いつもの、バーンスタイン、テンシュテット、シノーポリ、インバルなどではなく、裾野をひろげて5点を以下に。ラトルは思いのほか満足している。感性、とても瑞々しい!
◇ラトル
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/RHW76PLQHSO5/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=B071LFWN42
ラトルが2002年ベルリン・フィルのシェフに推戴されたのは、無名に近いバーミンガム市響CBSOを見事に鍛え上げ、ヨーロッパのスターダムにのせたことによる。しかも、引っ提げてきたキラーコンテンツの一つがこのマーラー・チクルスであったが、その録音記録の道のりは長い。CBSO、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルをふくめ、全集完成は1986年の第2番に始まり2004年の第8番まで18年に及ぶ。
ほかにもマーラー音源はあるが、本集では、2番(1986年4月~6月)➡6番(1989年12月)➡7番(1991年6月)➡1番(1991年12月)➡4番(1997年5月)➡3番(1997年10月)➡10番(クック編)(1999年9月)➡5番(2002年9月)➡8番(2004年6月)➡9番(2007年10月)の順の収録である。ラトルは律義にも、ベルリン・フィルのシェフ就任後もCBSOとのと録音も行っている。
ラトルはマーラーについて多く語っているが、「私が今指揮者なのは、マーラーがあったからです」こそが最も率直なる吐露だろう。初期のマーラー演奏は実に初々しく「どろどろした情念」などとは一切無縁。徐々にロスバウトばりに楽器、楽節の浮き彫りが鮮明になり、その後は、アバドのような明燦な演奏スタイルとなっていくように感じる。現代マーラー解釈の典型的記録であり、デジタル録音の鮮度を考慮すれば、聴いて損はない、破格の廉価盤集である(紙ケースはオリジナル・ジャケットを使用。23ページの簡易解説付き)
【収録情報】
◆バーミンガム市交響楽団(&合唱団)との演奏
・交響曲第1番ニ長調『巨人』(1991年12月)
➡ マーラー:交響曲第1番「巨人」
・交響曲第2番ハ短調『復活』:アーリーン・オジェー(ソプラノ)、ジャネット・ベイカー(メゾ・ソプラノ)(1986年4月~6月)
➡ マーラー:交響曲第2番「復活」
・交響曲第3番ニ短調:ビルギット・レンメルト(アルト)(1997年10月)
➡ マーラー:交響曲第3番「夏の交響曲」
・交響曲第4番ト長調:アマンダ・ルークロフト(ソプラノ)(1997年5月)
➡ マーラー:交響曲第4番
・交響曲第6番イ短調『悲劇的』(1989年12月)
➡ マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
・交響曲第7番ホ短調『夜の歌』(1991年6月)
➡ マーラー:交響曲第7番「夜の歌」
・交響曲第8番変ホ長調『千人の交響曲』:クリスティン・ブリューワー(ソプラノ)、ソイレ・イソコスキ(ソプラノ)、ユリアーネ・バンゼ(ソプラノ)、ビルギット・レンメルト(アルト)、ジェーン・ヘンシェル(アルト)、ジョン・ヴィラーズ(テナー)、デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(バリトン)、ジョン・レリア(バス)、バーミンガム市ユース合唱団、ロンドン交響合唱団、トロント児童合唱団 (2004年6月)
◆ベルリン・フィルとの演奏
・交響曲第5番嬰ハ短調(2002年9月)
➡ マーラー:交響曲第5番
・交響曲第9番ニ短調(2007年10月)
・交響曲第10番(クック編)(1999年9月)
