日曜日, 8月 12, 2007

コンヴィチュニー ブルックナー8番

 コンヴィチュニー指揮ベルリン放送響の演奏(1959年12月のスタジオ収録)。これについては以前も書いた。再度、聴き直してやはり良いなあ、と思う。なによりも、大曲8番を前に妙に「構えた」感じがない。十八番にしているブルックナーをいつもどおり堂々とやろう、といった平常心の落ち着きがある。

 1959年といえば、同じベルリンで同番について、カラヤン/ベルリン・フィルの名盤が世に出された年である。これは、かってのフルトヴェングラーの演奏を意識し、カラヤン流儀でこれを凌駕しようとするような意欲作で、緊張感溢れた素晴らしいものであった。

 コンヴィチュニーも、日本で知られる以上に当地にあっては「大御所」であり、馴染みのファンも多かったろうし、本盤もその演奏の質量は充実している。しかし、それ以上にブルックナーという「素材」を存分に理解しその最良な部分を聴衆に伝えようという地味ながら、厳しいプロ意識が伝わってくる。「けれんみ」や「気負い」がないところが聴いていてかえって心地よい。ある意味、ベイヌムやレーグナーと共通するものがある。曲そのものをナチュラルに楽しんで聴ける良い演奏である。

(参考)昨年の9月8日の記録(織工Ⅱ)
 コンヴィチュニーのブルックナーも魅力的である。金管が山脈の稜線を野太く辿るように高みで鳴り響き、それがこの盤の最大の特色ともいえる。実に雄々しく鳴らせている。原典版を使用しているが、解釈はオーソドックスでテンポも安定しており、多くの同番を聴いてきた者からすれば「重量感がある見事な演奏」というのが次の感想ではないだろうか。弦楽器は録音の関係もあるかも知れないが控えめな印象をぬぐえないけれど、アンサンブルは悪くはない。1000円以下というのが信じられない価値ある1枚である。

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