月曜日, 12月 23, 2024

クリスマス・イブ  Christmas Eve


 









クリスマス・イブ、まちに出ればクリスマス・フェスティバル、ザ・クリスマス・ソングにあふれている。こどもたちにとっては、やはり、どこからかやってくるサンタクロースへの強い憧れと期待!このキャラクター設定とストーリー性は大発明と言っていいだろう。 

 

赤鼻のトナカイ

ジングル・ベル

サンタが町にやってくる

あわてんぼうのサンタクロース

はやくあいたいな サンタさん

ママがサンタにキッスした

クリスマスの日は

 

信者や関係者の方々はこの日は大切な日、厳粛な気持ちで、あるいは心浮きたって教会へ。準備は大変だろうが、ミサとともに、プレゼントの交換、コンサートやコーラス、キャンドル・セレモニーなど楽しいイベントも待っている。

 

もろびとこぞりて

ハレルヤ・コーラス

荒野の果てに(グローリア)

 

少し前の時代だと、独身者にとってはこの日を誰とどこで過ごすかが大問題であったが、いまはそんな風説、臆断には単純にのらない。時代はかわって、普段と同様、ゆっくり“おひとりさま”で楽しもうという向きも多い。

 

きよしこの夜

神のみこは

しずかなクリスマス

 ホワイト・クリスマス


でも、みんなが楽しそうにしているのは良いことだ。クリスマス停戦だって冷静になれる好機かも。

 Various: Stille Nacht

Various: Stille Nacht


クリスマス・ソング、今年はどう愉しむか。古い音源ながら、大人の落ち着きと高き表現力のソプラノとして一世を風靡し、いまも根強い人気のあるエリーザベト・シュヴァルツコップで聴く選択。古式ゆかしいユーロピアン・タイプとでもいうべきアルバムで、いかにも蝋燭の火が似合いそうな雰囲気。バックは彼女と相性のよいマッケラス/フィルハーモニア管(1957年5月、6月の初期のステレオ録音)。

一方で、明るく開放的に、という向きには、キャスリーン・バトル  エンジェルズ・グローリー もお薦め。 

【収録情報】
・きよしこの夜
・神の御子は今宵しも
・いざうたえ
・眠りの精
・冷たき土の下に
・パニス・アンジェリクス
・第1のノエル
・イン・ドゥルチ・ユビロ
・クリスマス
・いと高き天より
・三叟の船
・山の上のマリア
・イースター・アレルヤ

デニス・ヴォーン(オルガン)、ジュリアン・ブリーム(ギター)、アンブロジアン・シンガーズ

ウィーン国立歌劇場 創立150年記念BOX


 









https://tower.jp/item/4933738


1945年に戦禍により焼失したウィーン国立歌劇場。1955年の再建時は、ベームが総監督に就任した。この時代の《ヴォツェック》は歴史的成果。次のカラヤンは、一度は辞任したものの、その後復帰し1964年まで芸術監督を務めた。再びベームが采配をふるい1965年、新演出にて上演された《エレクトラ》はこの時代のメモリアル。また、後年カラヤンは1979年《フィガロの結婚》をDECCAにセッション録音した。1988年アバドは《ランスへの旅》を蘇演したが彼の代表作となった。

ほかに、メストの《トリスタンとイゾルデ》、ネルソンスの《エフゲニー・オネーギン》、ティーレマンの《ナクソス島のアリアドネ》、ロペス=コボスの《仮面舞踏会》は全曲盤()などを収録している。 

なお、本集は歴史的トレースを前提とした選集と考えるべきで、以下のラインナップを確認すればわかるが、各曲(全曲)のベスト名演集といった観点ならもっと別の選択肢があるだろう。


(収録情報/全曲盤以外はボーナストラック収録分の断片集)

 

【モーツァルト】

★歌劇《フィガロの結婚》

アルマヴィーヴァ伯爵…トム・クラウゼ(バリトン)伯爵夫人…アンナ・トモワ=シントウ(ソプラノ)スザンナ…イレアナ・コトルバス(ソプラノ)フィガロ…ホセ・ファン・ダム(バス)ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)1977年ライヴ

