水曜日, 2月 29, 2012

ゲルギエフを聴く


急遽開催決定! ワレリー・ゲルギエフによる「復興音楽祭」~東日本大震災復興支援チャリティー・コンサート~

最近、コンサートにはとんと行かない。以前も同様なことを書いたが、CDを気儘に聴いていたほうがはるかに心地よい。あるいは過去のライヴでの名演の印象が強すぎて、いまのコンサートなどから受ける感動があまりないからかも知れない。

そうはいっても、たまには行きたい、聴きたい指揮者もいる。ゲルギエフは同じ年という親近感もあり、また、ここのところ集中して聴いていることもあって、2月29日のコンサートには久しぶりに期待をもって足を運んだ。

「古典交響曲」とアンコールのチャイコフスキー、くるみ割り人形の「花のワルツ」は素晴らしかった。東京交響楽団の音が明らかに変わる。ゲルギエフ流の分厚い弦のハーモニーが前にでて構えの大きい、明確な解釈がはっきりと伝わってくる。いいなあと頬が緩む。

その一方、スタートの「亡き王女のためのパヴァーヌ」はいまだ集中感に欠け不安定、かつ管はもっとセーヴして被せてほしかったと思ったし、「未完成」も平凡な出来。特に「未完成」は、怖い曲で良い演奏とそうでない場合の落差が大きい。繰り返しが煩瑣に感じられるくらい起伏、気迫に乏しい演奏だった。

もっともほとんど練習の時間がないぶっつけに近い対応であったろうから、それは仕方がないことかも知れない。

しかし、花束贈呈もないし、雪のせいもあってか空席も目立った。せっかくゲルギエフがソウル、北京公演の「1日の合間」をぬって来てくれたのに、ステージではいささかそっけない接遇だった。そこはちょっと残念だった。

(参考)
チャイコフスキー:交響曲第5番

1998年7月、ザルツブルクでの録音。ウィーン・フィルはだいぶん、個性を殺してこの将来有望株と目線あわせをしているなと感じた。マリインスキー劇場管弦楽団との6番での魅力は「低弦のぶ厚い音響を強調しつつ金管が効果的にこれに被さる」点にあるが、ウィーン・フィルでは低弦の威力はそう感じない。また、金管も亀裂的ではなくむしろ完璧な質量でオーバーラップさせている。だがその過不足ない音量、涙がでるくらい巧い。

 ただ鳴らすだけの演奏とはまったく異質で頭脳的な解釈に特色。ジャケット付属のインタビューにもあるが、むしろ、チャイコフスキー解釈をウィーン・フィルと共有することに意義があるという基本スタンスは聴いていて、随所でなるほどと思う。ライヴなので拍手、ブラボーが当日の出来を如実に示しているだろう。この邂逅は、シェーンブルン・サマー・ナイト・コンサート2011にいたる両者のその後の幸福な関係を築いたろう。実力派ゲルギエフの面目躍如たる記録。


チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」、幻想序曲「ロメオとジュリエット」

ゲルギエフの音楽は、どの曲をとっても「明解」な解釈と「明確」な音づくりのアプローチがあるように思う。

 まず、明確な音づくりに関してはこの6番(マリインスキー劇場管弦楽団)がその典型。弱音部は情感をもってゆっくりと奏で、強音部は速度を増してメカニックに疾走する。全体にリズミックで切れ味がよいが、前者ではフレージングをやや長めにとり、後者ではザックリと短く鋭く刻む。

 そのコントラストにははじめは驚くが、一般に凡長に繰り返されると逆に興ざめとなる場合もある。しかし、彼の演奏でそれがマンネリ化せず鼻につかないのは、手兵たるこのオーケストラの各パートの使い方が絶妙だからだ。

 全体として低弦のぶ厚い音響(実に心地よい響きだ)を強調しつつ金管(音がクリアで巧い)が効果的にこれに被さる。その場合、意外にも金管をやたらと大きく前面に出すのではなく、よく切れるカッターのように亀裂的に用いる。弦楽器と木管楽器のハーモニーも文句なく美しい。そこが真骨頂といえるだろう。

 顔が<濃厚>系(失礼!)なので、音楽もそうかと言うと、実は別の感想を抱く。明解な頭脳的解釈とでも言うべきか、全体構成がくっきりとしており、リスナーの期待を裏切らない。シャイーなどに共通する感度の良さが身上。そのうえで、音のテクスチャーがよくわかり、局面局面での語りかけてくる音楽のボキャブラリーが豊か。だからリスナーに安心感をあたえ、かつ飽きさせない。

