ルービンシュタインの協奏曲の名演から、フランス、スペインものを。ルービンシュタインは若き日、フランス滞在中にサンサーンスの前で、この2番を弾いてみせたといわれる。また、スペインには終始、愛着をもっていたようで、ファリャもよく取り上げている。
◆サンサーンスの2番:淡い悲しみと喜び、そこにときに抑えた激情が交錯するような複雑な心理描写が必要な曲。細部まで目配りした緻密な造形で、難曲をなんなく弾ききっている。ルービンシュタインには、一般に華麗、スケールの大きさといった特質が連想されるが、こうした様々なメロディを積み上げていくような細密な作品(とくに第1楽章)も得意としていたことがわかる(録音:1969年1月2日)。
◆ファリャ「スペインの庭の夜」:オーマンディ/フィラデルフィア管のベースが素晴らしく、色彩的で情熱的な本曲を見事に描ききっている。ルービンシュタインは、そこに大輪の花を咲かせる役目。明るく、ユーモラスで、ときにファナティック、ときに無類にやさしくと花束の種類が豊富で彩色あふれる豪華なバスケットである(同上)。
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