 

・歌劇《後宮からの誘拐》

エディタ・グルベローヴァ(ソプラノ)カール・ベーム(指揮) 1979

 

・歌劇《コジ・ファン・トゥッテ》

アドルフ・ダラポッツァ(テノール)ヴァルター・ベリー(バリトン)エベルハルト・ヴェヒター(バス・バリトン)ヨーゼフ・クリップス(指揮) 1968

 

・歌劇《ドン・ジョヴァンニ》

エディタ・グルベローヴァ(ソプラノ)ズービン・メータ(指揮) 2005

 

【リヒャルト・シュトラウス】

★歌劇《エレクトラ》

エレクトラ…ビルギット・ニルソン(ソプラノ)クリソテミス…レオニー・リザネク(メゾ・ソプラノ)クリテムネストラ…レジーナ・レズニック(ソプラノ)カール・ベーム(指揮)1965年ライヴ

 

★歌劇《ナクソス島のアリアドネ》

執事長…ペーター・マティク(語り)音楽教師…ヨッヘン・シュメッケンベッヒャー(バリトン)作曲家…ゾフィー・コッホ(メゾ・ソプラノ)クリスティアン・ティーレマン(指揮) 2014年ライヴ

 

・歌劇《アラベラ》

リーラ・デラ・カーザ(ソプラノ)アンネリーゼ・ローテンベルガー(ソプラノ)ヨーゼフ・カイルベルト(指揮) 1964

 

・歌劇《ばらの騎士》

セーナ・ユリナッチ(ソプラノ)マリア・ライニング(ソプラノ)ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮) 1955

 

【ワーグナー】

★楽劇《トリスタンとイゾルデ》

トリスタン…ペーター・ザイフェルト(テノール)マルケ王…シュテファン・ミリング(バス)イゾルデ…ニーナ・ステンメ(ソプラノ)フランツ・ヴェルザー=メスト(指揮) 2013年ライヴ

 

・歌劇《さまよえるオランダ人》

ユリア・ヴァラディ(ソプラノ)フランツ・グルントヘーバー(バリトン)ウルフ・シルマー(指揮) 1993

 

・楽劇《ヴァルキューレ》

プラシド・ドミンゴ(テノール)ヴァルトラウト・マイヤー(メゾ・ソプラノ)クリストフ・フォン・ドホナーニ(指揮) 1992

 

・歌劇《ローエングリン》

ヨハン・ボータ(テノール)チェリル・ステューダー(ソプラノ)シモーネ・ヤング(指揮)

1997

 

【ヴェルディ】

★歌劇《仮面舞踏会》

グスタフ三世…ピョートル・ベチャラ(テノール)秘書レナート…ドミトリー・ホロストフスキー(バリトン)アメリア…クラッシミラ・ストヤノヴァ(ソプラノ)ヘスス・ロペス=コボス(指揮) 2016年ライヴ

 

・歌劇《シモン・ボッカネグラ》

エーベルハルト・ヴェヒター(バリトン)ニコライ・ギャウロフ(バス)ヨーゼフ・クリップス(指揮) 1969

 

・歌劇《椿姫》

イレアナ・コトルバス(ソプラノ)ニコライ・ゲッダ(テノール)ヨーゼフ・クリップス(指揮)

1971

 

・歌劇《ドン・カルロ》

グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)フランコ・コレッリ(テノール)ホルスト・シュタイン(指揮) 1970

 

・歌劇《アイーダ》

ユリア・ヴァラディ(ソプラノ)マルヤーナ・リポヴシェク(メゾ・ソプラノ)クリスティアン・バデア(指揮) 1993

 

・歌劇《アイーダ》

ミレッラ・フレーニ(ソプラノ)ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール)ロベルト・アバド(指揮) 1990

 