 はっきり言えば、原曲が多少退屈で、中だるみがあったとしても、それをカヴァーするようなテクニックをもっている(ロシア管弦楽集などで遺憾なく発揮)。カラヤンがそうであったように。

 チャイコフスキーの6番は、彼が自信をもって高く評価しこよなく好きなのだろう。その相乗効果ゆえか、こんなに良い曲だったのかと久しぶりに聴いて心動いた。6番ではジュリーニ以来の驚きである。
 
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC-%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC6%E7%95%AA%E3%80%8C%E6%82%B2%E6%84%B4%E3%80%8D%E3%80%81%E5%B9%BB%E6%83%B3%E5%BA%8F%E6%9B%B2%E3%80%8C%E3%83%AD%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%81%A8%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%8D-%E3%82%B2%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%82%A8%E3%83%95-%E3%83%AF%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%83%BC/dp/B0030AHB68/ref=pd_sim_m_5

日曜日, 2月 26, 2012

チェコ・フィルの「新世界から」


オーケストラ: Czech Philharmonic Orchestra, チェコ・フィル

指揮: Jiri Belohlavek, イルジー・ビェロフラーヴェク

作曲: Antonin Dvorak, ドヴォルザーク

CD (2002/5/23)
         
演奏: チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮: アシュケナージ(ウラディーミル)
作曲: ドヴォルザーク
CD (2008/6/25)


演奏: チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮: 小林研一郎
作曲: ドヴォルザーク
CD (2008/9/24)


演奏: チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮: マーツァル(ズデニェク)
作曲: ドヴォルザーク, ブラームス
CD (2011/2/23)

演奏: チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮: クーベリック(ラファエル)
作曲: ドヴォルザーク, モーツァルト
CD (2002/6/21)




演奏: チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

指揮: アンチェル(カレル)

作曲: ドヴォルザーク

CD (2003/3/26)




演奏: チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

指揮: ノイマン(ヴァーツラフ), コシュラー(ズデニェク)

作曲: ドヴォルザーク

CD (2003/7/23)

久しぶりにCDラックから取り出して聴く。チェコ・フィルという楽団は、この曲に関する限り、他の追随を許さぬ絶対の自信をもっていると感じる。本盤以前、チェコ・フィルでは、カレル・アンチェルの名盤があり、また、その後クーベリックの熱き演奏にも心は躍った。本盤が世にでた直後、アンチェル盤の盛名はなお高かったが、いまや本盤の評価は揺らがぬものとなっている。
1974628日東京(都民劇場)で、この組み合わせによって、「モルダウ」、「タラス・ブリーバ」そして本曲を聴いた。陶酔の時間といってよい見事な演奏だった。

ノイマンの指揮の「先生」は、同じヴァツラフの名をもつターリッヒであり、ノイマンはチェコ・フィルでヴィオラ奏者になる一方、結成直後のスメタナ弦楽四重奏団にも加わった。しかも、その3年後、クーベリック急病で指揮を代演。その成功によってチェコ・フィルの首席指揮者に抜擢される。弱冠28才であった。その20年後の1968年に再び、同団の首席指揮者に就任するが、それ以前はコンビチュニーの後任としてゲヴァントハウスの楽長を務めていたのだから、その力量は同時代でも群を抜いていたことがわかる。
ノイマンの特質は、全体に安定したテンポのもと、弱音部の弦楽器の清澄な美しさにあり、かつ木管楽器との得も言われぬ融合感にある。過度なダイナミズムを抑制しつつ、柔軟でシルキーな音色は形容しがたい深い美音である。この特質は、マーラーの交響曲全集でも、出色のブルックナー交響曲1番でも共通する。
ノイマンは、同団出身の名ヴィオラ奏者であり、同団の良さを熟知している。本曲に関する「最強」の組み合わせであり、同団の美点をあますところなく表出している。30年前の録音ながら、いまだ第一等の位置にあると思う。

金曜日, 2月 24, 2012

モンテヴェルディ Ⅵ




【以下は引用】



HMV レビュー

ガッリード/『倫理的・宗教的な森』(4CD)



