◇バーンスタイン
フルトヴェングラーはリマスター盤を入手して、音が格段に良くなっていることに驚いたが、いまはこうしたドイツ精神主義の権化といった演奏にはちょっと敬遠したい重さを感じてしまう。いずれまた、ここに回帰することもあるかも知れないが、最近はむしろ対極ともいえるトスカニーニ旧盤の快刀乱麻の歯切れの良さに惹かれている。
【Wilhelm Furtwangler: The Great EMI
Recordings [Box set, CD, Import]】
◇フルトヴェングラー
【Complete Symphonies & Selected
Overtures [Import]】
◇トスカニーニ
古き名盤ついでに、初期カラヤンのベートーヴェンの清新溌剌さも特筆ものである。その一方、名盤の誉れ高きライナー(5番、7番)にはあまりの凝縮感に若干、息苦しさを感じてしまうこともある。
【Herbert von Karajan: Recordings 1938-60
Collection [Import, from US, Box set]】
◇カラヤン
【カラヤン ベートーヴェン 第5番「運命」 1948年】
【ライナーのベートーヴェン】
http://shokkou3.blogspot.jp/2011/09/blog-post_03.html
5番、7番のカップリングといえば、カルロス・クライバーにふれないわけにはいかないだろう。背筋にゾクゾクとくるようなスリリングさでは群をぬくが、いくども聴いていると、その「凄さ」の背後にいささかの「けれんみ」を感じないわけでもない。
【ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》&7番 カルロス・クライバー】
5番、7番の谷間の6番では、もちろんワルターなどもあるけれど、オーマンディの鷹揚ながらも周到な解釈とその美音に酔う1枚も見落とせない。同様に、2番、7番でのセルの潔癖な演奏もとても気にいっている。
【ベートーヴェン:交響曲第5番・第6番 オーマンディ】
【セル(2) / ベートーヴェン第2&第7交響曲】
http://freizeit-jiyuu.blogspot.jp/2006/06/blog-post_115106324787553846.html
5番、6番の組み合わせで、ウィーン・フィルを振ったイッセルシュテットも秀でた演奏。この包容力あるテイストはなかなか再現できない妙技だろう。交響曲全集そのものがながらく推薦盤として定評があった。
【ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」&第6番「田園」イッセルシュテット】
◇イッセルシュテット
こうやって書いてくるとどんどんと際限なく拡散してしまう。あたりまえだが世に名盤は数多いし、あくまでも相対的なものだ。また、時々の自分の視聴体験や加齢によっても大きな影響をうける。よって、気に入った番数をいろんな演奏で聴いてみて、これが一番合うなと思ったら、全集で揃えるというのがやはり定石ということかも知れない。
さて、いまの小生の場合は、トスカニーニ(新盤)を第一とするが、録音の古さが気になるなら、この路線をかなり忠実に踏襲していると思われるバーンスタイン/ニューヨーク・フィルがコスト・パーフォーマンスからも良いと思う。しかし、馥郁たるウィーン的な響きで味わいたければ、ウィーン・フィルを振ったイッセルシュテットかベームがお奨めと思う。