・歌劇《オテロ》

アンナ・トモワ=シントウ(ソプラノ)プラシド・ドミンゴ(テノール)ズービン・メータ(指揮)

1987

 

【ベルク】

:歌劇《ヴォツェック》

ヴォツェック…ヴァルター・ベリー(バリトン)カール・ベーム(指揮) 1955年ライヴ

 

【ベートーヴェン】

:歌劇《フィデリオ》

フロレスタン…ジョン・ヴィッカーズ(テノール)レオノーレクリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)ドン・フェルナンドエーベルハルト・ヴェヒター(バス・バリトン)ドン・ピッツァロヴァルター・ベリー(バリトン)ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮) 1962年 ライヴ

 

【ロッシーニ】

★歌劇《ランスへの旅》コリンナ…チェチーリア・ガスディア(ソプラノ)メリベーア侯爵夫人ルチア・ヴァレンティーニ=テラーニ(メゾ・ソプラノ)フォルヌヴィル伯爵夫人レッラ・クベルリ(ソプラノ)コルテーゼ夫人モンセラート・カバリエ(ソプラノ)クラウディオ・アバド(指揮) 1988年ライヴ

 

【チャイコフスキー】

★歌劇《エフゲニー・オネーギン》

ラーリナ…ゾルヤナ・クシュプラー(メゾ・ソプラノ)タチアーナアンナ・ネトレプコ(ソプラノ)オリガアリサ・コロソヴァ(コントラルト)アンドリス・ネルソンス(指揮) 2013年 ライヴ

  

【プッチーニ】

・歌劇《ボエーム》

ミレッラ・フレーニ(ソプラノ)ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール)ヴォルフガング・ブレンデル(バリトン)オラツィオ・モーリ(バリトン)マルデリータ・グリエルミ(ソプラノ)

カルロス・クライバー(指揮) 1985

 

【ビゼー】

・歌劇《カルメン》

アグネス・バルツァ(メゾ・ソプラノ)プラシド・ドミンゴ(テノール)ピンカス・スタインバーグ(指揮) 1992

 

【ショスタコーヴィチ】

・歌劇《ムチェンスクのマクベス夫人》

アンゲラ・デノケ(ソプラノ)インゴ・メッツマッハー(指揮) 2009

伝説の指揮者たち  ~ ORFEOレーベル




 








https://tower.jp/item/5039607

曲目】
『伝説の指揮者たち』 ~ ORFEOレーベル40周年記念

19世紀生まれの6名、20世紀生まれの5名の以下の計11名のラインナップ。生年順に並べ替えれば以下のとおり。ORFEOレーベルの限界があり、トスカニーニはじめ米国系、ミュンシュなどフランス系などは入っていない。その意味では、ドイツを中心とする・・・という枕詞がいるだろう。


1.クレンペラー(1885-1973)、2.フルトヴェングラー(1886-1954)、3.クナッパーツブッシュ(1888-1965)、4.ベーム(1894-1981)、5.ミトロプーロス(1896-1960)、6.バルビローリ(1899-1970)

1.カラヤン(1908-1989)、2.チェリビダッケ(1912-1996)、3.フリッチャイ(1914-1963)、4.サヴァリッシュ(1923-2013)、5.カルロス・クライバー(1930-2004)


3B主要な曲目別(交響曲)では、

・ベートーヴェン:第3番(クナッパーツブッシュ)、第4番(クライバー)、第7番(クレンペラー)、第9番(カラヤン)

・ブラームス:第1番(チェリビダッケ)、第2番(バルビローリ)、第3番(クレンペラー)

・ブルックナー:第4番(フルトヴェングラー)、第5番(サヴァリッシュ)

となっているが、3B作曲家別にみれば、ブラームス第4番、ブルックナー第7番などを入れるなど、もう工夫あってよかったと感じる。

(収録情報/太字は小生の気に入っているもの)

・ブルックナー: 交響曲 第4番 変ホ長調 「ロマンティック」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音: 1951年10月29日 ドイツ博物館コングレスザール(ライヴ、モノラル)

