月曜日, 3月 21, 2022

大地の歌 名盤5点  Mahler: Das Lied von der Erde


 










ワルター

フェリアー、伝説の「告別」歌(大地の歌) (amazon.co.jp)


キャスリーン・フェリアーのマーラー演奏はいまに聴き継がれている。第2番(クレンペラー) Mahler/ Symphony No.2  、第3番(ボールト) Symphony No.3 Kindertotenlieder  のほか、第4番 Mahler: Symphony No.4  とこの「大地の歌」(  Gustav Mahler: The Symphonies, Das Lied von Der Erde(The Song of The Earth)  所収)はワルターとの共演である。

フェリアーは翌年、41才の若さで病没するので、結果的に彼女の晩年の貴重な音源となり、しかも本曲第6楽章は「告別」なので、そのアナロジーからも伝説になった録音である。
けっして美声とは言えないだろうが、芯の通った独特の声であり、かつ低音部の迫力がオーケストラに負けていないことがフェリアーの特質であり、偶数楽章はバリトンでも演奏可の本曲において、フェリアーに最もふさわしい演目であったかも知れないと思う。
ワルター/ウィーン・フィルの響きは(ワルター/ニューヨーク・フィル1960年盤に比べても)思いのほか重いのだが、その重みに耐えているような悲痛な詠唱である。その迫力と説得力は余人を寄せつけない。

なお、ワルターのマーラー演奏のラインナップについては、 
The Original Jacket Collection:Bruno Walter Conducts Famous Mahler & Bruckner  も参照。また、ワルターの「大地の歌」については、前述の  マーラー:交響曲「大地の歌」  も重要で、録音の良さも加味して一般的に選ぶのならこちらに軍配を上げるべきかも知れない。

織工Ⅲ: ワルター マーラー「大地の歌」 (shokkou3.blogspot.com)


ベイヌム

ベイヌム盤、へフリガーの名唱 (amazon.co.jp)


「大地の歌」では、1960年ワルター/ニューヨーク・フィル盤  マーラー交響曲「大地の歌」  が座右の1枚だが、ここではエルンスト・ヘフリガー(テノール)の独唱が他に代えがたい深い詠嘆を湛えており、心に染み入るものである。本ベイヌム盤は遡って1956年12月3~8日の収録だが、同じくへフリガーの登壇、くわえて、ナン・メリマン(メゾソプラノ)もクリアで伸びのある名唱である。なお、この2人+コンセルトヘボウの組み合わせでは、その後1963年のヨッフム盤もある。
ベイヌム盤は、最大限、歌手の力量とオーケストラとの融合を示すことに注力しているように思う。そして、それは成功しており、本曲は交響曲というよりも一大歌曲集といった様相である。しかもへフリガーの明瞭な発音、明燦な声とコンセルトヘボウの音質が全体のトーンを明るくし、見通しのよい演奏となっている。

➡  
beinumVol.2  にて聴取

織工Ⅲ: ベイヌムの先駆性 マーラーとブルックナー (shokkou3.blogspot.com)


デイヴィス

C.デイヴィス、端正で見事な「大地の歌」 (amazon.co.jp)


  大地の歌には、ワルターの数種の規準盤的な名演(1938、1952、1960年  マーラー:交響曲「大地の歌」 )がある。その後、「互角の秀演」と世間を驚かせたのがクレンペラー(1966年  マーラー:交響曲「大地の歌」 )だが、有名な逸話ながらデイヴィスのデビューは1959年、クレンペラーの代役を務めたことが切っ掛けであった。マーラーの取り上げについても両大家の先行成果は十分に研究をしていたことだろう。

 デイヴィスは、「大地の歌」のほかマーラーの交響曲では1,4,8番などの録音を残している。合唱曲を得意としており、かつベルリオーズの泰斗である特質からか、マーラーでも1番以外は声楽入りの曲を好みソリストを厳選して慎重に録音に臨んでいるように思う。

 こよなく美しい叙情性を湛えたワルター、剛の者の野太さが背後にあるクレンペラーに対して、1981年録音のデイヴィス盤は、双方の良さを併せ持つような出来ばえである。本盤は、ワルター、クレンペラー両演奏に対して、全6楽章のうち、テノール・パートは早く、アルト・パートはじっくりと遅めの運行である。特に、第6楽章「告別」の演奏時間は約35分で、これはクレンペラー盤にくらべて約5分半、ワルター盤にくらべて約6分半以上も長い。その一方、デイヴィスは、全体としては実にすっきりとした、清清しいマーラー像を描いている。ジェシー・ノーマン、ジョン・ヴィッカーズともに抜群の詠唱だが、特にノーマンは伸びやかに歌っており、こんなに自然体のマーラーに出会うのは稀有である。端正で見事な演奏と思う。

→  
Philips Years  にて聴取

織工Ⅲ: サー・コリン・デイヴィス マーラー「大地の歌」 (shokkou3.blogspot.com)


クレンペラー

オットー・クレンペラー/マーラー: 交響曲、大地の歌<限定盤> (tower.jp)

バーンスタイン

レナード・バーンスタイン/マーラー:交響曲≪大地の歌≫ (tower.jp)


👉 織工Ⅲ: 名盤5点 シリーズ (shokkou3.blogspot.com)


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