(以下、ジャケットはすべて別です)
全体を4つに分類してその特色を見てみよう。
第1グループとして、バレエ・リュスが初演した著名な作品、その筆頭格はストラヴィンスキー「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」の3大作品から「ミューズを率いるアポロ」まで。ほかにドビュッシー「遊戯」、ラヴェル「ダフニスとクロエ」、サティ「パレード」、プーランク「牝鹿」、ファリャ「三角帽子」など名曲が並ぶ。現在にいたるまで、いかにその影響が大きいかがわかろう。
<第1グループ>
【ストラヴィンスキー】
・「火の鳥」小澤征爾/ボストン響(1983)
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・「ペトルーシュカ」(1947年版)ラトル/バーミンガム市響(1986)
・「春の祭典」マルケヴィチ/フィルハーモニア管(1959)
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・歌劇「うぐいす」ナタリー・デセイ(S:夜鳴きうぐいす)ほか ジェイムズ・コンロン/パリ・オペラ座管弦楽団&合唱団(1999)
・「花火」インバル/フィルハーモニア管(1990)
・「ナイチンゲールの歌」ブーレーズ/フランス国立管(1981)
・「プルチネルラ」ロバート・ロイド(BS)マリナー/アカデミー室内管(1981)
・ブルレスク「きつね」エリック・タピー(T) デュトワ/楽器アンサンブル(1972)
・「結婚」(フランス語歌唱) バシア・レチツカ(S) デュトワ/楽器アンサンブル(1972)
・「ミューズを率いるアポロ」ラトル/ベルリン・フィル(2011)
【ドビュッシー】
・「牧神の午後への前奏曲」ラトル/ベルリン・フィル(2004)
・「遊戯」クリュイタンス/パリ音楽院管(1963)
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【ラヴェル】
・「ダフニスとクロエ」(全曲)クリュイタンス/パリ音楽院管(1962)
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【サティ】
・バレエ音楽「パラード」プラッソン/トゥールーズ・カピトール国立管(1988)
・サティ(ミヨー編):「びっくり箱」ランチベリー/コヴェント・ガーデン王立歌劇場管(1978)
・バレエ音楽「メルキュール」ピエール・デルヴォー/パリ管弦楽団(1971)
【プーランク】
・「牝鹿」プレートル/フィルハーモニア管(1980)
【ファリャ】
・「三角帽子」アンヘレス(S) デ・ブルゴス/フィルハーモニア管(1963)
第2グループは、主力演目としてのロシアものである。R=コルサコフ、チャイコフスキー、プロコフィエフの有名どころのほか、バラキレフ、チェレプニン、リャードフなど。
<第2グループ>
【R=コルサコフほか】
・ボロディン(R=コルサコフ&グラズノフ編):「だったん人の踊り」
・「シェエラザード」 小澤征爾/シカゴ響(1969)
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・ムソルグスキー(R=コルサコフ編):「禿山の一夜」マリス・ヤンソンス/オスロ・フィル(1988)
【チャイコフスキー】
・「白鳥の湖」(全曲版)プレヴィン/ロンドン響(1976)
・「眠れる森の美女」(全曲版) プレヴィン/ロンドン響(1974)
【プロコフィエフ】
・「道化師」アバド/ロンドン響(1966)
・「鋼鉄の歩み」組曲 マルケヴィチ/フィルハーモニア管(1954)
・「放蕩息子」 マリン・オールソップ/サンパウロ響(2012)
【バラキレフ】
・交響詩「タマーラ」マタチッチ/フィルハーモニア管(1954)
【チェレプニン】
・「アルミードの館」ヘンリー・シェク/モスクワ響(1994)
・「ナルシスとエコー」ロジェストヴェンスキー/ハーグ・レジデンティ管(1998)
【リャードフ】
・交響詩「キキーモラ」、「バーバ・ヤガー」キタエンコ/ベルゲン・フィル(1991)
第3グループは、古典からの翻案、ドイツものなどへのスポット照射であり、ヘンデル、ロッシーニ、ウェーバー、シューマン、R.シュトラウスなど。さらにそれ以外の第4グループは、同時代音楽へのあくなき関心表明とバレエ・リュスが果たしたゲートウエイ(登竜門)機能にも思いがいたる。
<第3グループ>
【ヘンデル(ビーチャム編)】
・バレエ組曲「物乞う神々」ビーチャム/ロイヤル・フィル(1958)
【ロッシーニ/レスピーギ】
・「風変わりな店」組曲 ガリエラ/フィルハーモニア管(1959)
【ウェーバー(ベルリオーズ編)】
・「舞踏への勧誘」クリュイタンス/パリ音楽院管(1965)
【シューマン】
・「謝肉祭」Op.9(アレンスキー、グラズノフ、クレノフスキー、ペトロフ、R=コルサコフ、カラファーティ、チェレプニン、リャードフ、ヴィンクラー、ヴィートリス、ソコロフ、による管弦楽編曲版) ロバート・アーヴィング/フィルハーモニア管(1959)
【R.シュトラウス】
・「ヨゼフ伝説」ケンペ/ドレスデン・シュターツカペレ(1974)
・「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」マゼール/フィルハーモニア管(1962)
―――――――――・―――――――――
<第4グループ>
【アダン】
・「ジゼル」(ビュッセル編)ロバート・アーヴィング/フィルハーモニア管(1961)
【デュカス】
・舞踏詩「ラ・ペリ」マルティノン/フランス国立放送管(1971)
【フローラン・シュミット】
・「サロメの悲劇」組曲 マルティノン/フランス国立放送管(1972)
【フォーレ】
・「パヴァーヌ」アルミン・ジョルダン/ローザンヌ室内管(1981)
【トマジーニ】
・「上機嫌な婦人たち」組曲(原曲:D.スカルラッティ)マルケヴィチ/フィルハーモニア管(1957)
【オーリック】
・「はた迷惑な人たち」マルケヴィチ/モンテカルロ国立歌劇場管(1972)
【ミヨー】
・「青列車」マルケヴィチ/モンテカルロ国立歌劇場管(1972)
【アンリ・ソーゲ】
・「牝猫」マルケヴィチ/モンテカルロ国立歌劇場管(1972)
👉 マルケヴィッチ 総特集 Igor Markevitch (shokkou3.blogspot.com)演奏陣は充実している。ディアギレフと親しかったマルケヴィチ
👉 マルケヴィッチ その軌跡 (shokkou3.blogspot.com)A
の演奏は、いわば「直伝」の重みがあるだろうし、クリュイタンスやマルティノンなどフランスの誇る往年の名指揮者に加えて、小澤征爾、ラトルなど、録音時点はばらけるが内容は秀逸である。
22枚中最後の1枚はいわばボーナス・トラック的だが、シャリアピンの「ボリス・ゴドゥノフ」(抜粋)とディアギレフの盟友モントゥー
👉 モントゥー Pierre Monteux (shokkou3.blogspot.com)
の「春の祭典」(グランド響[パリ交響楽団]1929)を所収。心憎い企画である。
セルゲイ・ディアギレフ~バレエ・リュス (tower.jp)
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