火曜日, 6月 04, 2024

カラヤンのベートーヴェン/第9番 RAIローマ交響楽団&合唱団(1954年)

 


カラヤンの1950年代前半を中心とする10枚のモノラル録音集。溌剌とし、スピード感あふれるこの時代の斬新なカラヤンの演奏は魅力。下記ラインナップのうち、コンチェルト・ファンなら妙味あるグールドの3番
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ほかデニス・ブレインのホルン協奏曲集 Horn Concertos Nos 1-4 / Quintet K452 だけで十分に元がとれる。オペラ・ファンなら「 モーツァルト:歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」(シュワルツコップ/カラヤン) 」に食指が動こう。

さて、今回、注目して聴いたのはベートーヴェン第9番である。録音環境が悪く音は混濁してヒドいものだが、演奏は実に面白い。ドイツ的な精神的な纏(まとい)を表に一切ださず、とことんリズミックな演奏。第1、第2楽章は第7番の延長とでもいうべき舞踏の精華。ああここから第3楽章はメローディアスに転換かと思いきや、快速かつ筋肉質な演奏が延長され、そして第4章はこれに激烈なダイナミズムが付加される。そう、トスカニーニばりの機能主義的な演奏なのである。RAIローマ交響楽団とのライヴを十分に意識した”トスカニーニ再来型”第9番である。

ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調作品125《合唱》

テレサ・シュティッヒ=ランダル(S)

ヒルデ・レッセル=マイダン(Ms)

ワルデマール・クメント(T)

ゴットロープ・フリック(Bs)

ニーノ・アントネッリーニ(合唱指揮)

RAIローマ合唱団、RAIローマ交響楽団

録音年月日:1954年12月4日

録音場所:RAIホール、ローマ


<収録情報>(録音時点)
【CD1】
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番(1957年)グレン・グールド(ピアノ)、ベルリン・フィル
・バルトーク:ピアノ協奏曲第3番(1954年)ゲザ・アンダ(ピアノ)、R
【CD2】
・モーツァルト:クラリネット協奏曲(1955年)バーナード・ウォルトン(クラリネット)、P
・モーツァルト:ホルン協奏曲第1番、第4番(1953年)デニス・ブレイン(ホルン)、P
【CD3】
・モーツァルト:ホルン協奏曲第2番、第3番(1953年)同上
・ブラームス:ピアノ協奏曲第2番(1954年)ゲザ・アンダ(ピアノ)、R
【CD4】
・ベートーヴェン:交響曲第9番『合唱』(1954年)
 テレサ・シュティッヒ=ランダル(ソプラノ)、ヒルデ・レッセル=マイダン(メゾ・ソプラノ)、ヴァルデマール・クメント(テノール)、ゴットロープ・フリック(バス) R&合唱団

【CD5】
・ベートーヴェン:交響曲第6番『田園』(1953年)P
・シベリウス:交響曲第4番(1953年)P

【CD6】
・J.シュトラウス:喜歌劇『こうもり』序曲(1955年)P
・R.シュトラウス:歌劇『ナクソス島のアリアドネ』〜プロローグ(1954年)P
・ビゼー:カルメン組曲(1954年)ウィーン交響楽団
・ワーグナー:『ニュルンベルクのマイスタージンガー』〜第1幕への前奏曲、第3幕への前奏曲(1951年) バイロイト祝祭管弦楽団
・モーツァルト:歌劇『魔笛』序曲、僧侶の行進(録音時期:1953年)P
・フンパーディンク:歌劇『ヘンゼルとグレーテル』前奏曲集(1953年)P
→ 
 Karajan, Vol. 6 (1951-1955)

【CD7】
・ブルックナー:交響曲第8番(第2楽章〜第4楽章)(1944年)プロイセン国立歌劇場管弦楽団

【CD8-CD10】
・モーツァルト:歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』全曲(録音時期:1954年)
 エリーザベト・シュヴァルツコップ(フィオルディリージ)、ナン・メリマン(ドラベッラ)、レオポルド・シモノー(フェルランド)、ロランド・パネライ(グリエルモ)、セスト・ブルスカンティーニ(ドン・アルフォンソ)、リザ・オットー(デスピーナ)P&合唱団

(注)P:フィルハーモニア管弦楽団、R: RAIローマ交響楽団

溌剌、スピード感あふれる斬新な演奏群 (amazon.co.jp)


上記の録音データは ヘルベルト・フォン・カラヤンのアーカイブ (karajan.info)
 からの引用。このデータベースの構築とメンテナンスに心から敬意を表したい。

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