モンテヴェルディの最後の大作、『倫理的・宗教的な森』がガッリードの指揮で登場です。モンテヴェルディは、40代半ばにヴェネツィアのサンマルコ教会の楽長に就任し、なくなる年までその任にありました。この時代の数多くの宗教からモテットなどを多数集めて1640年に出版されたのが『倫理的・宗教的な森』です。

 作曲家モンテヴェルディの粋が集まったこの作品を、ガッリードがみごとに再現。彼は、1641年に出版された版をもとに研究をかさね、注意深く作品を分析し、作品を4つの部分にわけています。

 第1部は『宗教的な典礼』と題して、4声の無伴奏ミサ曲、協奏的ミサ曲など、第2部は『晩課』と分類し、“主はわが主に言われた”と“主を恐れるものは幸いなり”、そして“マニフィカト”。第3部はこの録音の最も革新的な部分で、この森の曲集の中からガッリード自身がクリスティアン・マルティルスに捧げるとして“マルティーリの晩課”を新たに編みなおしました。当時よく歌われたそして第4部は個々人と神との関係に焦点をあて、聖母マリアの嘆きなどが納められています。経験と訓練から得られた、まさにモンテヴェルディの演奏のひとつの金字塔と呼ぶにふさわしい力演です。

 ハルモニア・ムンディより登場する新レーベル『AMBRONAY』からのリリースです。



AMBRONAY

フランスの古都アンブロネーは、音楽の聖地です。アンブロネーには、1000 年の歴史をもつ石造りの修道院があり、その音響はまさに最高、数々の演奏家たちを魅了しつづけてきました。その修道院では、四半世紀にわたって古楽フェスティヴァルが毎年開催されています。エスペリオンXXI& サヴァール、ザ・レア・フルーツ・カウンシル、レザール・フロリサン・・・極上の演奏者たちが集まり、素晴らしい音響の修道院内で毎晩開かれるコンサートは、実に親密な雰囲気で贅沢きわまりないものです。こんな夢のようなコン

サートを皆様にお届けすべく、アンブロネー音楽祭が自主レーベルを立ち上げました。ハルモニア・ムンディを通して全世界にディストリビューションされるこのとびきりの古楽の演奏を、是非ご堪能ください。(キング・インターナショナル)



・モンテヴェルディ:『倫理的・宗教的な森』(4CD)



 アディリアーナ・フェルナンデス、フィリップ・ヤロフスキ、

 ファビアン・ショフリン、ステファン・ファン・ダイク、

 スィリル・オーヴィティ、ベルトラン・シュヴェル、

 ステファン・アンボーデン、セルジオ・フォレスティ、

 ローザ・ドミンゲス、クリストフ・カレー

 ル・プティ・シャントゥール・ドゥ・サン=マルク



 エリマ・アンサンブル

 ガブリエル・ガッリード(指揮)



HMV レビュー

鬼才カヴィーナ&ラ・ヴェネクシアーナ最新作!

モンテヴェルディ晩年の大作"倫理的、宗教的な森"が登場!



「マドリガーレ集第1巻&第9巻」(GCD920921)のリリースにより、モンテヴェルディのマドリガーレ集全巻の録音完結という大いなる金字塔を打ち立てた鬼才クラウディオ・カヴィーナ率いるイタリアのヴォーカル・アンサンブル"ラ・ヴェネクシアーナ"。作曲者不詳のルネサンス喜劇の題名をアンサンブルの名前に冠し、イタリアのマドリガーレの演奏で世界最高と謳われるほどの地位を確立した"ラ・ヴェネクシアーナ"が、"世俗歌曲"であるマドリガーレの完結に続いて発表する最新作は、モンテヴェルディの監修の下で1640年に出版された"宗教曲"集「倫理的、宗教的な森」。



「倫理的、宗教的な森」は、当時楽長の任にあったヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂の礼拝のために作曲された全40曲のモテットとミサを収めた壮大な規模の宗教曲集であり、1610年にヴェネツィアで出版された「聖母マリアの夕べの祈り」と並ぶモンテヴェルディの宗教作品の代表作です。カヴィーナ&ラ・ヴェネクシアーナは、2007年の来日時にこの「倫理的、宗教的な森」を取り上げ大絶賛を博しており、ラ・ヴェネクシアーナのモンテヴェルディに"世俗歌曲"(マドリガーレ集)、"舞台作品"(オルフェオ)に続く"宗教曲"が遂に加わります。



・モンテヴェルディ:倫理的、宗教的な森(聖ガブリエーレ・アルカンジェロの祈り/聖ジュゼッペの祈り/ミサ・ソレムニス)

 ラ・ヴェネクシアーナ

 クラウディオ・カヴィーナ(指揮)

 録音:20053月、クエンカ・サン・ミゲル大聖堂(スペイン)でのライヴ


『倫理的・宗教的な森』 コルボ&ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル(6CD)


HMV レビュー

モンテヴェルディ:『倫理的・宗教的な森』(6CD)

コルボ&ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル



しぶい曲名とは裏腹に、冒頭から壮麗な美しさで聴き手を虜にする傑作『倫理的・宗教的な森』は、クラウディオ・モンテヴェルディ[1567-1643]を代表する宗教音楽の傑作のひとつ。

 マントヴァで22年を過ごし、『オルフェオ』や『聖母マリアの夕べの祈り』といった傑作を書いてその実力を高く評価されたモンテヴェルディは、1613年、46歳の時には、ヴェネツィアのサン・マルコ寺院の楽長に就任、以来、亡くなるまで30年に渡って同地で旺盛な活動を展開、宗教音楽からマドリガルやオペラまで音楽史に残る傑作を数多く書き上げることとなります。

 晩年に出版された『倫理的・宗教的な森』は、そうしたモンテヴェルディによる宗教音楽の集大成ともいえる作品集で、全40曲のモテットとミサから構成されています。敬虔な美しさだけでなく、ときに劇的な効果や転調の面白さなども盛り込んだ作風は変化に富む多彩なものです。

 モンテヴェルディ作品の演奏に尽力してきた名指揮者、ミシェル・コルボの演奏は、この曲集初の本格的な録音というばかりでなく、作品の真価を初めて世に知らしめた優秀な演奏としても有名なもので、長年に渡って『倫理的・宗教的な森』の決定盤とされてきたものです。

 ローザンヌ声楽アンサンブルを結成して精力的な活動をおこなっていた当時のコルボはまだ30代なかばの若さ。モンテヴェルディについて「最も共感できる作曲家」と語り、その音楽にかける情熱は、同時代のドイツにおけるカール・リヒターのバッハへの傾倒にも喩えられたほどでした。

 生誕400年を期に取り組まれたこの『倫理的・宗教的な森』の録音でも、独特の魅力を持つ美しい演奏により、モンテヴェルディ普及に大きな役割を果たすこととなります。(HMV)



【収録情報】

モンテヴェルディ:『倫理的・宗教的な森』

~サン・マルコ寺院のための宗教的作品集

Disc1

・われ、よろこびに満てり

・主が建て給わずは

・しもべらよ、讃めたたえよ

・聖母のための連祷

・人々よ馳せ来たれ

・おお、めでたき道

・グローリア

・めでたし元后



Disc2

・もろもろの国よ、主よ讃めたたえよ第1

・われ主に感謝せん第2

・マニフィカト第1

・主、わが主にのたもう第2

・おお、盲いたひとよ

・わたくしの嘆息をきくあなたがた

・かくて、ふたたび

・おお神よ、真心をつくして戦った

・主を讃めたたえよ

・マニフィカト第1



Disc3

・おおわが魂よ、逃れゆけ

・われらは主をあがめ

・われは眠りたれども

・来たれ、汝ら渇ける者よ

・われ主に感謝せん第3

・そのとき日がのぼり

・わたしに恋をのぞむ人は

・いざ、ほまれたかき殉教者たち

・主を畏るる者はさいわいなり第2

・しもべらよ、讃めたたえよ第2

・歓びの声をあげよ

・その憂いを心にとめ給え

・モテト「われ永遠より立てられ」



Disc4

・主が建て給わずば

・われ主に感謝せん

・主、わが主にのたもう

・もろもろの国よ、主を讃めたたえよ

・主にむかいてうたえ

・キリストよ、われらは主をあがめ

・めでたし元后

・主よ、われらを懲しめ給うなかれ

・聖母マリアよ

・エルサレムよ、主を讃めたたえよ

・主、わが主にたのもう第1

・めでたし元后



Disc5

・この主の証聖者は

・主を畏るる者はさいわいなり第1

・われ主に感謝せん第1

・めでたし元后

・もろもろの国よ、主を讃めたたえよ第2

・かくて蘇えり給いて

・主を畏るる者はさいわいなり

・めでたし元后

・われ主に感謝せん

・主、わが主にのたまう



Disc6

・おお、戴きイエズスよ

・おお、いと麗わしき

・この日を感謝せん

・われ、喜びにみてり

・しもべらよ、讃めたたえよ第1

・聖母の嘆き

・かくて十字架にかけられ

・いざ殉教者らを讃めうたえ第2

・もろもろの国よ、主を讃めうたえ第3

・主に向いてうたえ第2

・エルサレムよ、主よ讃めたたえよ

・神が調えうた宴を見よ

・われは野原の花

・われは信ず



 ヴァリー・シュテンプリ(ソプラノ)

