1970年大阪でEXPO70が開催された。カラヤン/ベルリン・フィルのベートーヴェン交響曲全曲演奏が、昔のフィステバルホールで催されたが、東京では別演目で、まさに当年最高の話題であった。父と大垣行きの夜行で行った。
4番と7番を聴いた。カラヤンをはじめてこの目で見ることのできることが信じられず極度の緊張と興奮をしいられた。観客を徹底的に意識して指揮台に立つというのが、どうも胡散臭さをもって受け止める風潮もあったが、カラヤンには、そんな邪険な見方を吹き飛ばすくらいの威厳と集中力があった。
アンコールは一切なし、との事前の見通しどおりであった。7番終了後、もうエネルギーは出し尽くしたとばかりに、足を引き摺るようにゆっくりと舞台を去るカラヤンの姿には千両役者の風格があった。後年、いくどかカラヤンのライヴに接してから、あれは演技だったかなと思ったが、当日のカラヤンの華麗で強烈な運動量の指揮ぶり(それが聴衆を金縛りにした)からは、子供心にはスーパースターへの感謝の二文字しかなかった。いささか気恥ずかしい思い出ではある。
以下の記事、入念な取材で参考になる。
→ http://www.asahi.com/articles/DA3S11691741.html
以下の記事、入念な取材で参考になる。
→ http://www.asahi.com/articles/DA3S11691741.html
http://www.amazon.co.jp/Karajan-Symphony-Herbert-von/dp/B001DCQIAU/ref=sr_1_3?s=music&ie=UTF8&qid=1427899674&sr=1-3&keywords=karajan
全体のラインナップは8人の作曲家による59曲の交響曲(ほかに序曲なども収録)を38枚のCDに収めた超×超廉価盤である。
その内訳は、ベートーヴェン9曲(6枚組:1975-77年録音)、ブラームス4曲(3枚組:1977,78年録音)、ブルックナー9曲(9枚組:1975-81年録音)、ハイドン18曲<パリ・セット6曲、ロンドン・セット12曲>(7枚組:1980-82年録音)、メンデルスゾーン5曲(3枚組:1971,72年録音)、モーツァルト10曲<29,32,33番、35〜41番:1965,75-77年録音>(3枚組)、シューマン4曲(3枚:1971,87年録音)、チャイコフスキー6曲(4枚:1975-79年)となっている。
価格の信じられない安さに加えて、カラヤンの「バラ売り」では現状入手できない曲(初期のブルックナーやチャイコフスキーなど。そうした一般にはマイナーなものでも一切の妥協のない質の高さを誇る。ブルックナー Karajan Bruckner: 9 Symphonies はヨッフム盤とともに、チャイコフスキーTchaikovsky: The Symphoniesはムラヴィンスキー盤とともにいまもベストの全集と言ってよい)も所収されており、その点でもコレクション上、誠に有意である。
ほとんどをLP、テープ、CDで聴いてきた身からすれば、腹立たしさすら感じる強烈な<価格破壊>だが、カラヤン生誕100周年記念のドイツ・グラモフォンのファン・サービスと考えようか。カラヤン嫌いの向きは別として、1970年代を中心とする最盛期の集大成であり、その均質性、完成度から各作曲家別に通番で聴く選択としては、いまも最優秀。
http://www.amazon.co.jp/Monumental-Karajan-Herbert-Von/dp/B00A3JP28S/ref=sr_1_5?s=music&ie=UTF8&qid=1427899674&sr=1-5&keywords=karajan
廉価盤でありながら内容は充実している。概ね【CD1】ではドイツ系、【CD2】では民族系、【CD3】ではアラカルト、小品集といった3枚組ラインナップだが、カラヤン/ベルリン・フィルの1970年代録音を中心に構成されている。
フランス販売のカラヤン選集ならではか、選曲に妙味。【CD1】ではベートーヴェンは入っていない、その一方【CD2】では「悲愴」を収録、交響曲ではダイナミズムよりも緩除楽章でのメロディの美々しさや卓抜な緩急のコントロールを主に聴く選曲。【CD3】の終結ではフランスものを取り上げており、フランス国内での好みを反映しているかも。全般に構成は小粋で優れものの選集といえよう。
<収録情報(括弧内録音時点)>
【CD1】
・モーツァルト:交響曲第40番(1970年9月)
・シューベルト:交響曲第8番ロ『未完成』(1975年1月)
・ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲(1976年)
・ワーグナー:『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲(1974年)
【CD2】
・チャイコフスキー:交響曲第6番『悲愴』(1971年9月)
・ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第8番(1979年1月)
・シベリウス:トゥオネラの白鳥、フィンランディア(1976年9月)
・スメタナ:モルダウ(1977年1月)
【CD3】
・メンデルスゾーン:序曲『フィンガルの洞窟』(1960年9月)
・ヨハン・シュトラウス2世:『こうもり』序曲、アンネン・ポルカ、美しく青きドナウ、トリッチ・トラッチ・ポルカ、皇帝円舞曲(1975年)
・プッチーニ:『マノン・レスコー』第3幕間奏曲(1980年11月)
・ベルリオーズ:『ファウストの劫罰』〜ラコッツィ行進曲(1978年12月)
・シャブリエ:狂詩曲『スペイン』(1979年1月)
・ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲(1977年1月)
http://www.amazon.co.jp/Karajan-Herbert-Von/dp/B0033HKETE/ref=sr_1_8?s=music&ie=UTF8&qid=1427899674&sr=1-8&keywords=karajan
カラヤンの1950年代前半を中心とする10枚のモノラル録音集。このシリーズではクレンペラーのセットを購入して大いに満足。溌剌とし、スピード感あふれるこの時代の斬新なカラヤンの演奏は魅力。すでに全体の半分以上は持っているが、熟慮のうえ本集も購入することにした。下記ラインナップのうち、コンチェルト・ファンなら妙味あるグールドの3番ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番&シベリウス:交響曲第5番ほかデニス・ブレインのホルン協奏曲集Horn Concertos Nos 1-4 / Quintet K452だけで十分に元がとれる。オペラ・ファンなら「モーツァルト:歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」(シュワルツコップ/カラヤン)」に食指が動こう。
<収録情報>(録音時点)
【CD1】
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番(1957年)グレン・グールド(ピアノ)、ベルリン・フィル
・バルトーク:ピアノ協奏曲第3番(1954年)ゲザ・アンダ(ピアノ)、R
【CD2】
・モーツァルト:クラリネット協奏曲(1955年)バーナード・ウォルトン(クラリネット)、P
・モーツァルト:ホルン協奏曲第1番、第4番(1953年)デニス・ブレイン(ホルン)、P
【CD3】
・モーツァルト:ホルン協奏曲第2番、第3番(1953年)同上
・ブラームス:ピアノ協奏曲第2番(1954年)ゲザ・アンダ(ピアノ)、R
【CD4】
・ベートーヴェン:交響曲第9番『合唱』(1954年)
テレサ・シュティッヒ=ランダル(ソプラノ)、ヒルデ・レッセル=マイダン(メゾ・ソプラノ)、ヴァルデマール・クメント(テノール)、ゴットロープ・フリック(バス) R&合唱団
【CD5】
・ベートーヴェン:交響曲第6番『田園』(1953年)P
・シベリウス:交響曲第4番(1953年)P
【CD6】
・J.シュトラウス:喜歌劇『こうもり』序曲(1955年)P
・R.シュトラウス:歌劇『ナクソス島のアリアドネ』〜プロローグ(1954年)P
・ビゼー:カルメン組曲(1954年)ウィーン交響楽団
・ワーグナー:『ニュルンベルクのマイスタージンガー』〜第1幕への前奏曲、第3幕への前奏曲(1951年) バイロイト祝祭管弦楽団
・モーツァルト:歌劇『魔笛』序曲、僧侶の行進(録音時期:1953年)P
・フンパーディンク:歌劇『ヘンゼルとグレーテル』前奏曲集(1953年)P
【CD7】
・ブルックナー:交響曲第8番(第2楽章〜第4楽章)(1944年)プロイセン国立歌劇場管弦楽団
【CD8-CD10】
・モーツァルト:歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』全曲(録音時期:1954年)
