土曜日, 5月 14, 2022

ベートーヴェン:交響曲 ~米国メジャー・オケの名盤


 









1番:ムーティ/フィラデルフィア管

リッカルド・ムーティ/ベートーヴェン:交響曲 第5番≪運命≫ 第1番 (tower.jp)

ムーティ、現代最高のシェフの実力 (amazon.co.jp)


2番:セル/クリーヴランド管

セル、特筆すべき第2楽章ラルゲットの美しさ (amazon.co.jp)


軽快でありながら、緻密に配された起伏があり、安易に流れる音楽ではなく、ごつごつした質感がある。小気味の良いリズム感が強調された第1楽章から、柔らかさのある第2楽章ラルゲットへ転換。クリーヴランドの弦楽器の美しさが映える。厳格なインテンポでの弦楽器の磨かれたサウンドは室内楽的であり、これにかぶさる木管楽器は表情に富む。本曲の最大の聴かせどころだろう。
第3楽章、短いスケルツォは楽しげな舞曲風に駆け抜ける。終楽章はテンポを上げて堂々と締めくくる。総休止や長いコーダなど後世、ブルックナーへ与えた影響なども連想しながら、明るいエンディングは爽快である。


3番:マルケヴィッチ/シンフォニー・オブ・ジ・エア

マルケヴィッチによるトスカニーニ追悼盤 (amazon.co.jp)


シンフォニー・オヴ・ジ・エアー(SOA)の「英雄」では、ワルターによる1957年2月3日カーネギーホール・トスカニーニ追悼演奏会ライヴ盤が有名。さて、本盤の録音は1956年12月19~21日および1957年1月30日である。トスカニーニの死は1月16日であり、相前後して収録されたことになる。
SOAはトスカニーニ所縁の楽団であり、マルケヴィッチは4年前のトスカニーニ/NBC響盤を当然研究していたことだろう。
実はそうしたことを意識しないで本盤に接して、
 トスカニーニ「英雄」 との共通性を感じた。マルケヴィッチらしく均整のとれた新即物主義的な演奏に唸ったが、そうしたなか、第2楽章はテンポを落とし、葬送行進曲への深い感情移入が滲みだしている。そして上記の経緯を知った。
これはマルケヴィッチによるトスカニーニ追悼盤であり、その緻密な演奏がワルターの名盤の基礎にもなっているのではないか。そう思って聴き直してみると一層、本盤の価値に思いがいたった次第である。


ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」(サンフランシスコ響/小澤征爾) - 00028942633322 - NML ナクソス・ミュージック・ライブラリー (naxos.jp)


4番:モントゥ―/ボストン響

ピエール・モントゥー/ベートーヴェン: 交響曲第4番、エルガー: エニグマ変奏曲 (tower.jp)


5番:ライナー/シカゴ響

フリッツ・ライナー/ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」&第7番  (tower.jp)

織工Ⅲ: ライナーのベートーヴェン (shokkou3.blogspot.com)


ベートーヴェン:交響曲第5番、第7番(ニューヨーク・フィル/ズヴェーデン) - 00028948168682 - NML ナクソス・ミュージック・ライブラリー (naxos.jp)


6番:バーンスタイン/ニューヨーク・フィル

大胆にして、屈託のない朗々とした表現 (amazon.co.jp)


バーンスタインの第6番では、後年ウィーン・フィルとの 第6番&レオノーレ序曲第3番 もあるので、どちらを選ぶかはリスナーの好み如何かなとも思います。

小生は、若き日のニューヨーク・フィルとの本盤を高く評価しています。ここでの田園風景には、カラリと乾いた空気、ほどよき陽光の照り、あたかもそこに集う人々の談笑が聞えてきそうな雰囲気があります。古いキャッチフレーズですが「明るい農村」という言葉を思いだしました。しかし、ここまで大胆にして、屈託のない朗々とした表現ができるのは、バーンスタインの鋭い感性とニューヨーク・フィルとの“納得づくの音づくり”の成果ゆえでしょう。「田園」で最も好きな1枚です。


織工Ⅲ: バーンスタイン ベートーヴェン 交響曲全集 (shokkou3.blogspot.com)


7番:ショルティ/シカゴ響

第7番、最右翼の名演 (amazon.co.jp)


ショルティの第7番は、1969年2月24日ウィーン・フィルの東京公演でライヴではじめて聴きました。このコンビでは 第5番&第7番 もリリースされていますが、本曲はショルティの持ち駒にして“十八番”です。手兵シカゴ響との本盤は、その凝縮感から、ウィーン・フィル盤を超える代表作だと思います。

ショルティの第7番は、正攻法にして音の「深さ」に特徴があり、重厚ながら透明感のある独特の音色に魅了されます。リズムとダイナミズムの精華ともいえる本曲ですが、ショルティは常に両者を融合させ最適なバランスを保っています。第4楽章を典型に、緻密にしてスケールの大きな表現を可能としているのは、ショルティと結束したシカゴ響の高度な技量あればこそでしょう。第7番ではいまも最右翼の名演だと思います。


8番:クーベリック/クリーヴランド管

ラファエル・クーベリック/ベートーヴェン:交響曲第3番≪英雄≫・第8番 (tower.jp)


9番:ミュンシュ/ボストン響

シャルル・ミュンシュ/ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」  (tower.jp)

織工Ⅲ: ミュンシュの謎 Charles Munch (shokkou3.blogspot.com)

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」(ブルッガーゴスマン/オコナー/ロパード/パーペ/クリーヴランド管/ウェルザー=メスト) - 00028947771326 - NML ナクソス・ミュージック・ライブラリー (naxos.jp)


織工Ⅲ: 第九(ベートーヴェン:交響曲第9番)の名演 5点 (shokkou3.blogspot.com)

織工Ⅲ: ベートーヴェン 交響曲全集 名盤5点 (shokkou3.blogspot.com)


織工Ⅲ: アメリカ 5大オケ 名盤探訪 総括 (shokkou3.blogspot.com)

0 件のコメント: