◇ピアノ・ソナタ
絶品のモーツァルト、ハスキルの芸術 (amazon.co.jp)
クララ・ハスキル(1895~1960年)の活動期最後の10年間を中心とする選集。難病を抱えつつ、ピアノに全身全霊を捧げた。透明感あるモーツァルトではいまでも根強いファンが多い。グリュミオーとのヴァイオリン・ソナタ、マルケヴィチとのピアノ協奏曲第20番、第24番を聴けるだけでも本集の価値は十分。推奨します。
<収録情報>録音年別
【1934年】
・ハイドン:アンダンテと変奏曲 Hob.XVII:6
【1950年】
・D.スカルラッティ:ソナタ集(嬰ハ短調 K.247、ト短調 K.2、ハ長調 K.132、ト短調 K.35、嬰ホ長調 K.193、ヘ短調 K.386、ヘ短調 K.519、ロ長調 K.322、イ短調 K.87、ハ長調 K.515、ヘ長調K.437)
→ Scarlatti: Sonatas
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 スヴォボダ/ヴィンタートゥール響
【1951年】
・シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 D.960
・シューマン:色とりどりの小品 Op.99
・シューマン:ピアノ協奏曲 Op.54 オッテルロー/ハーグ・フィル
→ Schumann: Piano Concerto in A minor; Kinderszenen etc.
・ラヴェル:ソナチネ
【1954年】
・モーツァルト:ピアノ・ソナタ第10番 K.330、デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲 K.573
・モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番 K.271『ジュノーム』パウムガルトナー/ウィーン響
・モーツァルト:ロンド K.386 パウル・ザッハー/ウィーン響
・シューマン:森の情景
→ Schumann: Piano Concerto in A minor; Kinderszenen etc.
【1955年】
・シューマン:子供の情景
→ Schumann: Piano Concerto in A minor; Kinderszenen etc.
【1956年】
・J.S.バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲 BWV.1061
・モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲変ホ長調 K.365 (ピアノ)ゲザ・アンダ、ガリエラ/フィルハーモニア管
→ バッハ:2台のピアノのための協奏曲第2番、モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲
・モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第32番 K.454、第35番 K.526 (ヴァイオリン)グリュミオー
→ モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集
【1957年】
・ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第1番、第4番、第5番『春』、第6番、第9番『クロイツェル』 (ヴァイオリン)グリュミオー
→ ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」、第6番、第7番(モノラル録音)
→ ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第8番~10番(モノラル録音)
【1960年】
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 アンセルメ/スイス・ロマンド管
・モーツァルト:『ああ、お母さん聞いて』による12の変奏曲
・モーツァルト:きらきら星変奏曲ハ長調 K.265
・モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 K.466、第24番 K.491 マルケヴィチ/ラムルー管
→ モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番・第24番
◇協奏曲20番、24番
自然な心理の起伏感、凛然としたスタイル (amazon.co.jp)
ハスキルはモーツァルトの協奏曲、とりわけ20番をこよなく愛し得意としていた。スヴォボダ/ヴィンタートゥール交響楽団(1950年9月)、イッセルシュテット/ベロミュンスター・スタジオ管(1952年12月)、フリッチャイ/ベルリン放送響(1954年1月)、パウムガルトナー/ウィーン響(1954年10月)などのほか、唯一のステレオ録音が本演奏。一方、24番は、クリュイタンス/フランス国立放送管(1955年) Andre Cluytens - Noble Maitre de Musique の名盤も知られているが、両番ともこのマルケヴィチ/ラムルー管(1960年11月)盤は出色の記録である。
ハスキルとマルケヴィチ/ラムルー管は、揺ぎない信頼感に支えられており、本盤以前に、すでにベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番(1959年12月)、ショパン:ピアノ協奏曲第2番、ファリャ:『スペインの庭の夜』(いずれも1960年10月)を収録しており相性の良さでは定評がある。
ハスキルのモーツァルト演奏の特質は、自然な心理の起伏感と凛然としたスタイルが融合していることにあるように思う。しかも苦労と激動の人生、折節その演奏の積み重ねによって、協奏曲のみならず、グリュミオーとのヴァイオリン・ソナタ Great Chamber Music などでも、ときに神々しいまでの高みに達しているように感じる。
半世紀以上もまえの記録であり、いまや録音の古さは否めないが、ハスキルの代表盤であり、語り継がれるその至芸に思いをはせるにふさわしい1枚。
◇協奏曲27番
ハスキル&クレンペラー、至福のひととき (amazon.co.jp)
モーツァルトの27番のコンチェルトでは ルドルフ・ゼルキン 盤を好むが、ハスキルの魅力はそれをうわまわる。美しく気品があり、そして優しい。この演奏に接していると、技巧を超越した純粋さを自然に感じることができる気がする。
ハスキルは、どこか蜻蛉のようなはかなさを漂わさせているのだが、しかし、注意深く耳をすませば、そこには、強くたしかな生の息吹がある。しかもそれは基調として明るい。クレンペラーは、不即不離の最良のパートナーのように慎重、かつ頼もしい寄り添い方である。本曲では、いままで聴いたベストのライヴ演奏盤である。
→ Klemperer live in Concert にて聴取。
◇ヴァイオリン・ソナタ
ここではクララ・ハスキルの深い演奏に感嘆する。ルーマニア生まれで、生涯難病と闘いながら、研ぎ澄まされた感性を磨きつづけたピアニストである。グリュミオーはハスキルがもっとも音楽的に信頼したパートナーの一人であり、それゆえに、この詩情に満ちたモーツァルトの名品で文字通り、二人三脚とも言える独自の秀演を残してくれた。
”崇高(たか)きものを求めし ミューズの使者達が 心ひとつになるとき かくもあらんと奏したるモーツァルトの透明な響きに 光り溢れる”
→マルケヴィッチとの素晴らしい成果もある。 モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番・第24番 も参照。
◇ライブの名演から
豪華な陣容 ルガーノ、アスコーナ他のライヴ集 (amazon.co.jp)
織工Ⅲ: クララ・ハスキル Clara Haskil (shokkou3.blogspot.com)
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