 イヴォンヌ・ペラン(ソプラノ)

 マガリ・シュヴァルツ(アルト)

 クローディーヌ・ペラン(アルト)

 ピエール=アンドレ・ブラセール(テノール)

 オリヴィエ・デュフール(テノール)

 エリック・タピー(テノール)

 ヴァンサン・ジロー(バリトン)

 フィリップ・フッッテンロッハー(バリトン)

 フランソワ・ループ(バス)

 オスカー・ラッガー(バス)

 ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル

 ミシェル・コルボ(指揮)



 録音時期:19671969

 録音方式:ステレオ(セッション)

モンテヴェルディ Ⅴ




【以下は引用】



HMV レビュー

 モンテヴェルディ:『愛の劇場』

ジュエル・ボックス、44ページ・ブックレット(ノート、歌詞テキスト:英/仏/独)



 プルハール&ラルペッジャータのヴァージン・レーベル初録音。ジャルスキーほかのゲストと共にモンテヴェルディの音楽を、感性と学級的なアプローチと即興との絶妙なブレンドで繰り広げる興奮のバロック・ジャム・セッション。

 オーストリア生まれのハープ、リュート奏者のプルハールが主宰するラルペッジャータはヨーロッパの名奏者のグループでバロックや伝統音楽の歌手たちもイレギュラーに参加。彼らは17世紀のフランス、イタリア、ナポリの音楽を中心に活動しており、過去に他レーベルへの録音はすでに20万枚のセールスを記録。

 本録音はモンテヴェルディの作品からのオムニバス的に組み合わせて独自のアルバムに仕上げています。録音はユトレヒトのヴレデンベルグ・コンサート・ホール(彼らが2006年のフェスティヴァルでレジデンツ・アンサンブル)で行われています。(EMI)



・トッカータ

Ohime ch'io cado/ジャルスキー

Pur ti miro/リアル、ジャルスキー

Damigella tutta bella/リアル、ジャルスキー、ファン・エルザッカー、オーヴィティ、フェルナンデス

Amor(ニンフのラメント)/リアル、ファン・エルザッカー、オーヴィティ、アッハテン

Si dolce d'l tormento/ジャルスキー

・シンフォニアとモレスカ

Interrotte speranze/オーヴィティ、ファン・エルザッカー

Chiome d'oro/リアル

Oblivion suave/ジャルスキー

Hor ch'el ciel e la terra(第1部)/リーナー、アーミショウ、ジャルスキー、ファン・エルザッカー、オーヴィティ、アッハテン、フェルナンデス

Tempro la cetra/オーヴィティ、ファン・エルザッカー

・バッロ

Con che soavita(1声と9つの楽器のためのコンチェルタート)/リアル

Vago augelletto, che cantado vai/トート、アーミショウ、ジャルスキー、ファン・エルザッカー、オーヴィティ、アッハテン、フェルナンデス

Zefiro torna(チャッコーナ)/リアル、ジャルスキー

 ヌリア・リアル(ソプラノ)

 フィリップ・ジャルスキー(カウンターテナー)

 シリル・オーヴィティ(テナー)

 ヤン・ファン・エルザッカー(テナー)

 ジォアン・フェルナンデス(バス)

 ラルペッジャータ

 クリスティナ・プルハール(指揮)

HMV レビュー
 音質向上 名盤復活
アリア・ヴォックス・ヘリテージ・シリーズ
モンテヴェルディ:戦いと愛のマドリガル集、ラメンティ(2SACD)