ーーーーーーーーーーーーーーー

・リスト: 交響詩 「前奏曲」

・ブラームス: 交響曲 第1番 ハ短調 Op. 68
セルジュ・チェリビダッケ(指揮)
ウィーン交響楽団
録音: 1952年10月30日 コンツェルトハウス、ウィーン(ライヴ、モノラル)

ーーーーーーーーーーーーーーー

・プロコフィエフ: 交響曲 第5番 変ロ長調 Op. 100

ディミトリ・ミトロプーロス(指揮)
バイエルン放送交響楽団
録音: 1954年7月9日 ヘルクレスザール、ミュンヘン (モノラル)

ーーーーーーーーーーーーーーー
・ベートーヴェン: コリオラン序曲 Op. 62
・ベートーヴェン: 交響曲 第3番 変ホ長調 Op. 55 「英雄」
ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音: 1954年1月17日(コリオラン)、1962年2月17日(英雄)
ムジークフェラインザール、ウィーン (ライヴ、モノラル)

ーーーーーーーーーーーーーーー

・ベートーヴェン: 交響曲 第9番 ニ短調 Op. 125
リーザ・デラ・カーザ(ソプラノ)
ヒルデガルト・レッセル=マイダン(アルト)
ヴァルデマール・クメント(テノール)
オットー・エーデルマン(バス)
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
ウィーン楽友協会合唱団
ウィーン交響楽団
録音: 1955年6月25日 ムジークフェラインザール、ウィーン(ライヴ、モノラル)
ーーーーーーーーーーーーーーー
・ブラームス: 交響曲 第3番 ヘ長調 Op. 90
・ベートーヴェン: 交響曲 第7番 イ長調 Op. 92
オットー・クレンペラー(指揮)
ウィーン交響楽団
録音: 1956年3月8日 コンツェルトハウス、ウィーン (ライヴ、モノラル)

ーーーーーーーーーーーーーーー

・チャイコフスキー: 交響曲 第6番 ロ短調 Op. 74 「悲愴」
フェレンツ・フリッチャイ(指揮)
バイエルン放送交響楽団
録音: 1960年11月24日 ヘルクレスザール、ミュンヘン (モノラル)

ーーーーーーーーーーーーーーー

・ブラームス: 交響曲 第2番 ニ長調 Op. 73
・ヴォーン=ウイリアムズ: 交響曲 第6番 ホ短調
サー・ジョン・バルビローリ(指揮)
バイエルン放送交響楽団
録音: 1970年4月10日 ヘルクレスザール、ミュンヘン (ライヴ)

ーーーーーーーーーーーーーーー

・シューベルト: 交響曲 第2番 変ロ長調 D 125

・R.シュトラウス: 交響詩「英雄の生涯」 Op. 40
カール・ベーム(指揮)
バイエルン放送交響楽団
録音: 1973年9月29日 ヘルクレスザール、ミュンヘン (ライヴ)
ーーーーーーーーーーーーーーー
・ベートーヴェン: 交響曲 第4番 変ロ長調 Op. 60
カルロス・クライバー(指揮)
バイエルン国立管弦楽団
録音: 1982年5月3日 ミュンヘン国立劇場 (カール・ベーム追悼コンサート ライヴ)

ーーーーーーーーーーーーーーー
・ブルックナー: 交響曲 第5番 変ロ長調 原典版
ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指揮)
バイエルン国立管弦楽団
録音: 1990年9月28,29日、1991年3月18-20日 ミュンヘン大学

木曜日, 12月 19, 2024

シフラのリスト


 









ジェルジ・シフラ1921-1994年が再評価されている。インプロヴィゼーション(即興でのアドリブ)、トランスクリプション(指示とは異なる楽器で演奏用に編曲する。アレンジ)、パラフレーズなどは、原曲・原典重視の立場からは、かつては鼻白んで見られたが、グールド登場以降、いまや多くのプレイヤーであたりまえの時代。

