では、いまもヨーロッパ三大オケの一角、コンセルトヘボウはどうでしょうか。
当時アムステルダム・コンセルトヘボウ(いまはロイヤルに冠がかわっていま
す)でブルックナーを積極的に取り上げていたのがベイヌムです。
ベイヌムが築いた伝統は、その後、ヨッフム、ハイティンク、シャイーらに
引き継がれていくわけですから、その功績は大なるものがあります。
Bruckner: Symphonies Nos. 5 7 8 9
エドゥアルト・ファン・ベイヌム (Eduard van Beinum, 1901〜59年)は、オランダのアルンヘムに生まれました。地元アムステルダム音楽院を卒業し1931年、弱冠30歳で名門アムステルダム(現ロイヤル)・コンセルトヘボウの第二指揮者に任命されました。そのデビューでベイヌムは≪ブルックナー第8番≫を取り上げました。
コンセルトヘボウをスターダムに乗せた名匠メンゲルベルクはブルックナーをあまり好まなかったようですが、後任となったベイヌムは1945年首席指揮者就任以来、ブルックナーを得意とし、≪5,7,8,9番≫とその遺産を後生に残してくれました。メンゲンベルクの後をついだ時に45歳。57歳で心臓病のため急逝したのが惜しまれます。
ベイヌムのあと、ヨッフム、ハイティンク、シャイーとコンセルトヘボウはブルックナーを積極的に取り上げ、それを確固たる「ブランド」化していきますが、ベイヌムはその路線をはじめに拓いた功労者です。
ベイヌムは、ビオラ奏者から指揮者に転進したからでしょうか、ふくよかな弦の響かせ方が実に巧みで、それを基調に、木管は弦楽に溶け込ませるように用い、その一方、金管はクライマックスを除き、やや抑制気味に被せていきます。全体に共通し端正な演奏スタイルが持ち味です。以下は各番毎のワンポイントの寸評です(4番もありますが録音不良でここでは取り上げていません)。
◆5番:1959年3月12日 オランダ放送のライヴ録音→ ブルックナー:交響曲第5番
ベイヌム最後の録音です。アムステルダム(現ロイヤル)・コンセルトヘボウの響きは幾分くすんだ美しさで、レガートをとても大切にしている印象です。ライヴ録音特有のノイズは多少ありますが、実に溌剌とした演奏が伝わってきます。
◆7番:1953年 アムステルダム→ ブルックナー:交響曲第7番
ベイヌムは、全く奇をてらうことなく弦楽・木管・金管の均衡をとりながら、じっくりと構えてブルックナーの音楽の美しさを伝えてくれます。テンポコントロールも安定しており、聴きやすく集中力にあふれた演奏です。
◆8番:1955年6月6‐9日 アムステルダム→ ブルックナー:交響曲第8番
この曲でデビュー以来、ほぼ四半世紀ののちの録音です。全曲の時間が長いゆえ、聴衆を飽きさせないように、ともすればアクセントの強い8番の演奏が多いなか、ブルックナーの音楽のもつ豊かさを自然に引きだしているところが好ましく思います。
◆9番:1956年9月 アムステルダム→ ブルックナー:交響曲第9番
ベイヌムの晩年に近い演奏ですが、いつもながらの端正さのなか、遅いテンポの終楽章に内在する凝縮力は大変なものです。特に、ブルックナーファンにとっては、素直に楽曲を鑑賞できる価値ある1枚だと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーー
以下 2006/5/5 ~
ブルックナー:交響曲第0番
ブルックナー:交響曲第1番&第2番
ブルックナー:交響曲第2番
ブルックナー:交響曲第3番
ブルックナー:交響曲第4番
ブルックナー:交響曲第4番(紙ジャケット仕様)
ブルックナー:交響曲第4番
ブルックナー:交響曲第4番
ブルックナー:交響曲第4番
ブルックナー:交響曲第5番
Bruckner: Symphony No.5
ブルックナー:交響曲第5番
ブルックナー : 交響曲第5番 (ハース版)
ブルックナー:交響曲第5番
ブルックナー:交響曲第6番
ブルックナー:交響曲第6番
ブルックナー:交響曲第6番
Sym 6/Wesendonck-Lieder
ブルックナー:交響曲第7番
ブルックナー:交響曲第7番
ブルックナー:交響曲第7番
ブルックナー:交響曲第7番
ブルックナー:交響曲第7番
ブルックナー:交響曲第8番
ブルックナー:交響曲第8番
ブルックナー:交響曲第8番
ブルックナー:交響曲第9番
Bruckner;Sym.No.9 in Dm
ブルックナー:交響曲第9番
ブルックナー:交響曲第9番
ブルックナー: テ・デウム / 交響曲 第9番(原典版)
ブルックナー:ミサ曲第1番
0 件のコメント:
コメントを投稿