サヴァールの旧作を最新技術で蘇らせるヘリテージ・シリーズ。最新作はフィゲーラスを擁したモンテヴェルディの作品集。
 発売当時、モンテヴェルディの2作は、彼の声楽曲の演奏における第一人者という、フィゲーラスの名声を確立した録音です。これは、それまでに彼女が培った古楽の演奏法を糧にしつつ、歌唱と装飾法のバランス、例えば、どの部分を強調するのかなどといった点に個性的な解決策を見出し、実践した成果です。フィゲーラスの豊かで流麗な声が、聴く者の身を音楽に委ね、心から楽しませてくれます。
 初発売当初から名盤の声が高いアルバムが、その特長を生かした、より美しい音で蘇りました。デジパック仕様。(キングインターナショナル)

【収録情報】
DISC1 (56:52)
モンテヴェルディ:『戦いと愛のマドリガル集(マドリガル集第8巻)』
・『人がアモルを歌おうとも』
・『狡猾な敵がやって来る』
・『皇帝フェルディナンド3世のためのバッロ』
5声のシンフォニア、
・『人がマルスを歌おうとも』
・『ニンフの嘆き』
6声のシンフォニア(カンターテ・ドミノより)
・『天も地も風も黙する今』

 ラ・カペッリャ・レイアル・デ・カタルーニャ
 エスペリオンXX
 ジョルディ・サヴァール(指揮)

 録音時期:19949
 録音場所:フランス、アルザス州リボヴィレ、プロテスタント教会
 録音方式:デジタル(セッション)

DISC2 (62:10)
モンテヴェルディ:
・『おお私は傷つき、倒れる』
・『恋文』
・『苦しみが甘美なものなら』
・『アリアンナの嘆き』
・『あの軽蔑のまなざし』
・『サルヴェ・オー・レジーナ(めでたし天の女王)』
・『おお何と美しい』
・『喜べ、シオンの娘たちよ』
・『聖母の嘆き』
・『来たれ、見よ』

 モンセラート・フィゲーラス(ソプラノ)
 トン・コープマン(チェンバロ、オルガン)
 アンドリュー・ローレンス=キング(ハープ)
 ロルフ・リスレヴァン(テオルボ)
 パオロ・パンドルフォ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 ローレンツ・ドゥフトシュミット(ヴィオローネ)

 録音時期:19894
 録音場所:イタリア、レッジョ・エミーリア県、サン・マルティーノ、教区教
 録音方式:デジタル(セッション)


HMV レビュー
モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り(2CD)
ファソリス&イ・バロッキスティ

【収録情報】
・モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り(1610

 マリネッラ・ペンニッキ(ソプラノ)
 アンナ・シムボリ(ソプラノ)
 ロベルト・バルコーニ(カウンター・テナー)
 ファビアン・ショフラン (カウンター・テナー)
 マルコ・ビーズリー(テノール)
 ルカ・ドルダロ(テノール)
 サンドラ・ナーリア(テノール)
 ジュゼッペ・マレット(テノール)
 ダニエレ・カルノヴィチ(バス)
 アルフレード・グランディーニ(バス)
 フリオ・ザナージ(バス)
 スイス・イタリア語放送合唱団
 スコラ・グレゴリアーナ
 モーレ・アンティクオ
 コンチェルト・パラティーノ
 イ・バロッキスティ
 ディエゴ・ファソリス(指揮)

 録音時期:19997
 録音場所:シチリア島エリーチェ、聖マルティヌス教会
 録音方式:デジタル(セッション)モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り(2CD)
ファソリス&イ・バロッキスティ

【収録情報】
・モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り(1610

 マリネッラ・ペンニッキ(ソプラノ)
 アンナ・シムボリ(ソプラノ)
 ロベルト・バルコーニ(カウンター・テナー)
 ファビアン・ショフラン (カウンター・テナー)
 マルコ・ビーズリー(テノール)
 ルカ・ドルダロ(テノール)
 サンドラ・ナーリア(テノール)
 ジュゼッペ・マレット(テノール)
 ダニエレ・カルノヴィチ(バス)
 アルフレード・グランディーニ(バス)
 フリオ・ザナージ(バス)
 スイス・イタリア語放送合唱団
 スコラ・グレゴリアーナ
 モーレ・アンティクオ
 コンチェルト・パラティーノ
 イ・バロッキスティ
 ディエゴ・ファソリス(指揮)

