日曜日, 4月 03, 2016

ショーソン Amédée-Ernest Chausson


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◆交響曲

ショーソン唯一の交響曲。第1楽章、荘厳な出だしから全奏の悲痛なテーマにひきつがれていく。その後、嵐が過ぎ去ったあとのように転調し、ドヴォルザーク似のメローディアスな展開となる。第2楽章では、情感に富んだ音楽がつづくが、終楽章はショスタコーヴィチ張りの行軍的表現、大音響で締めくくられる。1939年の録音で、高音が割れ音域、音量とも貧弱なのがとても残念だが、そうした中でも、この起伏の大きい劇的な変化を演出するミトロプーロスのタクト裁きは並々ならぬものを感じさせる。
 

◆弦楽四重奏曲
ショーソンとルーセルの弦楽四重奏曲。ともに19世紀中葉にフランスで活躍した作曲家。ショーソンの本作は、絶筆であり遺作(第3楽章)をヴァンサン・ダンディが補筆したとのこと。しかし、違和感なく最後までもっていかれる。全楽章、あくまでも優しく、繊細で、夾雑音がなく約30分の安寧の時間を過ごすことができる。対して、ルーセルの弦楽四重奏曲は、屈折した心情がときに頭をもたげる。第2楽章では、重く深いメロディを陰影のように巧みにからませ、音楽に独自の立体感をあたえている。ペシミスティックな表情をみせながら、それがギリギリの一線で苦痛に落ち込まないような心の振幅を感じる。こうした静かなスリリングさは悪くない。第3楽章は細かく心情のディテールを描きこみ、終楽章では主要なメロディとリズムの反復的な音楽構成で全体を通観しているようだ。こちらも20分強、全体の基調は暗くはない。

ヴィア・ノヴァ四重奏団の演奏にはお家芸を感じさせる。音に勢いがあり表現に艶がある。

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