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/RHW76PLQHSO5/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=B071LFWN42
ラトルが2002年ベルリン・フィルのシェフに推戴されたのは、無名に近いバーミンガム市響CBSOを見事に鍛え上げ、ヨーロッパのスターダムにのせたことによる。しかも、引っ提げてきたキラーコンテンツの一つがこのマーラー・チクルスであったが、その録音記録の道のりは長い。CBSO、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルをふくめ、全集完成は1986年の第2番に始まり2004年の第8番まで18年に及ぶ。
ほかにもマーラー音源はあるが、本集では、2番(1986年4月~6月)➡6番(1989年12月)➡7番(1991年6月)➡1番(1991年12月)➡4番(1997年5月)➡3番(1997年10月)➡10番(クック編)(1999年9月)➡5番(2002年9月)➡8番(2004年6月)➡9番(2007年10月)の順の収録である。ラトルは律義にも、ベルリン・フィルのシェフ就任後もCBSOとのと録音も行っている。
ラトルはマーラーについて多く語っているが、「私が今指揮者なのは、マーラーがあったからです」こそが最も率直なる吐露だろう。初期のマーラー演奏は実に初々しく「どろどろした情念」などとは一切無縁。徐々にロスバウトばりに楽器、楽節の浮き彫りが鮮明になり、その後は、アバドのような明燦な演奏スタイルとなっていくように感じる。現代マーラー解釈の典型的記録であり、デジタル録音の鮮度を考慮すれば、聴いて損はない、破格の廉価盤集である(紙ケースはオリジナル・ジャケットを使用。23ページの簡易解説付き)
【収録情報】
◆バーミンガム市交響楽団(&合唱団)との演奏
・交響曲第1番ニ長調『巨人』(1991年12月)
➡ マーラー:交響曲第1番「巨人」
・交響曲第2番ハ短調『復活』:アーリーン・オジェー(ソプラノ)、ジャネット・ベイカー(メゾ・ソプラノ)(1986年4月~6月)
➡ マーラー:交響曲第2番「復活」
・交響曲第3番ニ短調:ビルギット・レンメルト(アルト)(1997年10月)
➡ マーラー:交響曲第3番「夏の交響曲」
・交響曲第4番ト長調:アマンダ・ルークロフト(ソプラノ)(1997年5月)
➡ マーラー:交響曲第4番
・交響曲第6番イ短調『悲劇的』(1989年12月)
➡ マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
・交響曲第7番ホ短調『夜の歌』(1991年6月)
➡ マーラー:交響曲第7番「夜の歌」
・交響曲第8番変ホ長調『千人の交響曲』:クリスティン・ブリューワー(ソプラノ)、ソイレ・イソコスキ(ソプラノ)、ユリアーネ・バンゼ(ソプラノ)、ビルギット・レンメルト(アルト)、ジェーン・ヘンシェル(アルト)、ジョン・ヴィラーズ(テナー)、デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(バリトン)、ジョン・レリア(バス)、バーミンガム市ユース合唱団、ロンドン交響合唱団、トロント児童合唱団 (2004年6月)
◆ベルリン・フィルとの演奏
・交響曲第5番嬰ハ短調(2002年9月)
➡ マーラー:交響曲第5番
・交響曲第9番ニ短調(2007年10月)
・交響曲第10番(クック編)(1999年9月)
◇シャイー
シャイーの全集。均質な見事な成果。
【曲目】
マーラー: 交響曲全集 (全10曲) (交響曲第10番はクック版)
1) 交響曲 第1番
2) 交響曲 第2番 《復活》
3) 交響曲 第3番
4) 交響曲 第4番
5) 交響曲 第5番
6) 交響曲 第6番
7) 交響曲 第7番
8) 交響曲 第8番 《千人の交響曲》
9) 交響曲 第9番
10) 交響曲 第10番 (クック版)
【演奏】