 録音時期:19997
 録音場所:シチリア島エリーチェ、聖マルティヌス教会
 録音方式:デジタル(セッション)
 原盤:ARTS



HMV レビュー

harmonia mundi - musique d' abord

ヘレヴェッヘが織り上げる

清冽かつ厳粛な声のタペストリー



ここに収められた4声、6声のミサ曲は、モンテヴェルディのマントヴァからヴェニスへの移行期であるとともに、第一様式から第二様式への移行期をも示しています。二つの時代の移行期に生きたモンテヴェルディは、これらの作品で、過去の芸術を総合的にまとめあげ、同時に未来の音楽語法をも形作ることに成功しています。ヘレヴェッヘによる壮麗かつ厳粛な演奏も、20年ほど前の録音とは思えない清冽さに満ちています。(キングインターナショナル)



【収録情報】

・モンテヴェルディ:4声、6声のミサ



 シャペル・ロワイヤル

 フィリップ・ヘレヴェッヘ(指揮)



 録音時期:199011

 録音方式:デジタル

モンテヴェルディ Ⅳ



【以下は引用】

HMV レビュー
クリスティ&ピッツィのモンテヴェルディ再び!
圧倒的感動の『ウリッセの帰還』!

クリスティのモンテヴェルディ第2弾! 大好評の『オルフェオ』(DYNDVD33598)に続き、クリスティ&ピッツィの豪華コンビによるモンテヴェルディが登場。今回は『ウリッセの帰還』。トロイ戦争の後、神々の怒りを買って放浪の身となり、苦難の末20年ぶりに妻と再会を果たしたウリッセ(オデュッセウス、ユリシーズ)の物語。モンテヴェルディのオペラの中では最も渋い、けれども深々とした感動のある名作です。それをクリスティとピッツィの大御所二人が手がけると言うのですから、面白くないはずがありません!
 またキャストも秀逸。熱の入ったバロックテノールとして知られるレンスブルグのウリッセを筆頭に、ライス、オヴィディ、サバタと、バロック声楽ファンなら「おお!」と喜ぶような優れた面々。ことに要所でウリッセを導くミネルヴァを歌うマルタ島出身のソプラノ、デボノの透明な声は要注目です。特典映像として、クリスティ、レンスブルグ、ライスへのインタビュー映像付きです。(キングインターナショナル)

【収録情報】
・モンテヴェルディ:歌劇『ウリッセの帰還』全曲
 コビー・ヴァン・レンスブルグ(T ウリッセ)
 クリスティーン・ライス(Ms ペネーロペ)
 シリル・オヴィディ(T テレーマコ)
 ジョゼフ・コーンウェル(T エウメーテ)
 ウンベルト・キウンモ(Bs アンティノー)
 フアン・サンチョ(T アンフィーノモ)
 シャビエ・サバタ(CT ピサンドロ)
 クレア・デボノ(S ミネルヴァ)
 ルイージ・デ・ドナート(Bs ネットゥーノ)、他
 レザール・フロリサン
 ウィリアム・クリスティ(指揮)

 演出:ピエル・ルイージ・ピッツィ
 振付:ロベルト・マリア・ピッツート
 収録時期:20094
 収録場所:マドリッド(ライヴ)

 収録時間:175
 画面:カラー、16:9
 音声:DD 5.1/LPCM 2.0
 字幕:伊英独仏西
 NTSC


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モンテヴェルディ
MONTEVERDI
1567-1643

歌劇「ウリッセの帰還」(伊語歌詞)

ヴェッセリーナ・カサロヴァ / ディートリヒ・ヘンシェル / イザベル・レイ / マリン・ハルテリウス / マルティナ・ヤンコヴァー / コルネリア・カリッシュ / ヨナス・カウフマン / ルドルフ・シャシング / ラインハルト・マイアー / マルティン・ツィセット / トーマス・モール / マルティン・オロー / パヴェル・ダニルク / ジュゼッペ・スコルシン / アントン・シャリンガー / ボグスワフ・ビジンスキ / シンティッラ管弦楽団(チューリヒ歌劇場より) / ニコラウス・アーノンクール指揮 / クラウス=ミヒャエル・グリューバー演出

ホメロスの叙事詩「オデュッセイア」の 第1323巻に基づく、モンテヴェルディ(1567-1643)のオデュッセウス歌劇の存在は、240年の間知られていませんでした。歌劇の発見からまもなく、ルネサンスからバロック時代への発端となる重要な作品として賞賛されることになりました。指揮者のアーノンクールは様々な資料より、時代に忠実な器楽編成についての理論を展開しています。1970年代、チューリヒ歌劇場においてモンテヴェルディ・チクルスで大成功を収めたこの歌劇は、ジャン=ピエール・ポネルによる独創性に富んだ演出を見せました。この上演作品では、ピッコロ・テアトロで演出家ストレーレルに師事し、カラックス監督による映画「ポンヌフの恋人」などで素晴らしい演技を披露しているグリューバーが演出を担当しています。現在を代表する最も優れた歌手カサロヴァとヘンシェルがこの作品を忘れられないものにしています。