エリーザベト・シュヴァルツコップ(フィオルディリージ)、ナン・メリマン(ドラベッラ)、レオポルド・シモノー(フェルランド)、ロランド・パネライ(グリエルモ)、セスト・ブルスカンティーニ(ドン・アルフォンソ)、リザ・オットー(デスピーナ)P&合唱団
(注)P:フィルハーモニア管弦楽団、R: RAIローマ交響楽団
http://www.amazon.co.jp/Legendary-Decca-Recordings-Herbert-Karajan/dp/B00114LF4E/ref=sr_1_14?s=music&ie=UTF8&qid=1427899674&sr=1-14&keywords=karajan
晩年、カラヤンはベルリン・フィルと決別して、ウィーン・フィルに回帰した。しかし、そこには残念ながら、往時のカラヤンらしい抜群の切れはない。しかし、この壮年期の選集は別である。驚くべきほど充実し、その音楽の<純度>、爽快な<迫力>には得難い魅力がある。
帝王カラヤンのもっとも充実した時期の記録であり、ウィーン・フィルは、このカリスマとの邂逅に、持てる力を出し切っている。ベルリン・フィルの隙のない完璧な演奏スタイルとは異なり、ウィーン・フィルらしい流麗さ、時に統制を緩めたようなパッショネイトな表情もあり、いずれも生き生きと息づく音楽である。どれも甲乙つけがたい出来だが、特に『惑星』、『ジゼル』そして、もっとも録音の早い『ツァラトゥストラはかく語りき』の斬新な解釈には現代のリスナーにも新鮮な驚きがあるだろう。廉価盤の多いカラヤンのなかではいささか値が張るがその価値は十分。推奨したい。
<ライン・ナップ(録音年)>
CD 1
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68 (1960年)
・ハイドン:交響曲第103番変ホ長調『太鼓連打』 (1963年)
CD 2
・ハイドン:交響曲第104番ニ長調『ロンドン』 (1960年)
・ブラームス:悲劇的序曲作品81 (1962年)
・ブラームス:交響曲第3番ヘ長調作品90 (1962年)
→ ベートーヴェン:交響曲第7番/ブラームス:交響曲第3番
CD 3
・モーツァルト:交響曲第40番ト短調K550 (1960年)
・モーツァルト:交響曲第41番ハ長調K551『ジュピター』 (1963年)
→ モーツァルト:交響曲第40番&第41番「ジュピター」
・チャイコフスキー:幻想序曲『ロミオとジュリエット』 (1961年)
CD 4
・ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調作品92 (1960年)
・ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調作品88 (1965年)
CD 5
・チャイコフスキー:『白鳥の湖』組曲(1965年)
・チャイコフスキー:『胡桃割り人形』組曲 (1962年)
・チャイコフスキー:『眠れる森の美女』組曲 (1965年)
→ チャイコフスキー:3大バレエ
CD 6
・アダン:『ジゼル』 (1962年)
CD 7
・グリーグ:『ペール・ギュント』作品23より (1962年)
→ グリーグ:ペール・ギュント、他
・ホルスト:組曲『惑星』作品32 (1962年)
→ ホルスト:組曲「惑星」
CD 8
・J.シュトラウス2世:喜歌劇『こうもり』序曲
・J.シュトラウス2世:喜歌劇『こうもり』よりバレエ音楽
・J.シュトラウス2世:『アンネン・ポルカ』作品117
・J.シュトラウス2世:喜歌劇『ジプシー男爵』より序曲
・J.シュトラウス2世:『狩にて』作品373
・J.シュトラウス2世:『ウィーンの森の物語』作品325
・ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ『うわごと』作品212 (以上1960年)
・R.シュトラウス:『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯』作品28 (1961年)
・R.シュトラウス:『サロメ』より7つのヴェールの踊り(1961年)
→ ヨハン・シュトラウス・コンサート
CD 9
・R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』作品20 (1961年)
・R.シュトラウス:交響詩『死と変容』作品24 (1961年)
・R.シュトラウス:交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』作品30 (1959年)
