土曜日, 5月 20, 2023

バッハ:リトル・バッハ・ブック  グールド(グレン)










5つ星のうち5.0

全体は2部にわかれ、あたかも<双頭の鷲>のように配置されている。第1部(第1〜11曲)はもっとも有名なゴルドベルク変奏曲アリアからはじまり、小プレリュードをへて2声のインヴェンション4曲、いくつかの著名な小曲ののちフランス組曲(第5番)のガヴォット,ブーレ&ジーグでおわる。

第2部(第12〜21曲)も「劈頭」にふさわしい平均律クラヴィーア曲集第1巻第1番からはじまり、フゲッタ、小プレリュードをへて2声のインヴェンション5曲、フランス組曲、イギリス組曲(第2番)の同じくブーレI,II&ジーグでおわる。

 11才のグールドの愛らしい写真と小粋な盤名で一瞬、入門版、単なる小品集と思いがちだが、そこは奇才グールドである。バッハらしい静謐さ、硬質でパセティックな展開、そして華やいで充実した締めくくり。これは実に周到にくみたてられたバッハ選集であり、エッセンスが濃縮されている。グールド1955〜80年の25年にわたるバッハ解釈の集大成であり、全体は熟慮された「グールド編バッハ組曲第1、2集」となっている。グールド晩年ちかく、結果として長年のリスナーへの最高の贈り物となった1枚。

 周到にくみたてられたバッハ選集 (amazon.co.jp)

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