シフラは超絶技巧派でならしたが、作曲・編曲のセンスも豊かで、こうした技法を思うさま駆使した。ゆえにメインロードからは異端児扱いされたが、一方、その経歴、風貌からライヴでは熱狂的に迎えられた。ショパン弾きとしては”正統派”サムソン・フランソワとともに、時代を反映し、ちょっぴりデカダンぼい魅力があったのかも。

監獄入りの悲惨な戦争体験、指揮者として期待されたご子息Jrの不慮の死、愛煙家から肺癌になるなど波乱の人生が、ライヴ演奏には投影されているように感じるのは先入主ゆえか。小生の愛聴盤は以下だが、単なる技巧派などと思ったら大間違い。そのピアニズムは大家の名にふさわしい風格とともにある。後進の育成にも熱心であったようだが、これはご子息を失った空隙を埋めるという心理的な働きもあったからかと勝手な想像を馳せる。



ジェルジ・シフラ1921-1994年の1963年アスコーナ・ライヴ。当時、シフラのショパン、リストの評判はこよなく高く、自信ある演目を引っさげての登壇は大きな話題であったことだろう。
自在なテンポ設定ながら高速でも音は乱れず、強弱の振幅の大きさ、明暗のコントラスト(とくに陰影のつけかた)の妙、そしてその縦横な展開。音質に難はあるが、後半のリスト5曲は白熱の度合いが増し、圧巻の一夜を実感できる。

【収録情報】
・ショパン:幻想曲ホ短調 op.49、スケルツォ第2番変ロ短調 op.31、ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調 op.35
・リスト:スペイン狂詩曲、『愛の夢』第3番変イ長調、ポロネーズ第2番ホ長調、半音階的大ギャロップ、ハンガリー狂詩曲第6番変ニ長調
 録音時期:1963年9月27日
 録音場所:アスコーナ、Settemane Musicali

→ Great Pianists 10 CD Set にて聴取

シフラは5年後、来日しバッハについても収録している。
・バッハ(ブゾーニ編):
1-2) 前奏曲とフーガ ニ長調BWV.532
3) コラール『目覚めよ、と呼ぶ声あり』BWV.645
4) コラール『汝のうちに喜びあり』BWV.615
5) コラール『栄光の日は来たりぬ』BWV.62)
【録音】Tokyo, 1968 

水曜日, 12月 18, 2024

ベートーヴェン 交響曲&ピアノ協奏曲 14ラインナップ











ベートーヴェンの9曲の交響曲と5曲のピアノ協奏曲、全14曲は「入れ子状」に作曲されている。1770年生まれのベートーヴェン。概ね1800年までを20才台とすれば、ピアノ協奏曲第1番(ハ長調)および第2番 (変ロ長調)の2曲が1795年、同第3番(ハ短調)および交響曲第1番(ハ長調)が1800年に作曲された。すなわち3曲のピアノ協奏曲は交響曲作曲のいわば「前衛」に位置している。 

彼の30才台の作品では、交響曲第2番(ニ長調)1803年、同第3番(変ホ長調)「英雄」1805年、ピアノ協奏曲第4番(ト長調)1806年、交響曲第4番(変ロ長調)1807年、同第5番(ハ短調)および第6番(ヘ長調)「田園」1808年、ピアノ協奏曲第5番(変ホ長調)「皇帝」1809年と続く。2曲のピアノ協奏曲は交響曲作曲の「節目」に位置している。 

40才頃には全聾になったとされるが、1827年(56才没)にかけて晩年の約15年の作品は、交響曲第7番(イ長調)および第8番(ヘ長調)1812年、同第9番 ニ短調 (合唱付き)1824年となる。

交響曲では全集で一気通貫に聴くのも選択肢。小生は、以下を好むが、各々の時代別特質を考えると、各番毎に慎重に選択するのも妙味。古い録音が多く恐縮だが以下ではそうした観点で選択してみた。