メラニー・ディエナー(S(2))、ペトラ・ラング(Ms(2,3))、バーバラ・ボニー(S(4))、ジェーン・イーグレン(S(8))、アン・シュワネウィルムス(S(8))、ルース・ジーザク(S(8))、サラ・フルゴーニ(A(8))、アンナ・ラーソン(A(8))、ベン・ヘップナー(T(8))、ペーター・マッティ(Br(8))、ジャン=ヘンドリック・ロータリング(Bs(8))
プラハ交響合唱団(2,3,8)、オランダ児童合唱団(3)、オランダ放送合唱団(8)、聖バーヴォ教会少年合唱団(8)、ブレダ少年聖歌隊(8)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1-9)
ベルリン放送交響楽団(10)
リッカルド・シャイー(指揮)
【録音】
1986年~2004年 〈デジタル録音〉
シャイーの全集。均質な見事な成果。
【曲目】
マーラー: 交響曲全集 (全10曲) (交響曲第10番はクック版)
1) 交響曲 第1番
2) 交響曲 第2番 《復活》
3) 交響曲 第3番
4) 交響曲 第4番
5) 交響曲 第5番
6) 交響曲 第6番
7) 交響曲 第7番
8) 交響曲 第8番 《千人の交響曲》
9) 交響曲 第9番
10) 交響曲 第10番 (クック版)
【演奏】
メラニー・ディエナー(S(2))、ペトラ・ラング(Ms(2,3))、バーバラ・ボニー(S(4))、ジェーン・イーグレン(S(8))、アン・シュワネウィルムス(S(8))、ルース・ジーザク(S(8))、サラ・フルゴーニ(A(8))、アンナ・ラーソン(A(8))、ベン・ヘップナー(T(8))、ペーター・マッティ(Br(8))、ジャン=ヘンドリック・ロータリング(Bs(8))
プラハ交響合唱団(2,3,8)、オランダ児童合唱団(3)、オランダ放送合唱団(8)、聖バーヴォ教会少年合唱団(8)、ブレダ少年聖歌隊(8)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1-9)
ベルリン放送交響楽団(10)
リッカルド・シャイー(指揮)
【録音】
1986年~2004年 〈デジタル録音〉
◇ノット
『マーラー:交響曲全集』
【曲目】
(1)第1番ニ長調「巨人」
(2)第2番ハ短調「復活」
(3)第3番ニ短調
(4)第4番ト長調
(5)第5番嬰ハ短調
(6)第6番イ短調「悲劇的」
(7)第7番ホ短調「夜の歌」
(8)第8番変ホ長調「千人の交響曲」
(9)第9番ニ長調
【演奏】
ジョナサン・ノット(指揮)バンベルク交響楽団
(2)アンネ・シュヴァネヴィルムス(S)、リオバ・ブラウン(A)、バンベルク交響楽団合唱団
(3)藤村実穂子(A)、バンベルク大聖堂少年合唱団、バンベルク交響楽団合唱団女声団員
(8)ヤニナ・ベヒレ(S)、リオバ・ブラウン(A)、ミハエラ・カウネ(S)、
マリソル・モンタルヴォ(S)、マヌエラ・ウール(S)、アルベルト・ドーメン(B-Br)、
ミハエル・ナジ(Br)、シュテファン・フィンケ(T)
バンベルク交響楽団合唱団、チェコ・フィル合唱団、ヴィンツバッハ少年合唱団
【録音】
2003年~11年ヨーゼフ・カイルベルト・ザール、バンベルク
◇ゲルギエフ
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R20GLT6KYTMPWB/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=B0096SLCN6
ゲルギエフのマーラー交響曲全集は、8番をのぞきすべてロンドン、バービカンホールでのロンドン交響楽団とのライヴ録音。かつ3、6、4、1、7、2、10、8、5番の9曲をこの順で2007年9月からわずか1年間で収録。50台後半のいかにもエネルギッシュなゲルギエフらしい一気呵成な対応である。手兵のオーケストラを一定期間、集中させ全番に一貫した解釈をほどこすうえではこの短期決戦のライヴ録音は有効だが、その実、相当な自信に裏づけされたものだろう。
