月曜日, 8月 05, 2024

神話と音楽  ニーベルングの指輪

 




ニーベルングの指輪

原題、〈ドイツDer Ring des Nibelungenワグナー楽劇。1876年にバイロイト初演。中世ドイツの叙事詩ニーベルンゲンの歌」に取材したもの。全上演に十数時間を要する壮大な規模オペラで、序夜「ライン黄金」、第1夜「ワルキューレ」、第2夜「ジークフリート」、第3夜「神々の黄昏たそがれ」からなる。→楽劇


ラインの黄金

原題、〈ドイツDas Rheingoldワグナー楽劇ニーベルングの指輪」四部作の「序夜」にあたる作品。神々の長ウォータン、ニーベルング族の小人アルベリヒ、火の神ローゲを中心とする、世界を支配できるという黄金指輪をめぐる物語

ワルキューレ

ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーのドイツ語による全3幕の楽劇(1870)。原題《Die Walküre》。中世ドイツの叙事詩に基づく楽劇『ニーベルングの指輪』中の第2作。

ジークフリート

ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーのドイツ語による全3幕の楽劇(1876)。原題《Siegfried》。中世ドイツの叙事詩に基づく楽劇『ニーベルングの指輪』中の第3作。

神々の黄昏

ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーのドイツ語によるプロローグと全3幕の楽劇(1876)。原題《Götterdämmerung》。中世ドイツの叙事詩に基づく楽劇『ニーベルングの指輪』中の最後の作品。


ニーベルンゲンの歌

中世ドイツの英雄叙事詩。バイエルンあるいはオーストリアの詩人の作といわれ,1200-05年ころに成立した。前半はジークフリートの死が主題で,その素材は13世紀中葉にアイスランドで収集された歌謡エッダ,散文エッダ,《ボルスンガ・サガ》などにのこる古伝説である。後半はクリームヒルトKriemhild(クードルーン)の復讐が主題で,その素材は12世紀中葉にドナウ川流域で書かれたといわれるブルグント族滅亡の叙事詩である。

 ネーデルラントの王子ジークフリートは,ブルグント王グンテルGuntherのブリュンヒルトBrynhild(ブリュンヒルデ,ブルンヒルデ)との結婚を〈隠れ蓑〉の力を用いて助け,代りにその妹クリームヒルトとの結婚を許される。この2人の妃たちが夫の地位の上下を言い争った際に,ブリュンヒルトはクリームヒルトから結婚のトリックを知らされ,その恥辱ゆえにジークフリート殺害を企て,グンテル王の重臣ハーゲンHagenがジークフリートを殺す。そしてジークフリートがかつてニーベルンゲン族から奪った宝はラインの底に沈められる。その後クリームヒルトはフン族のアッティラ王と再婚し,彼女は招きに応じてやって来たハーゲンに復讐を企てる。戦いの結果,フン族もブルグント族も死に絶える。クリームヒルトはハーゲンの口から宝のありかを聞き出すことができず,怒りにまかせてハーゲンを切り殺す。しかし彼女はこの残虐な行為ゆえにフン族の王の客人であったヒルデブラントHildebrandに成敗され,アッティラ王は悲嘆にくれる。

 この作品には華やかな騎士生活や愛(ミンネ)の奉仕などの宮廷叙事詩的要素と,教会でのミサや洗礼などに見られるキリスト教的要素があるが,作品の本質はあくまで異教的である。物語の主人公たちを動かすのは個人の意志ではなく,集団の上に働く大きな力である。ジークフリートの死も,ブルグント族の滅亡もそのような力によって引き起こされ,物語はゲルマン的悲劇的結末へと突き進む。

 F.フケー,F.ヘッベルをはじめ多くの詩人たちがこの叙事詩を作品の題材とし,R.ワーグナーの楽劇《ニーベルングの指環》は《ニーベルンゲンの歌》をはじめ広く北欧神話に題材をもとめた巨作である。なおこの叙事詩にはあとにのこされた肉親,縁者たちの悲嘆を歌った《哀歌》(1215年ころ成立)がある。


ニーベルンゲンの歌(ニーベルンゲンノウタ)とは? 意味や使い方 - コトバンク (kotobank.jp)



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