2002年、チューリヒ歌劇場で収録 / 英・伊・仏・西・日本語字幕付き / 16: / PCMステレオ/ドルビー・デジタル5.1 / 片面二層ディスク(DVD9 / 155


アーノンクール/モンテヴェルディ:歌劇《ウリッセの帰還》ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』に登場するオデュッセウス(伊名ウリッセ。英名はユリシーズ)に材をとる《ウリッセの帰還》は、モンテヴェルディの残存する数少ない上演可能な作品のひとつ。トロイ戦争の英雄、ウリッセが故郷へ帰還する途中の苦難を克服し、彼の帰りを待ちわびる妻・ペネーロペと再会を果たす物語です。アーノンクールはやはりチューリヒでポネル演出の記念碑的な上演を果たしていますが(1980年映像収録)、今回は演出にクラウス=ミヒャエル・グリューバーを迎えています。わかりやすい象徴的手法を採ったシンプルながらも独特の統一感を持つ装置は、心理劇としての側面にも目を向けるものといえましょう。2002年チューリヒ歌劇場での収録。アーノンクールの音楽づくりは充実の極みで、古楽器の響きが存分に楽しめる上、十全な歌唱陣共々、最上の演奏を聴かせてくれます。ディートリッヒ・ヘンシェルは歌唱・姿形揃う傑出したウリッセ。第1幕大詰めでウリッセが息子・テレーマコと真実の再会を果たす場面は胸に迫るものがあります。また、黒衣に身をやつし、夫の帰還を待つ貞淑な妻を、感情を込めつつも抑制された演技で見事に表現するヴェッセリーナ・カサロヴァの歌唱が素晴らしいのはもちろんですが、対照をなす侍女メラントを演じるマリン・ハルテリウスの開放的で涼やかな好演も印象的。夫の帰還が信じ切れない妻へウリッセが切々と語り聞かせペネーロペの心を開いていく終盤では、モンテヴェルディの哀歓のこもった音楽、カサロヴァやヘンシェルたちの歌唱、表情、つつましい演技が一体となり、幸福な大団円を演出する心に残る幕切れとなっています。日本語字幕付き155分。イタリア語歌詞を字幕で参照することも可能です。

 

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ネーデルラント・オペラ1998
モンテヴェルディ:『ウリッセの帰還』

近代オペラの道筋を作ったモンテヴェルディの、現存する3つのオペラの一つ『ウリッセの帰還』。ホメロスの叙事詩「オデュッセイア」に基づいており、ギリシャの英雄オデュッセウス(ウリッセ)が、艱難辛苦を乗り越え20年ぶりに故国イタカに戻ったところから物語が始まります。演出を手がけたオーディは、お得意のシンプルかつ虚飾を排した舞台で、作品の本質をくっきりと浮かび上がらせます。
 指揮台にのぼったのは古楽鍵盤奏者の重鎮グレン・ウィルソン。オリジナル楽器によるアンサンブルと、ロルフ・ジョンソン、ブライアン・アサワ、トビー・スペンスら実力派歌手を率い、息の合った躍動感ある音楽を展開します。

【収録情報】
・モンテヴェルディ:歌劇『ウリッセの帰還』全曲
 ウリッセ:アンソニー・ロルフ・ジョンソン
 ペネーロペ:グラシエラ・アラヤ
 テレーマコ:トビー・スペンス
 人間の弱さ、アンフィノモ:ブライアン・アサワ、他
 ネーデルラント・オペラ・バロック・オーケストラ
 指揮:グレン・ウィルソン
 演出:ピエール・オーディ

 収録時期:199810
 収録場所:アムステルダム音楽劇場(ライヴ)

・特典映像:イントロダクション(約18分):出演者インタビューと舞台裏

 収録時間:全プログラム167分(本編149分)
 画面:カラー、16:9
 音声:リニアPCM48kHz/16bitステレオ、DTS 5.1ch
 字幕:英・仏・独・西・伊・蘭
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