→ Strauss: Also sprach Zarathustra, etc / Herbert von Karajan, Vienna Philharmonic Orchestra
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン 録音:1959-1964年、ウィーン(ステレオ)
http://www.amazon.co.jp/Karajan-Official-Remastered-Philharmonic-Recordings/dp/B00HYFKJZA/ref=sr_1_18?s=music&ie=UTF8&qid=1427899674&sr=1-18&keywords=karajan
カラヤン/ウィーン・フィルの絶頂期のBOXとしては Legendary Decca Recordings がある。本集はそれにかなり遡る1940年代(1946-1949年)のウィーン・フィルとの作品集だが、ベートーヴェンの5番、9番が所収されていることが特徴的である。初期〜中期の覇気あるカラヤンの演奏を好む向きには食指が動こう。
<収録情報>
【モーツァルト】
・交響曲第33番、同第39番
・クラリネット協奏曲イ長調K.622:レオポルト・ウラッハ(クラリネット)
・『フィガロの結婚』序曲、『ドン・ジョヴァンニ』より、『フィガロの結婚』より、『魔笛』より、『後宮からの誘拐』より:エーリヒ・クンツ(テノール)、イルムガルト・ゼーフリート(ソプラノ)
・アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク、・ディヴェルティメント K.334〜アダージョ、アダージョとフーガ K.546、そりすべりの音楽K.605-3、6つのドイツ舞曲集〜第3番 K.600-3、フリーメイソンの葬送音楽 K.477
【ベートーヴェン】
・交響曲第5番ハ短調 Op.67『運命』 Symphony 5/Adagio
・交響曲第8番ヘ長調 Op.93
・交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』:エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)、 エリーザベト・ヘンゲン(アルト)、ユリウス・パツァーク(テノール)、ハンス・ホッター(バス)、ウィーン楽友協会合唱団 Herbert von Karajan - Beethoven: Symphony No. 9
【シューベルト】
・交響曲第9番ハ長調 D.944『グレート』
【ブラームス】
交響曲第2番ニ長調 Op.73
【ワーグナー】
・『ニュルンベルクのマイスタージンガー』より、『さまよえるオランダ人』より、『タンホイザー』より:ハンス・ホッター(バス)、ゲルトルート・シュースター(アルト)、ヒルデ・コネツニ(ソプラノ)、イルムガルト・ゼーフリート(ソプラノ)、エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)、リューバ・ヴェリッチュ(ソプラノ)、ウィーン国立歌劇場合唱団
【J.シュトラウス'U世 & ヨーゼフ・シュトラウス】
・『こうもり』序曲、『美しく青きドナウ』、『皇帝円舞曲』、『常動曲』、『芸術家の生涯』、『酒、女、歌』、『雷鳴と電光』、『ジプシー男爵』序曲、『ウィーン気質』、『浮気心』、『ピツィカート・ポルカ』、『トリッチ=トラッチ・ポルカ』、『ウィーンの森の物語』
・喜歌劇『ジプシー男爵』より:マリア・チェボターリ(ソプラノ)
・『天体の音楽』、『トランスアクツィオン』、『うわごと』
【R.シュトラウス】
・メタモルフォーゼン
・歌劇『ナクソス島のアリアドネ』より:マリア・チェボターリ(ソプラノ)
・歌劇『ばらの騎士』より、『サロメ』より
【チャイコフスキー】
・交響曲第6番ロ短調 Op.74『悲愴』
:幻想序曲『ロメオとジュリエット』
【その他】
・レズニチェク:『ドンナ・ディアナ』序曲
・スメタナ:歌劇『売られた花嫁』より:ヒルデ・コネツニ(ソプラノ)
・シャブリエ:狂詩曲『スペイン』
・マスカーニ:『カヴァレリア・ルスティカーナ』〜間奏曲
・プッチーニ:『マノン・レスコー』〜間奏曲、『ボエーム』より、『ジャンニ・スキッキ』より
(以上)エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)、リューバ・ヴェリッチュ(ソプラノ)
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