インバルのブルックナー全集を(9番を除き)連続で聴いて、さすがに別のジャンルを引っぱってきたくなった。ジュリアード弦楽四重奏団のベートーヴェン中期弦楽四重奏曲にする。。82年アメリカ合衆国国会図書館クーリッジ・ホールで行われたベートーヴェン全曲演奏会のライヴ録音である。
今度も3枚組を続けて聴く。① 第7番ヘ長調「ラズモフスキー第1番」、② 第8番ホ短調「同第2番」、 第9番ハ長調「同第3番」 、③ 第10番変ホ長調「ハープ」、 第11番「セリオーソ」の5曲を所収。
この当時のメンバーは、第1ヴァイオリン: ロバート・マン(Robert Mann)、 第2ヴァイオリン: アール・カーリス(Earl Carlyss)、ヴィオラ: サミュエル・ローズ(Samuel Rhodes)、 チェロ: ジョエル・クロスニック(Joel Krosnick) である。
「Juilliard String Quartetは、アメリカニューヨークのジュリアード音楽院の校長だった作曲家、ウィリアム・シューマンの提唱により、ジュリアード音楽院の教授らによって1946年に結成された弦楽四重奏団である。ヨーロッパ出身の弦楽四重奏団のような民族色はないが、完璧なアンサンブル、緻密で明快な音楽解釈、高度な統一感のもたらす音楽表現の広さにより、現代の弦楽四重奏団の最高峰の一つとされている」 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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ぼくはこの四重奏団の演奏はたいへん現代的だと思う。劇的な表現力にすぐれテンポは早くけっしてだれない。緊張感をこれほど持続させることができるのは、4人の演奏者間相互で生み出す驚異的な集中力ゆえだろう。まして、これはライヴ盤であり、張りつめた会場の雰囲気まで伝わってきそうな迫力である(聴衆の拍手も入っている)。
ベートーヴェンはラズモフスキー伯爵によって弦楽四重奏曲の依頼を受けた。そのため3曲の弦楽四重奏曲は「ラズモフスキー四重奏曲」Op.59として出版された。
しかし、あたりまえだが、「標題」と「曲想」は全くの別もの。ベートーヴェンはここでひそかにさまざまな管弦学法の実験をしているようだ。一定のルールのうちながら、メロディの流れを自由に変えてみたり、大胆な変調を試しているのでは、と感じることがある。そのあたりの綾は十分に折り込んでのジュリアードの面々である。全般にクリア・カット、切れ味がよく、おそらくはベートヴェンの意図を現代的に翻訳した「スリリングさ」を聴かせてくれる。
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