金曜日, 8月 16, 2013

サー・コリン・デイヴィス マーラー「大地の歌」

マーラー:大地の歌

  大地の歌には、ワルターの数種の規準盤的な名演(193819521960)がある。その後、「互角の秀演」と世間を驚かせたのがクレンペラー(1966)だが、デイヴィスのデビューは1959年、そのクレンペラーの代役を務めたことが切っ掛けであった。
 こよなく美しい叙情性を湛えたワルター、剛の者の野太さが背後にあるクレンペラーに対して、1981年録音のデイヴィス盤は、双方の良さを併せ持つような出来ばえである。

 各楽章別の演奏時間比較は以下のとおり。デイヴィス盤ではテノール・パートは早く、アルト・パートはじっくりと遅めの運行であることがわかる。特に、2楽章「秋に寂しき者」、第6楽章「告別」の演奏時間は、クレンペラー盤にくらべて約5分半、ワルター盤にくらべて約6分半以上も長い。

   ワルター
 1952

   クレンペラー
 1966

   デイヴィス
 1981

    8:48
  9:22
  3:04
  6:49
  4:26
 28:26
     8:07
  10:10
   3:43
   7:47 
   4:43 
  29:32
     7:34
  11:11
   2:42 
   7:42
   4:34
  34:58

 デイヴィスの「大地の歌」では、実にすっきりとした、清清しいマーラー像を描いている。ジェシー・ノーマン、ジョン・ヴィッカーズともに抜群の詠唱。特にノーマンは伸びやかに歌っており、こんなに自然体のマーラーに出会うのは稀有である。デイヴィスは、ここを強調しており、それが演奏時間にも反映されている。
   デイヴィスは、「大地の歌」のほかマーラーの交響曲では1,4,8番などの録音を残している。
 なぜこうした番数の取り上げなのか。歌心かなと思う。コリン・デイヴィスは合唱曲を得意としており、かつベルリオーズの泰斗である。その類推から、マーラーでもソリストを厳選して録音に臨んだかも知れない。とすると、かつてマーラーを重点的に取り上げていた時期、2番、3番などもデイヴィスの録音計画にあったのかななどと勝手に考えてみる。

 
マーラー:
交響曲第2番ハ短調「復活」- 独唱(ソプラノ、コントラルト)、合唱付
交響曲第3番ニ短調 - 独唱(コントラルト)、合唱、少年合唱付
(デイヴィス:マーラーの作品)

・マーラー:交響曲第4番ト長調

 1 I. Bedachtig, nicht eilen 15:54
 2 II. In gemachlicher Bewegung, Ohne Hast 10:44
 3 III. Ruhevoll 23:58
 4 IV. Sehr behaglich, Wir geniesen die himmlischen Freuden (aus Des Knaben Wunderhorn) 9:44

  アンジェラ・マリア・ブラージ(ソプラノ:4
 エレツ・オファー(ソロ・ヴァイオリン:2

 バイエルン放送交響楽団

 Recording: 13-14 October 1993, Herkulessaal des Residenz, Munchen P. 1996 BMG Music
 http://www.amazon.co.jp/Symphony-4-Mahler/dp/B000003FOH/ref=sr_1_sc_1?s=music&ie=UTF8&qid=1376667279&sr=1-1-spell&keywords=davis+mahlar

・マーラー:交響曲第8番変ホ長調『千人の交響曲』

Part I. Hymn Veni, creator spiritus

 1 Veni, creator spiritus 1:25
 2 Imple superna gratia 3:08
 3 Infirma nostri corporis 2:29
 4 Tempo I. (Allegro, etwas hastig) 1:14
 5 Infirma nostri corporis 2:55
 6 Accende lumen sensibus 5:03
 7 Veni, creator spiritus 3:10
 8 Gloria sit Patri Domino 3:20

Part II Final scene from Goethe's Faust

 1 Poco Adagio 6:53
 2 Piu mosso (Allegro moderato) 3:33
 3 Waldung, sie schwankt heran 5:07
 4 Ewiger Wonnebrand 1:24
 5 Wie Felsenabgrund mir zu Fusen 4:22
 6 Gerettet ist das edle Glied 1:09
 7 Jene Rosen aus den Handen 1:53
 8 Uns bleibt ein Erdenrest 2:06
 9 Ich spur' soeben 1:26
 10 Hochste Herrscherin der Welt!! 4:51
 11 Dir, der Unberuhrbaren 4:36
 12 Bei Der Liebe, die den Fusen 5:32
 13 Neige, Du Ohnegleiche 0:49
 14 Er uberwachst uns schon 3:20
 15 Komm! Hebe dich zu hohern Spharen 7:29
 16 Alles Vergangliche ist nur ein Gleichnis 6:00

 アレッサンドラ・マーク(ソプラノ)/Magna Peccatrix
 シャロン・スウィート(ソプラノ)/Una poenitentium
 エリーザベト・ノルベルイ=シュルツ
(ソプラノ)/Mater gloriosa
 ヴェッセリーナ・カサロヴァ
(アルト)/Murier Samaritana
 リャン・ニン(アルト)/Maria Aegyptiaca
 ベン・ヘプナー(テノール)/Doctor Marianus
 セルゲイ・レイフェルクス
(バリトン)/Pater ecstaticus
 ルネ・パーペ(バス)/Pater profundus

 バイエルン放送合唱団
 ベルリン放送合唱団
 シュトゥットガルト南ドイツ放送合唱団
 テルツ少年合唱団

 バイエルン放送交響楽団

 Recording: Live at the two public concerts, 7 & 8 July 1996, Philharmonie im Gasteig, Munchen P. 1997 BMG Music
http://www.amazon.co.jp/Mahler-Symphony-No-8/dp/B000003FZK/ref=sr_1_sc_3?s=music&ie=UTF8&qid=1376667279&sr=1-3-spell&keywords=davis+mahlar

・マーラー:大地の歌

 1 Das Trinklied vom Jammer der Erde 7:34
 2 Der Einsame im Herbst 11:11
 3 Von der Jugend 2:42
 4 Von der Schonheit 7:42
 5 Der Trunkene im Fruhling 4:34
 6 Der Abschied 34:58

 ジェシー・ノーマン(ソプラノ)
 ジョン・ヴィッカーズ(テノール)

 ロンドン交響楽団

 Recording: March 1981, London
 P. 1982 Philips Classics Productions
http://www.amazon.co.jp/Mahler-Das-Lied-Von-Erde/dp/B0000040W8/ref=sr_1_sc_2?s=music&ie=UTF8&qid=1376667279&sr=1-2-spell&keywords=davis+mahlar

内容(「CDジャーナル」データベースより)

ノーマン、ヴィッカースという当代第一流の歌手を揃えて臨んだ「大地の歌」。バイエルン放響とのマーラーほどロマンティックではなく、抑制された美しさに覆われていて、耽美性は廃し、格調を保っている。

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