全般に、バーンスタイン流の強烈にパッショネイトな<没入型>でもなく、シノーポリ流の切開手術のような<分析型>でもなく、音楽構成をおおきく捉えて細部をよく彫琢し、かつメロディの美しさとリズムの躍動感を際立たせた演奏。抜群のバランス感覚を感じさせる。その一方で<没入型>、<分析型>ファン双方からは、各番、各章でなにか物足りなさを感じる部分もあろう。これが最近、相性のよいといわれるウィーン・フィルとの周到なセッション録音ならより深みのあるゲルギエフ流を聴けるのかも知れない。将来の楽しみである。
<収録データ>(録音年月日、各曲録音順)
◆第1番『巨人』(2008年1月13日)<4>
→Symphony No. 1 (Hybr)
◆第2番『復活』(2008年6月5日)<6>
→Symphony No. 2 / Adagio From Symphony No. 10
◆第3番(2007年9月24日)<1>
→Symphony No. 3 (Hybr)
◆第4番(2008年1月12日)<3>
→Symphony No.4
◆第5番(2010年9月26日)<9>
→Symphony No.5
◆第6番『悲劇的』(2007年11月22日)<2>
→Symphony No. 6 (Hybr)
◆第7番『夜の歌』(2008年3月7日)<5>
→Symphony No. 7 (Hybr)
◆第8番(2008年7月9,10日)<8> ロンドン、セント・ポール大聖堂
→Symphony No 8 (Hybr)
◆第9番(2011年3月2,3日)<10>
→マーラー:交響曲第9番ニ長調 (Mahler : Symphony No.9 / Valery Gergiev, London Symphony Orchestra) [SACD Hybrid] [輸入盤]
◆第10番(2008年6月5日)<7>
→上記2番(併録)を参照
◇小澤征爾
マーラー交響曲全集
【収録曲】
交響曲 全9曲(第1番‐第9番)、亡き子をしのぶ歌
【演奏】
キリ・テ・カナワ(ソプラノ)(第2番、第4番)、マリリン・ホーン(メッゾ・ソプラノ)(第2番)、ジェシー・ノーマン(ソプラノ)(第3番、亡き子をしのぶ歌)、フェイ・ロビンソン(ソプラノ)(第8番)、ジュディス・ブレゲン(ソプラノ)(第8番)、デボラ・サッソン(ソプラノ)(第8番)、フローレンス・クイヴァー(アルト)(第8番)、ローナ・マイヤース(アルト)(第8番)、ケネス・リーゲル(テノール)(第8番)、ベンジャミン・ラクソン(バリトン)(第8番)、グヴィン・ハウエル(バス)(第8番)、タングルウッド祝祭合唱団(第2番、第3番、第8番)、アメリカ少年合唱団(第3番)、ボストン少年合唱団(第8番)
ボストン交響楽団、指揮:小澤征爾
【録音】1980年‐1993年
マーラー交響曲全集
【収録曲】
交響曲 全9曲(第1番‐第9番)、亡き子をしのぶ歌
【演奏】
キリ・テ・カナワ(ソプラノ)(第2番、第4番)、マリリン・ホーン(メッゾ・ソプラノ)(第2番)、ジェシー・ノーマン(ソプラノ)(第3番、亡き子をしのぶ歌)、フェイ・ロビンソン(ソプラノ)(第8番)、ジュディス・ブレゲン(ソプラノ)(第8番)、デボラ・サッソン(ソプラノ)(第8番)、フローレンス・クイヴァー(アルト)(第8番)、ローナ・マイヤース(アルト)(第8番)、ケネス・リーゲル(テノール)(第8番)、ベンジャミン・ラクソン(バリトン)(第8番)、グヴィン・ハウエル(バス)(第8番)、タングルウッド祝祭合唱団(第2番、第3番、第8番)、アメリカ少年合唱団(第3番)、ボストン少年合唱団(第8番)
ボストン交響楽団、指揮:小澤征爾
【録音】1980年‐1993年
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