イッセルシュテットのベートーヴェン交響曲全集

https://shokkou3.blogspot.com/2024/12/blog-post.html

https://shokkou3.blogspot.com/2022/03/blog-post.html


次に、ピアノ協奏曲をあえて”ピアノ付き交響曲”といった視点でとらえると、ベートーヴェンの協奏曲ではオーケストラのバックがいかに重要かがわかろう。以下ではさらに古い音源も多いが、その点も加味している。なお、全集では以下を推奨。


ギレリス&セル/クリーヴランド管のベートーヴェンピアノ協奏曲全集

https://shokkou3.blogspot.com/2012/03/blog-post_24.html


交響曲


第1番マルケヴィッチ/ラムルー管弦楽団

第2番:セル/クルーヴランド管弦楽団

第3番:テンシュテット/ロンドン・フィル

テンシュテットの「英雄」 バランスよく均整のとれた名演


第4番モントゥ―/ボストン交響楽団


第5番:ヨッフム/ベルリン・フィル


第6番:クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団


第7番ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル

第9番:小澤征爾/サイトウ・キネン・オーケストラ

世界に届く、情感の豊かさと肌理こまやかさ


ピアノ協奏曲

第1、2番:アルゲリッチ&シノーポリ/フィルハーモニア管弦楽団
第3番:ケンプ&ケンペン/ベルリン・フィル


第4番グルダ&ホルスト・シュタイン/ウィーン・フィル


第5番バックハウス&シューリヒト/スイス・イタリア語放送管弦楽団

月曜日, 12月 16, 2024

バックハウスのベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番 










(若き日のバックハウス)


ルガーノにて。シューリヒト80才の泰山北斗ぶり。まず、バックハウス(74才)との皇帝は、両雄が真剣勝負のなか、大いなる愉悦をもって「音楽」をしている様がリスナーにも伝わってくる。明るく雄雄しき演奏。これをもって泰山のごときとすれば、燦燦と照らされた陽光のようなモーツァルト、シルキーな柔らかさに始まり、あえて荒ぶり劇的に締めくくるフィンガルの洞窟ここでは北斗七星の輝きに似たり。大家の技量をあますところなく見せつける素晴らしき一夜を追体験できる。


<収録情報>
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5 変ホ長調 Op.73『皇帝』

   ・モーツァルト:交響曲第40 ト短調 K.550
   ・メンデルスゾーン:序曲『フィンガルの洞窟』

カール・シューリヒト(指揮スイス・イタリア語放送管弦楽団

  ヴィルヘルム・バックハウス(p)
  
   録音:1961427日 ルガーノ、アポロ劇場https://shokkou3.blogspot.com/2013/11/blog-post.html


別のテースト、現代的な「皇帝」なら以下も参照

https://shokkou3.blogspot.com/2024/07/blog-post_18.html

https://shokkou3.blogspot.com/2022/03/5_23.html


⇒ 13人の偉大なるピアニストたち(協奏曲編)


ルービンシュタインのショパン ピアノ協奏曲第1番











ショパン:ピアノ協奏曲第1番

リスナーの胸のなかにショパンの心象風景が鮮明に焼きつくような、文字通り心の通った名演である。柔な感傷とは別の、いわば「硬質な抒情性」がルービンシュタインの均質な音づくりによって意識され、過度にならない感情表出によって、かえって抑制的な感動が次第にふくらんでいくような演奏。ショパンの静かなメロディのうちに熱きパッションが内在されていることを見事に表現している(録音:1961年7月8、9日)。

https://shokkou3.blogspot.com/2016/12/arthur-rubinstein.html


ルービンシュタインについて 薫りたつ品位

ルービンシュタインのチャイコフスキー、ラフマニノフについて
https://shokkou3.blogspot.com/2014/01/blog-post_3.html

こちらもお奨め



⇒ 13人の偉大なるピアニストたち(協奏曲編)


ホロヴィッツのチャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番












チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番(1941年録音)
巨大な楽曲のスケール感、歴史的名演

