気込みのようなものも感じる。まとめて聴いて価値ある音源である。
 
(収録情報)
◆ベートーヴェン:
1960年5月29日:第2番、第3番『英雄』
1960年5月31日:『エグモント』序曲、第4番、第5番『運命』
1960年6月2日:バレエ音楽『プロメテウスの創造物』序曲、第6番『田園』、第7番
1960年6月4日:序曲『コリオラン』、第8番
1960年6月7日:第1番、第9番『合唱』
ヴィルマ・リップ(ソプラノ)
 ウルズラ・ベーゼ(アルト)
 フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール)
 フランツ・クラス(バス)
 ウィーン楽友協会合唱団
 フィルハーモニア管弦楽団
 オットー・クレンペラー(指揮)

 録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール
 録音方式:モノラル(ライヴ)

オットー・クレンペラー
 
 
只ならぬ異様な空気漂うライヴである。冒頭からいつ破裂するかもしれない爆弾をかかえながら時間がビリビリと軋んで経過していく感じ。弛緩しない緊張感のままやっと第1楽章が終わる。しかし第2楽章に入っても「戦闘状況」は解除されずに、静かな行軍は粛々と進む。途中で管楽器が進軍ラッパのように激しく咆哮し、木管もあたかもまわりの様子を窺う斥候兵のような神経質な展開である。さらに、第3楽章冒頭は勝利を予告するファンファーレのように奏され、リズムが厳しく刻まれ、管楽器の雄叫びは連射砲のように撃たれる。木管楽器の田舎風のレントラーですら行軍の小休止にすぎない。終楽章、やおら行軍のスピードが上がり、全軍は総攻撃の準備に入る。明るく曙光が差して勝利の予感ののち、その緩急の過程が幾度も繰り返され、その都度一層激しいブレスが響きわたり強奏をもって終結するーー下手な比喩で恐縮だがそんな演奏。これぞクレンペラーの真骨頂とでもいうべき雄雄しき「ロマンティック」である。
<収録情報>
◆ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』(ノヴァーク第2稿)
 ケルン放送交響楽団
 オットー・クレンペラー(指揮)

 録音時期:1954年4月5日(モノラル)
 録音場所:ケルン、WDRフンクハウス、第1ホール(ライヴ)
 
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