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番は、1941年5月6日&14日ニューヨーク、カーネーギーホールにおけるライヴ。岳父に気を使って極力合せようなどとはつゆ思ってはいなかっただろうが、トスカニーニとの呼吸はピッタリで、かつ燃えるように熱い演奏である。ホロヴィッツの楽曲のスケール感は実に巨大で、その打鍵の剄さと正確さは強力で精度のたかいバネのようだ。贅言を要せぬ歴史的名演であると思う。

http://shokkou.blog53.fc2.com/blog-entry-684.html

ホロヴィッツについて 晩年のホロヴィッツの輝き

トスカニーニについて https://shokkou3.blogspot.com/2022/01/blog-post_36.html

 

こちらもお奨め

https://shokkou3.blogspot.com/2017/05/blog-post.html


⇒ 13人の偉大なるピアニストたち(協奏曲編)

リヒテルのグリーグ ピアノ協奏曲










このリヒテルvsマタチッチ共演は特異の名演。リヒテルのハンマーのような屈強さ、マタチッチの無骨といった表面的な印象を超えて、迫力満点のグリーグでは思わぬ抒情性にはっと心がぐらつく。その一方、たっぷりの哀愁のシューマンの底にはとぐろを巻く強い情念が疼く。しかし、こうした意表を衝くスリリングさの先に、どちらもとびっきりに心を籠めた真の「音楽」を感じる。

リヒテルは強烈な個性のピアニストである一方、集中力あふれる堅牢な演奏スタイルは、当時のソビエト連邦の象徴だったハンマーにたとえられた。あらゆる演目で駄作といったものがないのは、当時のソ連の鉄の政治体制を反映したような完璧性ともイメージの共有がある。音楽、音楽家といえども、否、それが人びとの心をぎゅっと掴む作用をもっている以上、むしろそれゆえに時代が反映されている。

リヒテルについて  リヒテルー協奏曲集にみる絢爛、豪華な陣容

マタチッチについて https://shokkou3.blogspot.com/2017/03/lovro-von-matacic.html


リヒテルといえば、協奏曲ではチャイコフスキーやプロコフィエフを挙げるべきとの見方が一般的かなとも思う。ここでは、あえてミケランジェリと対比したくて、グリーク/シューマンのカップリングを選んだ。

指揮者との組み合わせでも、

リヒテル (ロシア) VS  マタチッチ(ルーマニア)【ロシア・東欧系コンビ】

ミケランジェリ(イタリア)  VS ミトロプーロス(ギリシア)【ラテン系コンビ】

は面白い。また、ギレリスとの対比も一興。 

https://shokkou3.blogspot.com/2021/12/blog-post_6.html


こちらもお奨め

https://shokkou3.blogspot.com/2022/01/5_27.html

 

⇒ 13人の偉大なるピアニストたち(協奏曲編)

ミケランジェリのシューマン ピアノ協奏曲


 








(ジャケットは別です)


シューマン/ピアノ協奏曲:ミトロプーロス:ニューヨーク・フィル(1948年)は録音は古いが名演。ミケランジェリのクリスタルな硬質の美は他に代えがたい。併録のさらに録音は古いグリーグも同様。 https://shokkou3.blogspot.com/2019/04/5.html

ミケランジェリについて 強烈な個性の完全主義者

ミトロプーロスについて https://shokkou3.blogspot.com/2014/03/dimitris-mitropoulos.html


ミケランジェリといえば、協奏曲では上記ジャケットにあるようにラヴェルやラフマニノフを挙げるべきとの見方が一般的かなとも思う。ここでは、あえてリヒテルと対比したくて、シューマン/グリークのカップリングを選んだ。

指揮者との組み合わせでも、

ミケランジェリ(イタリア)  VS ミトロプーロス(ギリシア)【ラテン系コンビ】

リヒテル (ロシア) VS  マタチッチ(ルーマニア)【ロシア・東欧系コンビ】

は面白い。


こちらもお奨め

https://shokkou3.blogspot.com/2022/01/5_27.html

 

⇒ 13人の偉大なるピアニストたち(協奏曲編)